TOPIX連動ファンドが指数に忠実に運用されるのは期待値として当然です。そうでない場合は選択肢から即座に外れます。次に比較対象になるのはトータルコストです。TOPIX連動ファンドの場合は信託報酬が支配的です。
たわらTOPIXはトータルコストが高いため、選択肢に残れません。さらにたわらTOPIXの不人気さが、その判断を決定付けます。
たわらTOPIX
2017年3月21日に税抜き信託報酬0.180%で設定されました。3週間前に設定されたスリム国内株式(TOPIX)と同率でした。その後0.170%に引き下げられましたが、当時の最安水準には届きませんでした。競合商品の最安水準は0.140%であり、信託報酬引き下げ競争からは距離を置いているのは明らかです。
たわらTOPIXはつみたてNISA適格です。
運用コスト
次は運用報告書から計算した運用コスト(トータルコスト)です。スリム国内株式(TOPIX)と比較しています。
たわらTOPIXの隠れコストは少ないですが、良質なTOPIXインデックスの隠れコストはみな十分小さく、トータルコストに占める割合が少ないです。そのため、信託報酬が支配的です。たわらTOPIXのトータルコストは計算上、スリム国内株式(TOPIX)より年率0.03%ポイント高いわけですが、その差は基準価額データで認識できるでしょうか。もちろんできます。
スリム国内株式(TOPIX)とのリターン比較
たわらTOPIXが税抜き信託報酬を0.170%に引き下げた、2018年1月4日から2020年8月21日までで比較します。
青のラインはリターン差で、スリム国内株式(TOPIX)ーたわらTOPIXです。たわらTOPIXの方がトータルコストが高いので、青のラインは右肩上がりで推移しています。
eMAXIS TOPIXとのリターン比較
次はたわらTOPIXの設定直後を避けた2017年4月5日からの、eMAXIS TOPIXとのリターン比較です。
青のラインはきれいな、わずかに弓なりに曲がった直線です。株価暴落時に凹んでいるのは正常です。この青のラインの形状から、たわらTOPIXの運用に問題はなかったと判断します。
トータルコスト差年率0.03%ポイントが生み出す違い
トータルコスト差年率0.03%なんて気にするほどのものじゃない、と思うかも知れません。次はeMAXIS TOPIXの基準価額データと、それのコストを年率0.03%増量したものとの比較です。10年半で0.6%ポイントを超える差が生まれています。
トータルコスト差が年率0.03%でも、それは複利効果によって長期投資では増幅されるのです。
人気を獲得できませんでした
次は設定来の資金流出入額の累計の推移です。純資産総額は18.64億円です。少ないですね。
一時期資金流出傾向でしたが、その後盛り返しています。一定の資金流入はありますが、その額が少ないです。
スリム国内株式(TOPIX)もプロットすると、人気の違いが良く分かります。緑のラインがスリム国内株式(TOPIX)です。
スリム国内株式(TOPIX)もスリムシリーズの多くの商品同様、設定直後から高い人気を獲得できたわけではありません。ところが(スリム先進国株式やスリム新興国株式の)信託報酬引き下げへの姿勢が評価されるようになってから人気を加速させました。
評価:おすすめできません
次の理由から、たわらTOPIXはおすすめできません。
- 税抜き信託報酬が0.03%ポイント安い競合商品が複数存在する。
- もう2年7ヶ月以上、信託報酬を引き下げておらず、競争する気がないのは明らか。
- 不人気で売れていない。
これだけ不利な条件が揃っているので、買う価値を見い出せないです。