先進国株式

外国株式インデックスeの運用コストと評価

外国株式インデックスeは、インデックス投資歴が10年以上ある人には懐かしく思えることでしょう。逆に、そんな名前初めて聞くよって方がほとんどだと思います。

2010年頃、税抜き信託報酬0.60%程度の先進国株式インデックスファンドが複数設定されました。ローコストインデックスの先駆者達です。外国株式インデックスeもその一員ですが、その歩みは不運なものでした。

三井住友トラスト・アセットマネジメント

設定当初はCMAM外国株式インデックスeと呼ばれていました。CMAMは中央三井アセットマネジメントの略です。Wikipediaによると2012年4月に住信アセットマネジメントと中央三井アセットマネジメントが合併して、三井住友トラスト・アセットマネジメントになったそうです。その住信アセットマネジメントが運用していたのが、STAMグローバル株式でした。

現在、三井住友トラスト・アセットマネジメントは次のMSCIコクサイ連動商品を運用しています。

  • SMTグローバル株式
  • 外国株式インデックスe

生い立ちが違うので、マザーファンドも違います。文字通り「腹違い」の兄弟です。でも明らかに兄の方が恵まれていました。

外国株式インデックスe

2010年4月6日に税抜き信託報酬0.50%で設定されました。先行していたSMTグローバル株式とeMAXIS先進国株式は共に0.60%でしたので、ネット証券利用者から大歓迎されたようです。その後、外国株式インデックスeは信託報酬を引き下げていません。一方、SMTグローバル株式は運用会社併合時に外国株式インデックスeと同額に引き下げています。

(併合から6年後の)つみたてNISAが始まった2018年には、SMTグローバル株式と外国株式インデックスeは三井住友トラスト・アセットマネジメントの商品でした。でもSMTグローバル株式はつみたてNISA適格ですが、外国株式インデックスeはそうではありません。おそらく意図的に適格申請しなかったのでしょう。

運用コスト

次は運用報告書から計算した運用コスト(トータルコスト)です。SMTグローバル株式と比較しています。

外国株式インデックスeは隠れコストがさらに安いです。次は隠れコストの明細です。

隠れコストの明細表

外国株式インデックスeは保管費用が安いです。

でも隠れコストは変動するものです。次は運用報告書を入手できた第6期からのトータルコスト一覧です。

第6期からのトータルコスト一覧表

隠れコストは安定して安いです。本当なら素晴らしいですね。

この第6期以降のトータルコストの平均値は、SMTグローバル株式の同時期のものとほぼ同じでした。ではリターン差がほとんどないのが期待値になります。

昔は無分配ではなかった

日本のインデックスファンドは税制上の関係により、目論見書で「無分配」とうたえません。でも資産形成を目標にするなら、株式から得られる配当金は分配しないでファンド内で再投資した方が圧倒的に有利です。そのため、良質なインデックスファンドは受益者のために実質無分配を堅持してくれています。

外国株式インデックスeは現在は無分配ですが、2015年2月以前は配当金を出していました。(ここはSMTグローバル株式にそっくりです。)

SMTグローバル株式とのリターン比較

次はSMTグローバル株式とSMTグローバル株式のどちらもが配当金を出していない、2015年6月から株価暴落開始直前の2020年2月20日までのリターン比較です。

SMTグローバル株式とSMTグローバル株式のリターン比較グラフ

青のラインはリターン差で外国株式インデックスeーSMTグローバル株式です。見事に真っ平らです。マザーファンドが違うのにこの結果が得られるということは、どちらも安定してベンチマークに忠実な運用ができている証左でしょう。

eMAXIS先進国株式とのリターン比較

次は外国株式インデックスeとeMAXIS先進国株式のリターン比較です。グラフのスケールは同じです。

外国株式インデックスeとeMAXIS先進国株式のリターン比較グラフ

青のラインは外国株式インデックスeーeMAXIS先進国株式です。この期間のトータルコスト差は計算上、年率0.14%ポイント程度あります。次は外国株式インデックスeの運用コストを年率0.14%ポイント増量したものとの比較です。

外国株式インデックスeの運用コストを年率0.14%ポイント増量したものとの比較グラフ

青のラインは右肩上がりでも右肩下がりでもなくなりました。次は比較開始を2017年年初に変更したものです。

比較開始を2017年年初に変更したグラフ

青のラインはほぼフラットです。この比較結果から、次のことが言えます。

  • 外国株式インデックスeとSMTグローバル株式の運用報告書から計算したトータルコストは、現実のものに近いはず。
  • 外国株式インデックスeとeMAXIS先進国株式とのリターン差は、運用報告書から計算した期待値通りである。

Fund of the Yearの順位

外国株式インデックスeは信託報酬の安さが評価されていたようです。それはFund of the Yearの順位に表れています。

Fund of the Yearの順位表

2012年度からはSMTグローバル株式が同率の0.50%に引き下げましたが、数年は外国株式インデックスeの方が高順位でした。が、SMTグローバル株式より2年早く選外になってしまいました。不思議です。

人気が出ないまま減少へ

次は外国株式インデックスeの設定来の資金流出入額の累計の推移です。純資産総額は148億円です。

外国株式インデックスeの設定来の資金流出入額の累計の推移グラフ

2016年10月をピークに減少に転じています。SMTグローバル株式もプロットすると、腹違いの兄の方が恵まれていたことが分かります。

外国株式インデックスeとSMTグローバル株式の設定来の資金流出入額の累計の推移グラフ

外国株式インデックスeの登場後2年間はSMTグローバル株式より信託報酬が安かったにも関わらず、人気を獲得することができませんでした。この人気の差が何から生まれたのかは分かりません。三井住友トラスト・アセットマネジメントが、外国株式インデックスeよりもSMTグローバル株式の販売に力を入れるべきと判断したのでしょうか。

販社数の違い

SMTグローバル株式の販社数は42もあります。一方、外国株式インデックスeの販社数はネット証券のみの5社です。ニッセイ外国株式の登場以降、先進国株式インデックスのローコスト競争が激化したわけですが、ネット証券でのみ販売していた外国株式インデックスeは早々に戦うのを諦め、SMTグローバル株式に販売リソースを集中させたのかも知れません。

僕には外国株式インデックスeが、その生い立ちゆえに冷遇されたように思えてしまいます。

外国株式インデックスeをつみたてNISA適格申請していない理由

外国株式インデックスeは、おそらくこのまま純資産総額を減らし続けるでしょう。何しろネット証券でしか販売していないのですから、資金流入は望めません。受益者は必ず歳をとるので、いずれ売却する可能性が高いです。(中には受益者権数のまま相続されるケースもあるでしょう。)そうなるといずれ早期償還を考える時も来るでしょう。その際のことを考えて、あえてつみたてNISA適格申請を出さなかったのかも知れません。つみたてNISA口座で受益者が一人でもいると、金融庁の手前、早期償還しにくくなりますからね。

いっそのこと統合すればいいのに

マザーファンドは違いますが、信託報酬は同じだし、現実のリターンも変わらないので、いっそのことSMTグローバル株式に統合してしまえばいいのに、と思ってしまいます。解約時信託財産留保額が外国株式インデックスeはないけど、SMTグローバル株式にはあるなど解決すべき課題もありますが、生い立ちは別にして今は同じ運用会社の商品なので、できないことはないでしょう。信託報酬に占める販売会社の取り分も同じです。

評価:終焉を待つばかりでしょう

ネット証券でしか販売されていないし、わざわざ高コストで(マニア以外に)知名度もない外国株式インデックスeに新規投資する人などいないでしょう。純資産総額は減り続けると思います。厳しいですが、これが現実です。

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