先進国株式

iシェアーズ先進国株式の運用コストと評価

インデックスファンドは現物株運用のもの、現物株とETFを併用するもの、現物株は買わずにETFだけで運用するものに分類できます。iシェアーズ先進国株式のベンチマークはMSCIコクサイですが、ETFだけで運用します。ではMSCIコクサイに連動するETFを買っているのかと思いきや、そうではありません。なんちゃってMSCIコクサイです。

iシェアーズ先進国株式

2013年9月3日に税抜き信託報酬0.57%で設定されました。信託報酬以外にETFの経費率がかかることを考えると、当時でも割高と言えました。

設定時の商品名はi-mizuho先進国株式でしたが、2018年2月3日にiシェアーズ先進国株式に改名され、また税抜き信託報酬が0.375%に引き下げられました。でも、その時スリム先進国株式は0.1095%でした。

iシェアーズ先進国株式の信託報酬引き下げ履歴表

総じてやる気が感じられません。

なお、iシェアーズ先進国株式はつみたてNISA適格ではありません。あえて適格申請しなかったものと思われます。

自社ETF5本を組み合わせます

ベンチマークはMSCIコクサイですが、中身は自社のETF5本をある比率で組み合わせたものです。次はiシェアーズ先進国株式の月次報告書から作成したものです。

ETF5本の組み合わせ比率と経費率の表

この組成を見た瞬間に、そもそもベンチマークに忠実な運用など期待できないとがっかりしてしまいます。MSCIコクサイと同じ値動きになんてできっこありません。

次は上位投資国の比率を比較したものです。似ているようで、結構違いがあります。

上位投資国の比率の比較表

ごまかしの効かないリターン比較結果を見れば、iシェアーズ先進国株式のひどさが分かります。

目論見書の記述が不適切

iシェアーズ先進国株式は、100%ETF運用です。現物株は買いません。そのような商品では、信託報酬にETFの経費率を加えたものを、実質的な運用経費とするのが通例です。ところがiシェアーズ先進国株式の目論見書にある記述は不適切なものです。

目論見書にはこのようにあります。赤枠で囲ったのは僕です。

引用:目論見書

信託報酬+ETFの経費率が税抜き0.375%だとありますが、あたかもETFの経費率がゼロであるかのような書き方になっています。いくらなんでもそれはまずいでしょう。ETFの組み合わせ比率によって変化するとは言え、この程度というのは示すべきです。

月次報告書から計算した経費率は0.0728%でした。少なめに0.07%だとしても、実質的な運用経費は税抜き0.445%程度とすべきです。

高いトータルコスト

次は運用報告書から計算したトータルコストです。スリム先進国株式と比較しています。

運用報告書から計算したトータルコスト表

iシェアーズ先進国株式は隠れコストが高いです。次は隠れコストの明細です。

隠れコストの明細表

スリム先進国株式と比較して売買委託手数料が高いのは、組成内容から見て順当でしょう。気になるのは監査費用の高さです。この高さは異様です。

eMAXIS先進国株式とのリターン比較

次はiシェアーズ先進国株式とeMAXIS先進国株式のリターン比較です。iシェアーズ先進国株式の税抜き信託報酬が0.375%に引き下げられた2018年2月3日から、株価暴落開始直前の2020年2月20日までです。

iシェアーズ先進国株式とeMAXIS先進国株式のリターン比較グラフ

青のラインはiシェアーズ先進国株式ーeMAXIS先進国株式です。予想通りのひどさです。iシェアーズ先進国株式が現物株運用で普通の運用ができれば、青のラインはトータルコスト差を示す傾きを持つ直線になるはずです。

次はニッセイ外国株式とeMAXIS先進国株式のリターン比較です。

ニッセイ外国株式とeMAXIS先進国株式のリターン比較グラフ

右軸はひと目盛り0.5%ポイントです。赤の矢印の位置にある段差は、ニッセイ外国株式の下方乖離ですが、ひと目盛りの半分程度です。それでも騒ぎになりました。

iシェアーズ先進国株式は、同じひと目盛りの幅でうねっています。これでベンチマークがMSCIコクサイだとするのはまずいでしょう。

不人気で当然です

次はiシェアーズ先進国株式の設定来の資金流出入額の累計の推移です。純資産総額は12.44億円しかありません。

iシェアーズ先進国株式の資金流出入額の累計の推移グラフ

まだじわじわ売れていますが、買っている人は、大変失礼ながら、残念な投資家です。

iシェアーズ先進国株式は消えゆく運命にあると言っていいでしょう。つみたてNISA適格でもないし、早期償還の可能性は高いと思います。

ニッセイ外国株式とスリム先進国株式もプロットすると、先進国株式インデックスのジャンルで生き残れないことが分かります。右下に張り付いている赤のライン、見えないでしょ。

ニッセイ外国株式とスリム先進国株式の資金流出入額の累計の推移もプロットしたグラフ

どうしてこれを買いますか

Yahoo!ファイナンスによると、iシェアーズ先進国株式を販売しているのは7社です。

  • SBI証券
  • みずほ証券
  • みずほ銀行
  • カブドットコム証券
  • マネックス証券
  • 松井証券
  • 楽天証券

みずほ以外はネット証券です。ネット証券でわざわざiシェアーズ先進国株式を選択するというのは考えにくいので、みずほ証券かみずほ銀行で買わされているのではないかと心配になります。

早期償還、そんなことしないでしょ、と思っている方へ

投資信託はとんでもない数組成されます。粗製乱造されていると言っていいです。そして早期償還は珍しいことではありません。次はi-mizuho時代に早期償還されたファンドです。

i-mizuho時代に早期償還されたファンド一覧

引用:プレスリリース

よく見ると、iシェアーズ先進国株式の兄弟がいます。i-mizuho 先進国株式インデックス(為替ヘッジあり)です。

結論:買う価値ありません

iシェアーズ先進国株式は買う価値ありません。インデックスファンドはベンチマークに忠実な運用ができてこそ、その存在価値があります。(ベンチマークがない場合は、話は別です。)ETFを5本組み合わせて、それらしい値動きにはできたとしても、それはベンチマークに忠実な運用ではありません。ごまかしの効かない基準価額データがそれを証明しています。

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