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ウルトラバランス高利回り債券の運用コストと評価

ウルトラバランス世界株式の株式部分を債券に変えたのが、ウルトラバランス高利回り債券です。ウルトラバランス世界株式よりも高コストですが、これまでのところ、パフォーマンスは互角です。

未来のことは分かりませんが、ウルトラバランス世界株式と運命をともにしそうな雰囲気です。

更新情報

参照しているデータを最新版に更新しています。

ウルトラバランス高利回り債券

ウルトラバランス世界株式の設定からちょうど3ヶ月後の2019年11月22日に、税抜き信託報酬0.53%で設定されました。ウルトラバランス世界株式と同率です。実質的な運用管理費用は税込み0.799%とあります。当時はまだウルトラバランス世界株式の売れ行きに期待が持てていたので、レバレッジ型バランスファンドで攻めたいとの想いで設定したのでしょう。

ウルトラバランス世界株式は決算頻度が年2回のものだけ、しかも積極的に分配するとはうたっていません。ところがウルトラバランス高利回り債券は、残念なことに、次の2タイプを組成しています。

  • 年2回決算型:積極的に分配
  • 隔月決算型:積極的に分配

どちらも分配金を喜ぶ金融リテラシーに欠ける顧客を狙った戦略です。

  • 販売手数料は税抜き3%を上限にして販売会社が設定可能で、金融機関を選ばないと徴収されてしまいます。
  • 信託財産留保額はありません。
  • 信託期間は無期限です。

もちろんつみたてNISA適格ではありません。運用会社はアストマックス投信投資顧問です。ヤフー株式会社の子会社です。2021年3月8日付で「PayPayアセットマネジメント 株式会社」に変更されました。そして、商品名の先頭に「PayPay投信」が追加されています。

20年で24倍ですと

ウルトラバランス世界株式は20年で21倍に増えましたという煽情的なシミュレーション結果を提示しています。

ウルトラバランス世界株式のシミュレーション結果

引用:アストマックス投信投資顧問

ウルトラバランス高利回り債券も強気です。20年で24倍です。

ウルトラバランス高利回り債券のシミュレーション結果

引用:アストマックス投信投資顧問

僕は、複数のレバレッジ型バランスファンドの煽情的なシミュレーションと、現在の期待ハズレなパフォーマンスから学習済みなので、心が乱れることはありません。

仕組み

目論見書によると、資産の80%で次の2つのETFを均等に買います。

  • iSharesブロード米ドル建てハイイールドコーポレイトボンド(USHY)
  • iShares J.P.Morgan米ドル建てエマージングマーケッツボンド(EMB)

残りの資産20%にレバレッジをかけて、債券と金の先物を買います。

ウルトラバランス高利回り債券の組成内容

引用:目論見書

ウルトラバランス世界株式は、図の緑色の部分がiShares Edge MSCIミニマムボラティリティグローバルETFです。レバレッジをかけているピンク部分の組成は同一です。

これで20年で24倍のパフォーマンスが実現できたというのは僕の理解を超えています。

米ドル建て債券

ここからマニアックな話になります。そういうのはいいやって方は、ここまで飛ばして下さい。

ウルトラバランス高利回り債券は資産の40%で米ドル建てハイイールド社債ETF(USHY)を、40%で米ドル建て新興国債券ETF(EMB)を買います。この2つのETFの値動きを確認したかったのですが、USHYは設定されたのが2017年10月と新しいです。そこで代わりにiShares iBoxx米ドル建てハイイールド社債ETF(HYG)を参照します。

次は2008年年初からの、HYGとEMBのトータルリターン(配当金再投資、円換算後)の比較です。右端は2021年2月末です。

HYGとEMBのトータルリターンの比較グラフ

赤のラインがHYGです。EMBの方が高パフォーマンスですね。

ウルトラバランス世界株式の株式部分はACWVです。次は、HYGとEMBを50:50で合成、毎月リバランスしたものと、ACWVトータルリターンの比較です。

HYGとEMBのトータルリターンの合成結果とACWVトータルリターンの比較グラフ

緑のラインのACWVの圧勝です。そりゃあそうですよね。株式と債券では勝負になりません。

でも、煽情的なシミュレーション結果は、ウルトラバランス世界株式よりウルトラバランス高利回り債券の方が上でした。ということは、支配的なのはレバレッジをかけた債券と金なのでしょうか。

運用コスト

次は運用報告書から計算した運用コスト(トータルコスト)です。ウルトラバランス世界株式と比較しています。

運用報告書から計算したトータルコスト表

ウルトラバランス高利回り債券の信託報酬は、売買しているETFの経費率を加味してあります。

ウルトラバランス高利回り債券のトータルコストはびっくりするほど高いですね。ウルトラバランス世界株式のトータルコストも引いちゃいそうなほど高いのですが、さらにその上を行っています。(それでも前決算期よりは削減されています。)

次は隠れコストの明細です。高い項目を赤字にしています。

隠れコストの明細表

ウルトラバランス高利回り債券は全体的に高いですが、特に監査費用とその他(印刷費用など)が高いです。印刷費用がべらぼうに高いのは、フルカラーで紙質の高い販売資料をガンガン印刷したからでしょうか。

リターン比較

比較対象を厳選しました。ウルトラバランス高利回り債券は年2回決算型のみです。比較期間は(特に明記がない限り)設定直後を避けた2019年12月10日から、2021年3月5日です。

HYG+EMBとのリターン比較

トータルリターン生成の都合で、右端は2021年2月末です。

ウルトラバランス高利回り債券とHYG+EMBのリターン比較グラフ

緑のラインがHYG+EMBです。なるほど、レバレッジをかけた債券+金の効果が実感できますね。でも2020年8月以降は上昇できていません。

スリム米国株式(S&P500)とのリターン比較

ウルトラバランス高利回り債券とスリム米国株式(S&P500)のリターン比較グラフ

緑のラインがスリム米国株式(S&P500)です。ウルトラバランス高利回り債券は株価暴落時の下落率が小さく、回復が速いように見えます。が、青のラインは暴落後右肩下がりなので、スリム米国株式に伸び率で負けていることが分かります。

ウルトラバランス高利回り債券は8月以降上昇できておらず、スリム先進国株式に劣後しています。株式と債券の状況を考えれば納得の結果です。

ウルトラバランス世界株式とのリターン比較

ウルトラバランス高利回り債券とウルトラバランス世界株式のリターン比較グラフ

緑のラインがウルトラバランス世界株式です。互角ですね。つまり、どちらも残念なパフォーマンスだということです。

グローバル3倍3分法ファンドとのリターン比較

ウルトラバランス高利回り債券とグローバル3倍3分法ファンドのリターン比較グラフ

緑のラインがグローバル3倍3分法ファンドです。ウルトラバランス高利回り債券は暴落時の下落率は低かったのですが、その後の回復はグローバル3倍3分法ファンドと大差ありませんでした。が、8月以降は成長できておらず、グローバル3倍3分法ファンドに差を縮められています。

どちらも、普通のインデックスに見劣りする残念結果となっています。

楽天米国レバレッジバランスとのリターン比較

このグラフだけ、緑のラインがウルトラバランス高利回り債券です。

ウルトラバランス高利回り債券と楽天米国レバレッジバランスのリターン比較グラフ

楽天米国レバレッジバランスの方が高パフォーマンスです。

不人気です

次は設定来の資金流出入額の累計の推移です。設定日の純資産総額が1億円ちょっとありましたが、そのうちいくらかは運用側の初期投資かも知れません。

設定来の資金流出入額の累計の推移

純資産総額は合計で3.83億円しかありません。

純資産総額一覧表

高コストなのにパフォーマンスが残念なので、不人気なのは当然の結果ですね。

評価:おすすめしません

信託期間は無期限ですが、高コストなのにパフォーマンスが残念で不人気といいところがありません。目論見書には受益者権数が10億口を下回ったら繰上償還可能と明記されています。現状の不人気が続くと、マジで繰上償還コースです。ウルトラバランス世界株式とともにです。

そもそも、ウルトラバランス世界株式があるのに、ウルトラバランス高利回り債券を組成する必要はあったのでしょうか。僕は、マーケティング上の動機以外に組成した理由を思い付きません。

ウルトラバランス高利回り債券もウルトラバランス世界株式も、注目される「旬」を過ぎてしまった気がします。注目されるような高いパフォーマンスを発揮できているなら話は別ですが、現状だとこのまま忘れ去られると思います。

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