バランスファンド

ウルトラバランス世界株式の運用コストと評価

グローバル3倍3分法ファンドは設定後の半年間は全く売れなかったものの、その後急激に売れ始め、異常と呼べる資金流入が続きました。ある組成の投資信託が売れると、それを真似した類似商品が登場するのは、この業界では当たり前の光景です。

ウルトラバランス世界株式は、グローバル3倍3分法ファンドの成功を見て組成された、二匹目のドジョウを狙った商品です。

グローバル3倍3分法ファンドの成功

次はセゾングローバルバランスとグローバル3倍3分法ファンドの、設定来の資金流出入額の累計の推移です。右端は2019年7月末ですが、見やすくするために余白を追加しています。

セゾングローバルバランスとグローバル3倍3分法ファンドの、設定来の資金流出入額の累計の推移グラフ

赤のラインがグローバル3倍3分法ファンドです。あり得ない角度で立ち上がっています。セゾングローバルバランスが12年かけて積み上げてきた資金流入額を、わずか1年で超える勢いです。

グローバル3倍3分法ファンドのこの異様な人気を見れば、後に続きたいと思う運用会社が出てくるのは当然です。

ウルトラバランス世界株式

2019年8月23日に税抜き信託報酬0.53%で設定されました。目論見書には実質的な運用管理費用は税込み0.743%とあります。少し強気の設定かな、というのが当時の印象でした。

  • 販売手数料は税抜き3%を上限にして販売会社が設定可能で、金融機関を選ばないと徴収されてしまいます。
  • 信託財産留保額はありません。
  • 信託期間は無期限です。

もちろんつみたてNISA適格ではありません。

運用会社はアストマックス投信投資顧問です。ヤフー株式会社の子会社です。

20年で21倍ですと

宣伝用の資料は、ウルトラバランス世界株式の方が煽情的です。次はグローバル3倍3分法ファンドの刺激的なシミュレーション結果です。

グローバル3倍3分法ファンドの刺激的なシミュレーション結果

引用:日興アセットマネジメント

15年で10倍とあります。ウルトラバランス世界株式はその上を行きます。

ウルトラバランス世界株式のシミュレーション結果

引用:SBI証券

20年で21倍とあります。

こういうのをバックワードテストと呼びますが、バックワードテストでは良くても実際に組成して運用すると上手く行かないことがあるのは、専門家の方も認めています。つまるところ、グローバル3倍3分法ファンドもウルトラバランス世界株式も、受益者から集めた資金を使って、狙い通りのパフォーマンスが出せるかどうか試しているのです。毎営業日信託報酬を徴収しながらです。

仕組み

目論見書によると、資産の80%でiShares Edge MSCIミニマムボラティリティグローバルETFを買い、残り20%にレバレッジをかけて、債券と金の先物を買います。

引用:目論見書

これで20年で21倍のパフォーマンスが実現できたというのは僕の理解を超えています。

最小分散投資

マニアックな話はいいやって方は、ここまで飛ばしてください。

ウルトラバランス世界株式はiShares Edge MSCIミニマムボラティリティグローバルETF(ACWV)に投資します。ミニマムボラティリティは「最小分散」のことです。ウルトラバランス世界株式の販売資料にはこうあります。

世界最小分散投資の説明図

引用:ウルトラバランス世界株式の販売資料

次はACWVトータルリターンとVTトータルリターンの、2012年年初からの比較です。

ACWVトータルリターンとVTトータルリターンの、2012年年初からの比較グラフ

赤のラインがVTトータルリターン、緑のラインがACWVトータルリターンです。青のラインはリターン差で、VTトータルリターンーACWVトータルリターンです。

時期によってプラスマイナス20%もの差がありますが、一方的に差が広がっているわけではありません。よって、最小分散だからいつでも有利ということではないです。(もしそうなら最小分散以外は死滅してますよね。)

次はウルトラバランス世界株式とACWVトータルリターンの比較です。

ウルトラバランス世界株式とACWVトータルリターンの比較グラフ

赤のラインがウルトラバランス世界株式です。青のラインはウルトラバランス世界株式ーACWVトータルリターンです。

株価暴落前はACWVトータルリターンが有利でした(ウルトラバランス世界株式意味無し)が、ウルトラバランス世界株式は株価暴落時の下落率が低く、回復の様子も良さそうです。

運用コスト

次は運用報告書から計算した運用コスト(トータルコスト)です。グローバル3倍3分法ファンドと比較しています。

運用報告書から計算したトータルコスト表

ウルトラバランス世界株式の運用報告書には、トータルコストが税込み1.14%ととれる箇所がありますが、上記はそれより実態に近いものです。

ウルトラバランス世界株式のトータルコストは1.47%と引いちゃいそうなほど高いです。でも20年で21倍のリターンが得られるならその程度のコストは屁でもないですね。

スリム米国株式(S&P500)とのリターン比較

レバレッジ型バランスファンドとのリターン比較対象に、スリム米国株式(S&P500)を選んでも文句は出ないと思います。次はウルトラバランス世界株式の設定直後を避けた、2019年9月10日から2020年8月7日までの比較です。

ウルトラバランス世界株式とスリム米国株式(S&P500)とのリターン比較グラフ

赤のラインがウルトラバランス世界株式です。青のラインはウルトラバランス世界株式ースリム米国株式(S&P500)です。

株価暴落前からスリム米国株式(S&P500)に大きく負けています。株価暴落時の下落率はウルトラバランス世界株式の方が小さかったですが、回復の様子は互角です。

次は同じ期間における、ACWVトータルリターンとスリム米国株式(S&P500)の比較です。ただし右端はトータルリターン生成処理の都合で7月末です。

ACWVトータルリターンとスリム米国株式(S&P500)の比較グラフ

赤のラインがACWVトータルリターンです。この比較期間ではACWVよりS&P500の方が有利でした。

グローバル3倍3分法ファンドとのリターン比較

次はウルトラバランス世界株式が目標にしたであろう、グローバル3倍3分法ファンドとの比較です。

ウルトラバランス世界株式とグローバル3倍3分法ファンドとのリターン比較グラフ

赤のラインがウルトラバランス世界株式です。青のラインはウルトラバランス世界株式ーグローバル3倍3分法ファンドです。

株価暴落前はグローバル3倍3分法ファンドが有利でしたが、グローバル3倍3分法ファンドは株価暴時に大きく下落(暴落)してしまいました。回復の様子はいい勝負か、ウルトラバランス世界株式の方が少しいい程度です。

売れていません

次は設定来の資金流出入額の累計の推移です。純資産総額は4.88億円です。

設定来の資金流出入額の累計の推移グラフ

設定時の純資産総額が1.88億円ありましたが、そのうちいくらかは運用側の初期投資かも知れません。

グラフが示している通り、資金流入があったのは設定後1ヶ月程度で、その後は減少傾向です。あのパフォーマンスだと、これは当然の結果でしょう。

評価:おすすめしません

信託期間が無期限なのはいいのですが、不人気過ぎます。目論見書には受益者権数が10億口を下回ったら繰上償還可能と明記されています。現状の不人気が続くと、マジで繰上償還コースです。

パフォーマンスも、うたい文句の「20年で21倍」が怪しく聞こえるほど平凡です。高コストなのは確かなので、慌てて飛びつくことはないでしょう。

その後のグローバル3倍3分法ファンド

グローバル3倍3分法ファンドはセゾングローバルバランスの総資金流入額を軽く追い抜きましたが、株価暴落後は資金流出が続いています。

セゾングローバルバランスとグローバル3倍3分法ファンドの資金流出入額の累計の推移グラフ

それにしてもものすごい資金流入額でしたね。

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