全世界株式

iTrust世界株式の運用コストと評価

インデックスファンドの超ローコスト化が進み、全世界株式インデックスの税抜き信託報酬は0.104%が最安水準となっています。トータルコストだと税込み0.21%程度です。

iTrust世界株式は、全世界株式に投資するアクティブファンドの中では、ローコストを売りにしていますが、それでもトータルコストは1%を超えます。問題は、それだけ高いコストを負担してまで投資する価値があるかどうかです。

iTrust世界株式

iTrust世界株式は2016年2月19日に税抜き信託報酬0.89%で設定されました。運用会社はピクテ投信投資顧問です。アクティブファンドなので連動する指数はありませんが、目論見書に参考指数の話が出てきません。それはおかしいですね。参考指数があって、それより高いパフォーマンスを出せているから、投資する価値があると主張すべきではないでしょうか。

目論見書には一切出て来ない参考指数ですが、運用報告書にはしっかりMSCIオール・カントリー・ワールド・インデックスだとあります。運用報告書にそう書くのなら、目論見書でもうたうべきですね。

運用コスト

次は運用報告書から計算した運用コスト(トータルコスト)です。スリム全世界株式(オール・カントリー)と比較しています。

運用報告書から計算したトータルコスト表

iTrust世界株式のトータルコストは1.1266%もあります。また隠れコストも高いです。次は隠れコストの明細です。

隠れコストの明細表

iTrust世界株式は監査費用とその他が異様に高いです。それらは、やる気を出せば削減できると思います。

ステートストリート全世界株式とのリターン比較

次は(オール・カントリーより14ヶ月ほど早く設定された)ステートストリート全世界株式と、iTrust世界株式のリターン比較です。ステートストリート全世界株式の設定直後を避けた、2017年9月20日から2020年6月26日までです。

iTrust世界株式とステートストリート全世界株式のリターン比較グラフ

青のラインはリターン差で、iTrust世界株式ーステートストリート全世界株式です。青のラインはおおむね右肩上がりで推移しており、iTrust世界株式の方がパフォーマンスが高いことを示しています。

この比較では、iTrust世界株式は年率1.6%ポイントほどステートストリート全世界株式をアウトパフォームしています。アクティブファンドなのでこの成績が続く保証はないのですが、これまでのところは、高いコストを負担しただけのことはあったと言えるでしょう。

でも、リターンの不確実性を考えると、負担するコストとMSCIオール・カントリー・ワールド・インデックスを超えるリターンが釣り合わないかも知れません。その判断は人それぞれでしょうね。

国別投資割合

次は目論見書から作成した、国別投資割合の比較です。

目論見書から作成した国別投資割合の比較表

米国の投資割合はほぼ同じですが、iTrust世界株式は日本が少なめ、新興国は極端に少なく、欧州などが多いです。アクティブファンドですから好きにしていいわけですが、参考指数がMSCIオール・カントリー・ワールド・インデックスだと言う割には、新興国への投資割合が少ないですね。

MSCIコクサイと変わらないパフォーマンス

iTrust世界株式は、一応、全世界株式に投資する商品です。でも日本と新興国を合わせて7%しかありません。残り93%は、日本を除く先進国です。となると、MSCIコクサイと比較したくなりますよね。

次はニッセイ外国株式とのリターン比較です。

iTrust世界株式とニッセイ外国株式のリターン比較グラフ

青のラインはニッセイ外国株式ーiTrust世界株式です。この様子だとMSCIコクサイとiTrust世界株式のパフォーマンスはほとんど変わらないですね。投資対象が違うとは言え、MSCIコクサイと大差ないパフォーマンスでしかないと聞いたら、がっかりしませんか。

売れ行きは

次は設定来の資金流出入額の累計の推移です。純資産総額は21.52億円です。

設定来の資金流出入額の累計の推移グラフ

頭打ちにならずに増えています。一定の人気は獲得していると言えますね。でも増加ペースは低いです。ピクテ投信投資顧問としては期待はずれな結果でしょう。

次は直近1年間の毎営業日ごとの資金流入額の推移です。

直近1年間の毎営業日ごとの資金流入額の推移グラフ

 大きなトゲがある日は、iDeCoの約定日と一致しています。よって、現在買い付けのほとんどはiDeCoによるものと言えます。iDeCoナビによると、iTrust世界株式を扱っているのは楽天証券とauカブコム証券です。

儲からないビジネス

現在の純資産総額から、運用会社の年間の売上を試算しました。

現在の純資産総額から、運用会社の年間の売上を試算した表

あれだけ人気の高いオール・カントリーですら0.14億円しかありません。iTrust世界株式の報酬は一桁多いですが、純資産総額が1/15ほどしかないので、売上は0.11億円しかありません。どっちも儲からないビジネスを継続しているわけですが、どちらが有望でしょうか。

オール・カントリーは超ローコスト化競争に生き残った未来に、大きな市場を手にする夢を見ていると思います。日本を含む全世界株式インデックスで1位になれるかどうかですね。

iTrust世界株式は、現状のようなパフォーマンスでは、資金流入を加速させられる気がしません。

評価:おすすめしません

MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックスをアウトパフォームしていますが、日本と新興国への投資割合が合計で7%しかないことを考えると、高いコストを負担する価値があるように思えません。もっと全世界に分散した上で、アクティブファンドらしい高いパフォーマンスを出して欲しいものです。

iTrust世界株式に投資するなら、負うコストとリスク、期待されるリターンについて良く考えてからにするのがいいでしょう。

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