バランスファンド

SMT世界経済インデックスオープンの運用コストと評価

三井住友トラスト・アセットマネジメントが運用している「世界経済インデックス」は対象資産への投資比率をファンドマネージャーが変更するため、つみたてNISAの「指定インデックス投資信託以外」で適格認定を受けています。

三井住友トラスト・アセットマネジメントは同じ組成で、対象資産への投資割合を変更したSMT世界経済インデックスオープンも運用しています。こちらはGDP比を尊重し、勝手に変更しないことをうたって、「指定インデックス投資信託」で適格認定を受けています。でも、そこまでしてGDP比にこだわる理由が僕には理解できません。

SMT世界経済インデックスオープン

2017年8月25日に設定されました。投資比率を変えたものが3タイプあります。良くあるのは債券重視型、標準型、株式重視型ですが、SMT世界経済インデックスオープンの呼称はこうです。

  • SMT世界経済インデックスオープン(債券シフト型)
  • SMT世界経済インデックスオープン
  • SMT世界経済インデックスオープン(株式シフト型)

税抜き信託報酬は世界経済インデックスの0.50%を踏襲し、株式比率で色を付けています。

SMT世界経済インデックスオープンの税抜き信託報酬表

税抜き3%を上限に購入時手数料を設定可能、解約時信託財産留保額0.5%は、世界経済インデックスと同じです。2017年8月なら、普通のバランスファンドの税抜き信託報酬は0.22%が当たり前でした。その時期に0.50%前後で設定するというのは、やる気がないか、コスト意識のない顧客をターゲットにしているかのどちらかです。

SMT世界経済インデックスオープンは3本ともつみたてNISA適格です。

組成内容

次の伝統的な6資産に投資します。

  • 国内株式、先進国株式、新興国株式
  • 国内債券、先進国債券、新興国債券

各資産クラスが連動する指数は、スリムバランス(8資産均等型)と同じです。

3タイプで異なるのは各資産への投資比率と信託報酬だけです。(出典:目論見書1目論見書2目論見書3

株式と債券の比率グラフ

次は6資産への投資割合です。

資産配分のグラフ

新興国の比率が高めですが、これはGDP比を参考にしているためです。

資産配分の表

GDP比を参考にするけど

世界経済インデックスは、6資産が連動する指数は時価総額比ですが、6資産の投資割合は3地域のGDP比を参考に、ファンドマネージャーが変更します。そのため、世界経済インデックスはアクティブファンドです。

SMT世界経済インデックスオープンも6資産の投資割合はGDP比を参考にしますが、ファンドマネージャーの意思で勝手に変えないことで、つみたてNISAの「指定インデックス投資信託」で適格認定を受けています。でも、微妙です。

次は世界経済インデックスの目論見書と、SMT世界経済インデックスオープンの目論見書の違いを示したものです。上が世界経済インデックス、下がSMT世界経済インデックスオープンです。違いが目立つところを赤枠で囲っています。

世界経済インデックスとSMT世界経済インデックスオープンの目論見書の違い

SMT世界経済インデックスオープンの目論見書では「GDP比に従います」と主張しています。そのため、無印は現在のGDP比をベースにした投資割合となっています。この無印はいいと思います。

でも、債券シフト型と株式シフト型は、無印を基準にして文字通り「シフト」しています。GDP比は尊重した形でのシフトなので、つみたてNISA適格とする上ではまあいいかなと思います。分からないのは、そこまでしてGDP比にこだわる理由です。

バランスファンドが各資産に投資する割合は、固定であればいくらでも構いません。均等型、株式重視型、債券重視型、安定型、成長型、安定成長型、好き放題です。3地域の投資割合をGDP比に連動させることがセールスポイントになるのなら分かりますが、とてもそんな気はしません。確かに、世界経済インデックスが高い人気を獲得したのは事実です。でも2017年8月に明らかに高い信託報酬で設定して売れると考えるのは、甘すぎるでしょう。

なお、1点気に入らないことがあります。運用報告書にベンチマークも参考指数もないとしていることです。

当ファンドの運用の基本方針に適した指数が存在しないため、ベンチマーク及び参考指数を特定しておりません。

引用:運用報告書

これではつみたてNISAの「指定インデックス投資信託」で適格認定を受けられないはずです。絶対に。そういうルールですから。

運用コスト

次は運用報告書から計算した運用コスト(トータルコスト)です。野村6資産均等バランスと比較しています。

運用報告書から計算したトータルコスト表

隠れコストが高いです。高コストになりがちな新興国株式の比率が高いことを考慮しても、良くないですね。(野村6資産均等バランスは新興国に投資しません。)

次は隠れコストの明細です。

隠れコストの明細表

これは第2期決算期間のものです。世界経済インデックスのものと比べても高いです。やる気を出さなかったのでしょうか。

トータルコストは、そもそも信託報酬が高いので、時代に合わない水準です。

リターン比較

バランスファンドは組成が同じ場合を除いて、公平な比較ができません。どちらが有利かは時期によるというのが無難な結論です。過去の実績よりも、自分がその組成が好きかどうかで選ぶのが良いです。

そうは言っても過去の実績を参考にしたくなるのが人間です。

3タイプの値動きの違い

次は2017年10月2日から2020年7月22日までの、3タイプの値動きを比較したものです。

SMT世界経済インデックスオープンの3タイプの値動きのグラフ

比較期間が短いので大きな差は生まれていません。

野村6資産均等バランスとのリターン比較

次は野村6資産均等バランスとSMT世界経済インデックスオープン(株式シフト型)の比較です。

野村6資産均等バランスとSMT世界経済インデックスオープン(株式シフト型)の比較グラフ

青のラインは野村6資産均等バランスーSMT世界経済インデックスオープン(株式シフト型)です。この比較期間だと、新興国比率が高いと不利なのでまあこうなりますよね。

スリムバランス(8資産均等型)とのリターン比較

次はスリムバランス(8資産均等型)とSMT世界経済インデックスオープン(株式シフト型)のリターン比較です。

スリムバランス(8資産均等型)とSMT世界経済インデックスオープン(株式シフト型)のリターン比較グラフ

青のラインはスリムバランス(8資産均等型)ーSMT世界経済インデックスオープン(株式シフト型)です。これならスリムバランス(8資産均等型)でいいと思うかどうかは人それぞれです。

案の定、不人気です

次は設定来の資金流出入額の累計の推移です。一番人気は株式シフト型です。

設定来の資金流出入額の累計の推移グラフ

資金流入は続いていますが、ペースが遅いです。純資産総額はシリーズ全体で54億円です。

スリムバランス(8資産均等型)と野村6資産均等バランスもプロットすると、SMT世界経済インデックスオープンの厳しさが良く分かります。

スリムバランス(8資産均等型)と野村6資産均等バランスもプロットしたグラフ

黄色のラインがスリムバランス(8資産均等型)、紫のラインが野村6資産均等バランスです。

結論:買ってはいけません

え、買ってはいけないの?そこまで言う理由は、2017年8月に税抜き信託報酬0.45%から0.55%という、受益者をナメた設定をした商品だからです。これを買うということは、コスト意識が低いとナメられているのと同じです。似たような組成でもっとローコストかつ資金流入が期待できる商品を探した方がいいでしょう。

それでもこの組成が好きなら、それだけのコストを負担するだけの価値があなたにはある、ということですね。

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