TOPIXは日経平均に並ぶ、国内株式の代表的な指数です。つみたてNISA適格商品だけで12本もあります。もちろんeMAXIS Slimシリーズでも組成されていますが、その人気は圧倒的ではありません。
以下、eMAXIS Slimをスリムと表記します。
スリム国内株式(TOPIX)
2017年2月27日に設定されました。スリムシリーズの第一弾です。税抜き信託報酬0.18%で設定されましたが、その後4回引き下げられています。すべて同率への対抗値下げです。次はその履歴をまとめた表です。
TOPIXインデックスファンドにおいて、スリム国内株式(TOPIX)の信託報酬は最安です。次の4商品が同率で並んでいます。
- ニッセイTOPIX
- iFree TOPIX
- Smart-i TOPIX
- ダイワつみたてインデックス日本株式
もちろん、つみたてNISA適格です。また、iDeCoナビによるとSBI証券のセレクトプランで扱われています。
受益者還元型信託報酬制度
スリムシリーズは純資産総額が500億円、1,000億円を超えると信託報酬が漸減される「受益者還元型信託報酬制度」を採用しています。漸減率は商品によって異なりますが、スリム国内株式(TOPIX)はまだ意味のある水準です。
でも現在のスリム国内株式(TOPIX)の人気だと、500億円を超えるのはまだまだ先になりそうです。
運用コスト=信託報酬+隠れコスト
運用コスト(トータルコスト)は信託報酬と隠れコストの合計です。次は運用報告書から計算したトータルコストです。
TOPIXインデックスは隠れコストが安くて当たり前です。有価証券取引税を計上しなくていいのもその理由のひとつです。この隠れコストはスリム先進国株式の1/10以下です。
eMAXIS TOPIXとのリターン差は期待通りか
スリム国内株式(TOPIX)の先輩にあたる、eMAXIS TOPIXとのリターン差は期待通りでしょうか。次はスリム国内株式(TOPIX)の税引き信託報酬が0.140%に引き下げられてから、2020年8月14日までの、eMAXIS TOPIXとのリターン比較です。
リターン差を示す青のラインはきれいな右肩上がりの直線で、その傾きはトータルコスト差を示しています。マザーファンドが同じなので、ベビーファンドの運用に問題がない限りこのようなきれいな直線になります。なお、株価暴落時に凹んでいるのは正常です。
この比較期間のトータルコスト差は、運用報告書によれば、0.28%ポイント程度です。次はスリム国内株式(TOPIX)の運用コストを年率0.28%ポイント増量したものとの比較です。
青のラインはフラットになりました。よって、スリム国内株式(TOPIX)のeMAXIS TOPIXとのリターン差は、期待通りと言えます。
競合商品とのリターン比較
税抜き信託報酬が0.140%で並んでいる商品とリターン比較をします。Smart-i TOPIXは0.140%に引き下げられたのが2020年2月なので、それを除いた3商品と比較します。
比較期間はニッセイTOPIXが税抜き信託報酬を0.140%に引き下げた2019年6月27日から、2020年8月14日までです。
青のラインはリターン差で、スリム国内株式(TOPIX)ー比較対象です。グラフのスケールは同じです。
ニッセイTOPIXとの比較
ほとんど差がありません。株価暴落後に段差ができていますが、あれだけ急激に下落したのでそういうことも起こるでしょう。
iFree TOPIXとの比較
ほとんど差がありません。期待通りです。
ダイワつみたてインデックス日本株式
iFree TOPIXにそっくりですが、それもそのはず、マザーファンドが同じです。これは大和証券専売商品です。
売れ行きは
ローコストTOPIXインデックスで、スリム国内株式(TOPIX)は現在3番手です。純資産総額は203億円です。1位の三井住友DCつみたてNISA日本株は371億円です。
次は設定来の資金流出入額の累計の推移です。赤のラインの三井住友DCつみたてNISA日本株だけ、全く売れなかった時期をカットしています。
緑のラインのニッセイTOPIXは設定当初から売れていました。スリム国内株式(TOPIX)はニッセイTOPIXとの差をなかなか詰められないでいます。
評価:スリム国内株式(TOPIX)とニッセイTOPIXの二択
僕にはスリムシリーズを応援したいというバイアスがかかっているので、それを割り引いて判断してください。
一番人気の三井住友DCつみたてNISA日本株は信託報酬が最安ではないものの、安定した資金流入があります。超ローコストインデックスファンドで生き残れる商品が1ジャンル2本、多くて3本とするなら、これら3商品は互いに負けたくないと思っていることでしょう。今後、スリム国内株式(TOPIX)がニッセイTOPIXとの差を詰められるかどうか、大いに気になるところです。
特に好き嫌いがなければ、スリム国内株式(TOPIX)、ニッセイTOPIXの二択でいいと思います。この2商品は信託報酬引き下げに積極的ですし、隠れコストも小さいです。また、運用は安定しています。