「世界6資産分散ファンド」と聞いて、運用会社がどこか分かる人は少ないと思います。野村アセットマネジメントです。「野村6資産均等バランス」と被っているような気がしますが、そうではありません。異なる組成なんですが、残念な商品です。やはり時代にあったやる気を出さないと売れないようです。
世界6資産分散ファンド
2018年5月15日に税抜き信託報酬0.495%で設定されました。eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)が登場してから1年後、バランスファンドの信託報酬は0.20%以下が当たり前の時期です。コスト意識の低い顧客を対象にした商品なのは明らかです。以降、信託報酬は引き下げられていません。
次は約8ヶ月前に設定された野村6資産均等バランスとの比較です。
ノーロードじゃないし、解約時信託財産留保額も設定されています。売れていませんが、当然の結果ですね。
世界6資産分散ファンドはつみたてNISA適格です。
組成内容
野村6資産均等バランス、ニッセイバランス(6資産均等型)の国内リート、先進国リートを新興国株式、新興国債券に変えたのと同じです。
引用:目論見書
僕はこの商品以外に、これと同じ組成内容のバランスファンドを知りません。8資産均等型のリートが不要だって人にはどんぴしゃりの組成です。
運用コスト
次は運用報告書から計算した運用コスト(トータルコスト)です。野村6資産均等バランスと比較しています。
隠れコストは野村6資産均等バランスより高いですが、新興国株式を含むのでまあこんなものだと思います。
野村6資産均等バランスとのリターン比較
次は世界6資産分散ファンドと野村6資産均等バランスのリターン比較です。世界6資産分散ファンドの設定日直後を避けた、2018年6月1日から2020年7月17日までです。
この比較期間だと野村6資産均等バランスの方が有利に見えます。どうしてこうなったかは、投資対象に違いがある国内リート、先進国リート、新興国株式、新興国債券の値動きを見ると分かります。
ラインは上から国内リート、新興国リート、新興国債券、新興国株式です。でもいつもこの傾向とは限りません。
合成結果とリターン比較
もっと比較期間を長くしたいのですが、世界6資産分散ファンドと同じ組成は他にありません。そこでeMAXISシリーズの6資産クラスの商品を使って、同じ組成のデータを合成します。リバランス頻度は毎月です。
青のラインは合成結果ー比較対象です。そんな怪しい話はいいやって方は、ここまで飛ばしてください。
合成結果と世界6資産分散ファンドのリターン比較
次は合成結果と世界6資産分散ファンドのリターン比較です。
青のラインは世界6資産分散ファンドー合成結果です。当たらずとも遠からずの結果が得られました。
合成結果とeMAXISバランス(4資産均等型)のリターン比較
次は合成結果とeMAXISバランス(4資産均等型)のリターン比較です。eMAXISバランス(4資産均等型)の設定直後を避けた2015年9月15日から2020年2月20日までです。
青のラインは合成結果ーeMAXISバランス(4資産均等型)です。どちらが有利かは時期によりますね。でもこの組成の印象は悪くないです。
合成結果とeMAXISバランス(8資産均等型)のリターン比較
次は合成結果とeMAXISバランス(8資産均等型)のリターン比較です。eMAXISバランス(8資産均等型)の設定直後を避けた2011年12月15日から2020年2月20日までです。
青のラインはeMAXISバランス(8資産均等型)ー合成結果です。この比較期間だ8資産均等型の方が有利でした。
違いはリートに投資するかしないかなので、過去の実績がどうかというよりも、これから国内リート、先進国リートへの投資が報われると思うかどうかで選択すればいいでしょう。
6資産均等型と世界6資産分散ファンドの組成
次は6資産均等型の合成結果と、世界6資産分散ファンドと同じ組成の合成結果の比較です。
この比較期間だと6資産均等型の方が有利でした。世界6資産分散ファンドの組成って分が悪いですね。
売れていません
次は設定来の資金流出入額の累計の推移です。純資産総額は11.33億円です。
頭打ちから減少に転じ、その後現状維持を続けています。高コストなので当然の結果でしょう。
同じく野村アセットマネジメントが運用している、野村6資産均等バランスもプロットすると不人気ぶりが良く分かります。
販社の違い
世界6資産分散ファンドの販社を見ると、これじゃ売れないだろうなと思ってしまいます。次は販社を比較した表です。違いがあるセルの色を変えています。
東京スター銀行で世界6資産分散ファンドを、積み立て以外で買う場合は、今どき珍しい購入時手数料をボッタクられます。
引用:東京スター銀行
評価:高コストかつ不人気なのでおすすめしません
他に同じ組成がないとは言っても、一般的な6つの資産クラスに均等に投資するだけのインデックスファンドにしては高コストです。それだけの価値はないと思います。6資産均等型か8資産均等型を選択した方がいいでしょう。
また、不人気であり、今後も売れる気がしません。つみたてNISA適格ではあっても、繰上償還のリスクは気にした方がいいです。
よって、世界6資産分散ファンドはおすすめしません。