新興国株式

三井住友DC新興国株式は運用コストが高い問題児でおすすめできません

つみたてNISAで「指定インデックス投資信託」で認定を受けるには、限られた指数(インデックス)に連動することが求められます。が、どうやらそれは自己申告止まりで、運用の実態までは問われないようです。もし問われるとしたら、三井住友DC新興国株式はベンチマークに忠実な運用とは言えないので、対応を求められるはずです。

三井住友DC新興国株式

2011年4月18日に設定されました。元々はDC(確定拠出年金)専用ファンドでしたが、2015年9月18日に楽天証券で販売開始(一般開放)されました。税抜き信託報酬は0.56%です。当時はeMAXIS新興国株式やFunds-i 新興国株式の税抜き信託報酬が0.60%でしたので、新興国株式インデックスの信託報酬ははまだまだ高止まりしていたことが分かります。

その後2019年2月26日に0.34%に引き下げましたが、それは(当時から)2年半前の最安水準でした。コスト構造的に限界だったのかも知れません。

次はローコスト新興国株式インデックスの最安水準の変化をまとめたものです。現在の最安水準は赤字の0.189%です。青字が三井住友DC新興国株式の信託報酬引き下げです。

ローコスト新興国株式インデックスの最安水準の変化をまとめた表

高い運用コスト

運用コストは、信託報酬+隠れコストのトータルコストで見る必要があります。隠れコストが高くてがっかりするのは、特に新興国株式インデックスでは「あるある」です。

次は運用報告書から計算したトータルコストです。スリム新興国株式と比較しています。

運用報告書から計算したトータルコスト表

トータルコストは0.8544%と高いです。隠れコストが高いですね。

次は隠れコストの明細です。高い項目を赤字にしてあります。

隠れコストの明細表

売買委託手数料と保管費用の高さが目立ちます。

リターン比較

次は三井住友DC新興国株式とスリム新興国株式のリターン比較です。スリム新興国株式の設定直後を避けた、2017年8月21日から株価暴落開始直前の2020年2月20日までです。

三井住友DC新興国株式とスリム新興国株式のリターン比較グラフ

青のラインはリターン差で、スリム新興国株式ー三井住友DC新興国株式です。青のラインは右肩上がりで、これはスリム新興国株式の方が運用コストが低いことを示しています。でも、三井住友DC新興国株式が信託報酬を現在のものに引き下げてからの比較を見たいですよね。

次は三井住友DC新興国株式の税抜き信託報酬が0.34%に引き下げられてからの比較です。

三井住友DC新興国株式の税抜き信託報酬が0.34%に引き下げられてからの比較グラフ

青のラインの傾向は期待通り右肩上がりです。

スリム新興国株式と三井住友DC新興国株式のトータルコスト差は、計算上0.4695%ポイントあります。次はスリム新興国株式の運用コストを年率0.46%ポイント増量したものとの比較です。

スリム新興国株式の運用コストを年率0.46%ポイント増量したものとの比較グラフ

青のラインは右肩上がりでも右肩下がりでもなくなったので、スリム新興国株式と三井住友DC新興国株式の運用コスト差は、運用報告書通り、0.46%ポイント程度あると思われます。

でもこの青のライン、暴れが大きいです。ここからマニアックな話になりますが、そういうのはいいやって方は、ここまで飛ばして下さい。

ベンチマークに忠実な運用と言えないレベル

次は同じ比較をスリム新興国株式とたわら新興国株式で行った結果です。

同じ比較をスリム新興国株式とたわら新興国株式で行った結果のグラフ

青のライン、暴れが少ないです。三井住友DC新興国株式だってベンチマークはMSCIエマージング・マーケットです。でも、とてもベンチマークに忠実な運用をしていると思えません。

原因は、三井住友DC新興国株式の先物比率の高さにあると考えています。

高い先物比率

三井住友DC新興国株式は先物比率が高いことで知られています。次はeMAXIS新興国株式との、先物比率の比較です。

三井住友DC新興国株式とeMAXIS新興国株式の先物比率の比較表

三井住友DC新興国株式は2017年頃まで先物比率が100%でした。2018年から株式を組み入れて先物比率を下げましたが、まだ高い水準です。一方、eMAXIS新興国株式はほぼ現物株運用です。(ベンチマークに忠実な運用をするには、先物比率をゼロにすることはできないと、ファンドマネージャーをされている方から聞いたことがあります。)

三井住友DC新興国株式は、ごまかしの効かない基準価額データの比較から、ベンチマークに忠実な運用をしているとは言いにくいです。その原因が高い先物比率にあるのなら、改善すべきでしょう。(あの程度の暴れなら許容するという場合は別ですが。)

先物比率減らすと保管費用が増えた

次は三井住友DC新興国株式の、過去3期分の運用報告書から計算したトータルコストです。

過去3期分の運用報告書から計算したトータルコスト表

第8期で隠れコストが跳ね上がりました。赤字部分です。第9期は信託報酬が下がり、隠れコストもいくらか減りましたがまだ高水準で、トータルコストは高いです。信託報酬だけを見ていたのではダメだという良い実例です。

次は隠れコストの明細です。特に高い項目を赤字にしています。

三井住友DC新興国株式の、過去3期分の運用報告書から計算した隠れコストの明細一覧表

第8期に隠れコストが跳ね上がった最大の要因は保管費用です。第9期では少し減りましたが、それでもまだ高いです。

三井住友DC新興国株式は第7期までは100%先物運用でした。100%先物運用のインデックスファンドは、はっきり言って受益者ナメてます。第8期から先物比率を減らし、現物株比率を増やしましたが、これが保管費用を高くした要因と考えられます。ダメダメですね。

ここからさらにマニアックな話になります。もうお腹いっぱいって方は、ここまで飛ばして下さい。

暴れの原因は本当に先物比率なのか

基準価額データはウソをつきません。運用のあらゆる結果が反映されています。次は三井住友DC新興国株式が100%先物運用だった第7期の、eMAXIS新興国株式との比較です。

三井住友DC新興国株式が100%先物運用だった第7期の、eMAXIS新興国株式との比較グラフ

次は三井住友DC新興国株式の先物比率が45%程度に下がった第9期の、eMAXIS新興国株式との比較です。グラフのスケールは同じです。

三井住友DC新興国株式の先物比率が45%程度に下がった第9期の、eMAXIS新興国株式との比較グラフ

暴れの幅が小さくなっています。やはり先物比率が影響していると思われます。

運用目標の明確化

三井住友DC新興国株式は、2017年9月21日に運用目標の明確化を行うと発表しました。ベンチマークへの連動性に関する目論見書の表現を変更したのです。

以前は、

MSCIエマージング・マーケット・インデックスの中長期的な動きに概ね連動する投資成果を目指して運用を行います。

だったのを、次に変更しました。

MSCIエマージング・マーケット・インデックスの動きに連動する投資成果を目指して運用を行います。

太字部分がなくなりました。

そう宣言した割には、基準価額データの動きは暴れが大きいままですけどね。ではどうして、こういう変更を行ったのでしょうか。おそらく、つみたてNISAの適格申請のためだと思われます。

売れていません

次は三井住友DC新興国株式の設定来の資金流出入額の累計の推移です。左端が浮いているのは、設定日の純資産総額が1億円あったためです。おそらく運用側の初期投資でしょう。

現在の純資産総額は23億円です。

三井住友DC新興国株式の設定来の資金流出入額の累計の推移グラフ

売れ始めたのは一般開放後です。一定のペースで増加してはいますが、増加率が低いです。

スリム新興国株式もプロットすると、もう勝ち目がないことが分かります。

三井住友DC新興国株式とスリム新興国株式の設定来の資金流出入額の累計の推移グラフ

結論:買う価値ありません

企業型DCで他に良い選択肢がない場合を除いて、買う価値ありません。

  • 信託報酬、隠れコスト共に高い。
  • 先物比率が高くベンチマークに忠実な運用と言えない。
  • 不人気で純資産総額が少ない。

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