先進国株式

SMTグローバル株式の運用コストと評価

インデックス投資歴の長い方にとって、SMTグローバル株式(旧STAMグローバル株式)は懐かしく思えるかも知れません。MSCIコクサイをベンチマークにした、数世代前のインデックスファンドです。かつては信託報酬の引き下げに前向きでした。

ニッセイ外国株式登場以降の超ローコスト化競争には参戦しませんでしたが、だからと言って過去の功績が消え去るわけではありません。そしてSMTグローバル株式は今、(決して長くは続かない)収穫の時を堪能しています。

SMTグローバル株式

2008年1月9日に税抜き信託報酬0.74%で設定されました。最近インデックス投資を始めた人は卒倒しそうなほど高額ですが、当時はこれでも安かったようです。その後2回引き下げを行っています。

SMTグローバル株式の信託報酬引き下げ履歴表

そして2013年12月に、ニッセイ外国株式が税抜き信託報酬0.39%で設定されるのですが、SMTグローバル株式は対抗することなく、現在に至ります。

SMTグローバル株式は税抜き2.0%を上限に購入時手数料を設定可能ですが、これは金融機関を選べば無料です。また、つみたてNISA適格で、つみたてNISA口座ではもちろんノーロードです。また、解約時信託財産留保額0.5%が設定されています。

SMTグローバル株式の運用コスト

次は運用報告書から計算した運用コスト(トータルコスト)です。スリム先進国株式と比較しています。

運用報告書から計算したトータルコスト表

隠れコストが安いです。運用報告書にある数値は鵜呑みにできませんが、本当なら素晴らしいです。次は隠れコストの明細です。

隠れコストの明細表

有価証券取引税が安いです。

スリム先進国株式とのリターン比較

次はスリム先進国株式の税抜き信託報酬が0.1095%に引き下げられた2018年1月30日から、株価暴落開始直前の2020年2月20日までの、SMTグローバル株式とのリターン比較です。

スリム先進国株式とSMTグローバル株式とのリターン比較グラフ

青のラインはリターン差で、スリム先進国株式ーSMTグローバル株式です。きれいな右肩上がりの直線です。運用がベンチマークに忠実でなければできない芸当です。

スリム先進国株式とSMTグローバル株式のトータルコスト差は、計算上0.41%ポイント程度あります。次はスリム先進国株式の運用コストを年率0.41%ポイント増量したものとの比較です。

スリム先進国株式の運用コストを年率0.41%ポイント増量したものとの比較グラフ

青のラインはほぼフラットになりました。このことから、運用報告書から計算したトータルコスト差は実際に近いと思われます。

昔は無分配ではなかった

日本のインデックスファンドは税制上の関係により、目論見書で「無分配」とうたえません。でも資産形成を目標にするなら、株式から得られる配当金は分配しないでファンド内で再投資した方が圧倒的に有利です。そのため、良質なインデックスファンドは受益者のために実質無分配を堅持してくれています。

SMTグローバル株式も現在は無分配ですが、2015年5月以前は配当金を出していました。

eMAXIS先進国株式とのリターン比較

次はSMTグローバル株式のトータルコストの変遷です。手元にある最も古い運用報告書から最新のものまでを参照しています。なお、SMTグローバル株式は年2回決算なので、1期は6ヶ月です。

SMTグローバル株式のトータルコストの変遷表

当然ですが、隠れコストは変動しています。でも低水準で推移していますね。

次はeMAXIS先進国株式の2014年1月以降のトータルコストの変遷です。

eMAXIS先進国株式のトータルコストの変遷表

こちらも隠れコストは変動していますが、SMTグローバル株式より高めです。

次はSMTグローバル株式が配当金を出していない、2015年6月以降の、eMAXIS先進国株式とのリターン比較です。

2015年6月以降の、eMAXIS先進国株式とのリターン比較グラフ

青のラインはSMTグローバル株式ーeMAXIS先進国株式です。この期間のトータルコスト差は計算上、年率0.14%ポイント程度あります。次はSMTグローバル株式の運用コストを年率0.14%ポイント増量したものとの比較です。

eMAXIS先進国株式の運用コストを年率0.14%ポイント増量したものとの比較グラフ

序盤で階段状に上がっているのは配当金によるものではないです。おそらくどちらかの運用上の問題でしょう。それはいいとして、その後もわずかに右肩下がりです。

次は運用コストを年率0.13%ポイント増量したものとの比較です。

eMAXIS先進国株式の運用コストを年率0.13%ポイント増量したものとの比較グラフ

序盤を除いてほぼフラットになりました。このことからSMTグローバル株式とeMAXIS先進国株式のトータルコスト差は、ほぼ運用報告書から計算したものと一致すると思われます。

SMTグローバル株式からスリム先進国株式に乗り換えた場合

高コストファンドを保有し続けるべきか、超ローコストファンドに乗り換えるべきかは難しい問題です。難しい理由のひとつは、人は必ずしも合理的な行動ができないと言われるのと同じです。計算上、乗り換えた方が有利と分かっていても、踏ん切りがつかないのです。現状維持バイアスに囚われていると言ってもいいかも知れません。

乗り換えの話はいいやって方は、ここまで飛ばして下さい。

スリム先進国株式が設定されたのは2017年2月ですが、その年の12月には税抜き信託報酬0.1095%への引き下げが発表され、大騒ぎになりました。この現実世界の出来事にならい、2018年年初に乗り換えた場合のシミュレーションです。

含み益10%の場合

次は含み益が10%のSMTグローバル株式からスリム先進国株式に乗り換えたシミュレーションです。

含み益10%のSMTグローバル株式からスリム先進国株式に乗り換えた場合のシミュレーション結果のグラフ

青のラインは右肩上がりで推移しています。時々大きくマイナス側に振れますが、それは基準価額が乗り換え時より下がっているためです。

明らかに乗り換えたほうが得です。

含み益20%の場合

次は含み益が20%のSMTグローバル株式からスリム先進国株式に乗り換えたシミュレーションです。

含み益20%のSMTグローバル株式からスリム先進国株式に乗り換えた場合のシミュレーション結果のグラフ

乗り換えたほうが得です。

含み益30%の場合

次は含み益が30%のSMTグローバル株式からスリム先進国株式に乗り換えたシミュレーションです。

含み益30%のSMTグローバル株式からスリム先進国株式に乗り換えた場合のシミュレーション結果のグラフ

乗り換えたほうが得ですが、その度合が減ってきました。

含み益40%の場合

次は含み益が40%のSMTグローバル株式からスリム先進国株式に乗り換えたシミュレーションです。

含み益40%のSMTグローバル株式からスリム先進国株式に乗り換えた場合のシミュレーション結果のグラフ

含み益がそれだけあると、乗り換えのお得度が減るので心理的抵抗が増えますね。

Fund of the Yearの順位

SMTグローバル株式はかつて、ローコストインデックスファンドの主役だったことが、Fund of the Yearの順位からうかがえます。

Fund of the Yearの順位表

同時に、ニッセイ外国株式によるさらなるローコスト化競争に付いて来れなかった結果が、順位の急落に表れています。

高コストでも減らない純資産総額

次はSMTグローバル株式の設定来の資金流出入額の累計の推移です。純資産総額は717億円もあります。純資産総額の大きさは、DC専用商品を除けば、ニッセイ外国株式、スリム先進国株式に次ぐ3位のはずです。

 

SMTグローバル株式の設定来の資金流出入額の累計の推移グラフ

このグラフから驚くべきことが分かります。

  • 一度頭打ちになった後、2014年から再度売れ始めていますが、その頃ニッセイ外国株式が話題になっていました。不思議です。
  • スリム先進国株式が登場するあたりから増えなくなりますが、それでも下げ止まっています。これはガチホしている古くからの受益者が相当数いることを示唆していると思います。
  • 直近では買われています。この高コストファンドがまだ買われていることに驚きを隠せません。

ニッセイ外国株式とスリム先進国株式もプロットすると、もう世代交代済みだと分かります。

ニッセイ外国株式とスリム先進国株式を加えた資金流出入額の累計の推移グラフ

でも、これら超ローコスト商品は、2008年から市場を牽引したSMTグローバル株式の功績を礎としています。古くからローコストインデックスファンドの普及に尽力された方々に感謝です。

収穫の時

SMTグローバル株式は現在、収穫の時を堪能しているはずです。次は現在の純資産総額から運用会社が得る年間の売上額を計算したものです。

現在の純資産総額から運用会社が得る年間の売上額を計算した表

委託会社(=運用会社)の報酬の桁が違います。そのため、ニッセイ外国株式の純資産総額はSMTグローバル株式の倍以上あるにも関わらず、売上は半分以下しかありません。

SMTグローバル株式を保有している古参の投資ブロガーが、高止まりして下がらない信託報酬に愚痴をこぼしているのを散見しますが、下がるわけありません。下げなくても純資産総額がほとんど変わらないのですから、下げる理由がありません。資本主義社会の基本原則です。

でも、この収穫の時はあと50年もは続かないはずです。なぜなら受益者は不老不死ではなく、多くの場合解約する時を迎えるからです。ほとんど解約せず天寿をまっとうし、誰かにそのまま(SMTグローバル株式の受益者権数として)相続されることもあるでしょうが、そう多くはないでしょう。つまり、いずれ解約されるが買う人はほとんどいないという状態になります。

評価:高コストなので新規投資する価値はありません

高コストファンドから超ローコストファンドに乗り換えるべきかどうかは、各個人の問題なので、好きにすればいいと思います。でも、高コストなので新規投資する価値はありません。新規投資はニッセイ外国株式かスリム先進国株式にするべきです。

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