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SBI資産設計オープン(つみたてNISA対応型)の運用コストと評価

2008年1月に設定されたSBI資産設計オープンには資産成長型と分配型がありました。それらはつみたてNISA適格ではありません。三井住友トラスト・アセットマネジメントは(おそらくSBI証券から依頼されて)SBI資産設計オープン(つみたてNISA対応型)を設定しました。中身はSBI資産設計オープン(資産成長型)と変わりません。どうしてそんなめんどうなことをしたのでしょうか。

SBI資産設計オープン(つみたてNISA対応型)

2017年12月19日に、つみたてNISAの開始にあわせて設定されました。税抜き信託報酬は0.50%とまったくやる気のないものでした。流石にSBI資産設計オープン(資産成長型)の0.68%よりは下がりましたが、当時iFree 8資産バランスとスリムバランス(8資産均等型)は0.21%でしたので、そもそもまともな競争をする気などなかったわけです。

組成内容は資産成長型と同じです。マザーファンドもベンチマークも各資産の投資割合もです。

6資産への投資割合

引用:目論見書

ではどうして、資産成長型はつみたてNISA適格ではなかったのでしょうか。それにはつみたてNISA適格要件が関係しているはずです。

つみたてNISA適格要件

つみたてNISAの適格要件は結構厳しいです。一部、要件の甘いところを付いた組成が見られるのは残念ですが、「地雷」と呼ばれるボッタクリ商品を排除できる仕組みにしたのは、金融庁の英断です。

指定インデックス投資信託

つみたてNISAでは、投資信託は2種類に分かれます。指定インデックス投資信託と、指定インデックス以外の投資信託です。後者にはアクティブファンドが多いですが、そうでないものも含まれています。

指定インデックス投資信託で、つみたてNISA適格となるためには厳しい要件が3つあります。(要件は他にもたくさんありますが、普通のインデックスファンドにとって厳しいのはこの3つです。)

  • 指定されたインデックスに連動すること。
  • 主たる投資対象に株式を含むこと。
  • 分配頻度が毎月でないこと。

ひとつずつ見ていきます。それはかったるいやって方は、ここまで飛ばして下さい。

指定されたインデックスに連動すること

この要件は最強で、金融庁が受益者保護を重視した結果と言えます。この要件があるだけで、おかしなものを作れなくなります。

SBI設計オープンが投資する資産のインデックス(ベンチマーク)は一般的なもので、全てつみたてNISAで認められたものです。よって、これが理由ではありません。(後でちゃんと説明します。)

なお、この要件の泣き所は、指定されたインデックスだけが正義で、他はそうではないのか、ということです。たとえばS&P500種指数は指定インデックスに含まれていますが、NYダウ指数は含まれていません。そのためeMAXIS NYダウもiFree NYダウもたわらNYダウも、「指定インデックス投資信託」で、つみたてNISA適格には絶対になれません。どこかで線引きが必要ですが、全員が納得する線引きなんて無理です。

eMAXIS NYダウは指定インデックス以外の投資信託で、つみたてNISA適格です。これは、次のとても厳しい要件をクリアできたからで、iFree NYダウ、たわらNYダウにはまだできません。

  • 設定されてから5年以上経過している。
  • 純資産総額が50億円以上。
  • 運用期間において、資産流入超の期間が2/3以上。

iFree NYダウはあと14ヶ月ほど頑張れば要件を満たせるはずです。他の要件は満たせています。

主たる投資対象に株式を含むこと

この要件も厳しいです。たとえば債券100%とか、リート100%のものは絶対に認められません。これは金融庁にとっても苦渋の決断だったことでしょう。でも僕は良い判断だと思います。

SBI資産設計オープンはもちろん株式を含みますから、これが理由ではありません。

分配頻度が毎月でないこと

これは金融庁が譲歩した結果だと想像します。毎月分配型は認められませんが、隔月分配型までなら認められます。SBI資産設計オープン(分配型)は隔月分配なので、これが理由ではありません。

僕はこの要件は、将来、新たに適格認定を受ける商品については厳しくして良い(分配頻度は年2回までとか)と思っています。

パッシブ運用でないとダメ

お待たせしました。これが、SBI資産設計オープン(資産成長型)がつみたてNISA適格でなかった理由です。

指定インデックス投資信託であるためには、パッシブ運用でないといけません。8資産均等型のように合成ベンチマークでも良いので、パッシブ運用しなければなりません。複数のインデックスを組み合わせる場合に、その比率をファンドマネージャーの考えで変更してはいけないのです。その観点において、SBI資産設計オープンの資産成長型と分配型はアクティブファンドです。

次は目論見書にある表現です。

SBI資産設計オープンの資産成長型と分配型の運用方針

引用:目論見書

2つ目がダメです。これはファンドマネージャーの判断で投資比率を変更しますと言っているのです。こういうのをアクティブファンドと言います。

次はつみたてNISA対応型の目論見書の表現です。前記2つ目がありません。

SBI資産設計オープン(つみたてNISA対応型)の運用方針

引用:目論見書

役所に申請書を提出したらNG喰らったので一文削除した、そんな感じですが、つみたてNISA対応型はパッシブ運用しますということです。

隠れアクティブファンド

インデックスファンドのように見えて実はアクティブ運用している商品が存在します。

  • セゾングローバルバランスファンド
  • 世界経済インデックスファンド

セゾングローバルバランスファンドがアクティブファンドだと聞いて、嘘だろと思われる方には次の記事がおすすめです。

ここで、SBI資産設計オープン(資産成長型)はどうして「指定インデックス投資信託以外」でつみたてNISA適格申請しなかったのか、疑問に思いませんか?要件はクリアしていたはずなので、あえてそうしなかったのでしょうが、理由は分かりません。

運用コスト

次は運用報告書から計算した運用コスト(トータルコスト)です。スリムバランス(8資産均等型)と比較しています。

運用報告書から計算したトータルコスト表

SBI資産設計オープン(資産成長型)同様、隠れコストが異様に安いです。次は隠れコストの明細です。安さが目立つ項目を青字にしました。

隠れコストの明細表

正直、僕はこの安さは信じてないです。

SBI資産設計オープン(資産成長型)とのリターン比較

次はSBI資産設計オープン(つみたてNISA対応型)の設定来の、資産成長型とのリターン比較です。

SBI資産設計オープン(つみたてNISA対応型)の設定来の、資産成長型とのリターン比較グラフ

青のラインはリターン差で、つみたてNISA対応型ー資産成長型です。青のラインは運用コスト差を示す傾きを持った直線になるのが期待値ですが、黄色の丸で囲った、設定後半年と株価暴落時は乱れています。

次は2018年7月10日から2019年7月31日までの比較です。

2018年7月10日から2019年7月31日までの比較グラフ

計算上、つみたてNISA対応型と資産成長型のトータルコスト差は0.19%ポイント程度あります。次はつみたてNISA対応型の運用コストを年率0.14%ポイント増量したものとの比較です。

つみたてNISA対応型の運用コストを年率0.14%ポイント増量したものとの比較グラフ

青のラインはほぼフラットになりました。これは運用報告書が示すほどの運用コスト差がない(0.05%ポイントほど少ない)ことを示しています。

なお、バランスファンドはマザーファンドが同じでも、ベビーファンドにおけるリバランスタイミングが違うとリターン差が期待通りにならないことが分かっていますので、この比較も強引と言えなくないです。

売れていません

次はSBI資産設計オープン(つみたてNISA対応型)の設定来の資金流出入額の累計の推移です。純資産総額は1.39億円しかありません。

SBI資産設計オープン(つみたてNISA対応型)の設定来の資金流出入額の累計の推移グラフ

資金流入は安定していますが、増加率が低いです。いまどき、税抜き信託報酬0.50%で普通に売れるわけがありません。

SBI証券専売です

SBI資産設計オープンはどれもSBI証券専売商品です。iDeCoでは買えません。存在価値の少ない商品ですね。この組成が好きで、資産成長型を買っていた人にとっては、同じ組成で信託報酬が安くなりましたし(それでも高コストですが)、つみたてNISAで買えるのは大きなメリットですが、人気のなさが現実を示しています。

評価:他の選択肢をおすすめします

新興国に投資しないこの6資産が好きという場合であっても、もっとローコストな選択肢の方がいいです。コストは確実にリターンを蝕むからです。

また、SBI資産設計オープン(つみたてNISA対応型)は2017年末の設定でありながら、税抜き信託報酬が0.50%とまったくやる気がありません。この組成にそれだけのコストを支払う価値などないでしょう。

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