マザーファンドがあれば、バランスファンドは容易に組成できます。それらが連動する指数が全てつみたてNISAの指定インデックス投資信託で認められたものなら、投資割合を固定とした合成ベンチマークへの連動を目指すとすることで、つみたてNISA適格にできます。
投資割合を少し変えたものも組成して、3から4タイプまとめて売り出すのも珍しくありません。Smart-i 8資産バランスもその典型的な商品です。
Smart-i 8資産バランス
2018年3月27日に設定されました。投資比率の異なる3タイプがあります。安定型、安定成長型、成長型です。
税抜き信託報酬は株式比率が高いものほど高く設定されています。意欲的な水準でした。
設定当時のスリムバランス(8資産均等型)の税抜き信託報酬は0.209%でしたが、債券比率が最も高い安定型の0.16%にあわせて対抗値下げしました。バランスファンドなら組成内容に関わらず対抗値下げする姿勢を明確にしたわけです。
設定来、信託報酬は引き下げられていません。
Smart-i 8資産バランスは3タイプとも、つみたてNISA適格です。また、iDeCoナビによると、りそな銀行【個人払込】、りそな銀行【イデコプラス割】で扱われています。
組成内容
Smart-i 8資産バランスは、スリムバランス(8資産均等型)と同じ8資産クラスに投資します。連動する指数も同じです。さらに、為替ヘッジありの先進国債券にも投資します。
次は株式、債券、リートの比率を示したものです。
メリハリを付けた組成と言えます。次は各資産への投資割合を示したものです。
細かい数値はこうです。僕には先進国債券を、為替ヘッジありとなしの両方に投資する組成にする意図が理解できません。為替ヘッジありだけでいいと思うんですけどね。
国内株式、国内債券の比率が高いです。あるいは、新興国の比率が低いという見方もできるでしょう。
バランスファンドの組成内容は商品によってバラバラなので、自分の好みにあっているか、良く確認した方がいいです。
運用コスト
次は運用報告書から計算した運用コスト(トータルコスト)です。スリムバランス(8資産均等型)と比較しています。
Smart-i 8資産バランスは隠れコストが高めです。株式比率に比例して高くなっているのは自然です。
次は隠れコストの明細です。
売買委託手数料と有価証券取引税が高めです。もう少し抑えて欲しいところですね。
3タイプのリターン比較
次は設定直後を避けた、2018年4月10日から2020年7月31日までの、3タイプのリターン比較です。
赤のラインが成長型、緑のラインが安定成長型、青のラインが安定型です。
次は月次で求めたリスクを年率換算したものです。債券比率が高いと、リスクは減ります。
どれが自分にあっているかは自分で判断するしかないのですが、リターンとリスクのグラフから判断するのは難しいのも事実です。
スリムバランス(8資産均等型)とのリターン比較
超ローコストバランスファンドで人気の高いスリムバランス(8資産均等型)とのリターン比較です。青のラインはSmart-i 8資産バランスースリムバランス(8資産均等型)です。
グラフのスケールは同じです。
Smart-i 8資産バランス(成長型)とスリムバランス(8資産均等型)の比較
次は成長型とスリムバランス(8資産均等型)の比較です。成長型の方がパフォーマンスが高いかと思いきや、そうでもありません。
この比較期間だといい勝負でした。
Smart-i 8資産バランス(安定成長型)とスリムバランス(8資産均等型)の比較
次は安定成長型とスリムバランス(8資産均等型)の比較です。
成長型よりスリムバランス(8資産均等型)の方がパフォーマンスが高かったので、こうなるのは理解できます。
Smart-i 8資産バランス(安定型)とスリムバランス(8資産均等型)の比較
次は安定型とスリムバランス(8資産均等型)の比較です。
株価暴落後を見ると安定型の方が有利ですが、長期投資を前提とすると株価下落、株価暴落を加味しても、株式比率の高いものの方が有利になると思われます。結局、リターンの高さを優先するか、リスク(変動率)低さを優先するか、そこが悩みどころです。
厳しい売れ行き
次は設定来の資金流出入額の累計の推移です。
一定の資金流入が続いていますが、ペースが低いです。純資産総額は少ないです。
絶望的に売れていないバランスファンドと比べれば、それらよりは売れていますが、バランスファンドは激戦区なのでこれでは生き残れません。
評価:不人気なのでおすすめしません
隠れコストは少し高めですが、Smart-i 8資産バランスのこの組成が好みにぴったり、というのがあれば、選択していいと思います。が、売れていないので将来が心配です。
目論見書には、純資産総額が20億円を下回ったら繰上償還可能と明記されています。まだ20億円に到達できていないわけで、いくらつみたてNISA適格とは言え、繰上償還のリスクは軽く見ない方がいいです。