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米国3倍4資産リスク分散の運用コストと評価

グローバル3倍3分法ファンドへの異常な資金流入を見て、後に続けと2番目に組成されたのがウルトラバランス世界株式でした。それから約2ヶ月に登場した3番目が米国3倍4資産リスク分散です。運用はiFreeシリーズで有名な大和アセットマネジメントです。米国3倍4資産リスク分散はiFree(なんとか)シリーズの商品ではありません。理由は推して知るべしです。

グローバル3倍3分法ファンドは大成功を手にした後、株価暴落後に資金流出が続きました。ウルトラバランス世界株式は低パフォーマンスで売れていません。米国3倍4資産リスク分散はどうでしょうか。

更新情報

参照しているデータを最新版に更新しています。

米国3倍4資産リスク分散

2019年10月15日に税抜き信託報酬1.025%で設定されました。ずいぶん強気な設定です。決算頻度が異なる次の3タイプがあります。

  • 年2回決算型:普通に分配
  • 隔月決算型:積極的に分配
  • 毎月決算型:積極的に分配

グローバル3倍3分法ファンドにも隔月決算型がありますが、受益者に分配金が定期的に出るから有利と思わせる組成を、いまだにやめない運用会社の姿勢が悲しいです。この3タイプの存在を見ただけで、米国3倍4資産リスク分散がどういう受益者を対象にしているかが透けて見えます。

なお、年2回決算型も「分配する」と明言していて、実際に分配しています。良質なインデックスファンドの逆を行ってます。

  • 販売手数料は税抜き3%を上限にして販売会社が設定可能で、金融機関を選ばないと徴収されてしまいます。
  • 信託財産留保額はありません。
  • 信託期間は10年の2029年9月11日までです。

もちろんつみたてNISA適格ではありません。

20年で23倍ですと

レバレッジ型バランスファンドの特徴のひとつが、煽情的なパフォーマンスの喧伝です。ウルトラバランス世界株式は20年で21倍でしたが、米国3倍4資産リスク分散も負けていません。

米国3倍4資産リスク分散の過去20年のシミュレーション結果のグラフ

引用:新R25のPR記事

では米国3倍4資産リスク分散を30代で200万円ほど買って放置しておけば、老後2,000万円問題は解消ですね。いや、信託期間が10年しかないのでダメでした。

ちなみに、次は2000年2月末から2020年2月末までの、SPYトータルリターン(S&P500連動ETFの配当を再投資したリターン)の推移です。

2000年2月末から2020年2月末までの、SPYトータルリターンの推移グラフ

確かにS&P500は20年で3.1倍に増えました。この期間で23倍のパフォーマンスを未来に実現できるなら、マジで素晴らしいです。

仕組み

僕には理解できない複雑な組成です。

米国3倍4資産リスク分散の仕組みの説明図

引用:目論見書

投資対象は全部で5資産です。次の図の上から4つが主な投資先になります。

米国3倍4資産リスク分散の投資対象

引用:目論見書

運用コスト

次は運用報告書から計算した運用コスト(トータルコスト)です。

運用報告書から計算したトータルコスト表

運用報告書から計算したレバレッジ型バランスファンドのトータルコストは、普通のインデックスファンドのそれより信頼性が低いという気がしています。それでも米国3倍4資産リスク分散のトータルコストは高いです。この高いコストが気にならないほどのリターンを、実際にもたらしてくれるかどうかですね。

スリム米国株式(S&P500)とのリターン比較

米国3倍4資産リスク分散はパフォーマンスの高さの喧伝に、S&P500を引き合いに出しています。ならばスリム米国株式(S&P500)とリターン比較をしても文句は出ませんね。次は米国3倍4資産リスク分散(年2回決算型)の設定直後を避けた、2019年11月1日から2021年8月27日までの比較です。

米国3倍4資産リスク分散とスリム米国株式(S&P500)とのリターン比較グラフ

赤のラインがスリム米国株式(S&P500)、緑のラインが米国3倍4資産リスク分散です。青のラインはリターン差で、スリム米国株式ー米国3倍4資産リスク分散です。

コロナショックによる株価暴落後しばらくは、米国3倍4資産リスク分散の方が回復が早くスリム米国株式をアウトパフォームしていました。が、米国3倍4資産リスク分散が優位だったのは2020年7月までで、8月以降はスリム米国株式に大きく劣後してしまいました。

2021年4月以降は互角で推移しているものの、この様子だとわざわざ高コストな米国3倍4資産リスク分散に投資する意味はないですね。

グローバル3倍3分法ファンドとのリターン比較

次は米国3倍4資産リスク分散が目標にしたであろう、グローバル3倍3分法ファンドとの比較です。縦軸のスケールだけ変えています。

米国3倍4資産リスク分散とグローバル3倍3分法ファンドとのリターン比較グラフ

赤のラインが米国3倍4資産リスク分散です。米国3倍4資産リスク分散は2020年8月以降成長が止まり、グローバル3倍3分法ファンドに追い上げられました。2021年3月以降は互角で推移しています。

ウルトラバランス世界株式とのリターン比較

次はウルトラバランス世界株式との比較です。グラフのスケールはグローバル3倍3分法ファンドの比較と同じです。

米国3倍4資産リスク分散とウルトラバランス世界株式とのリターン比較グラフ

赤のラインが米国3倍4資産リスク分散です。コロナショックによる株価暴落後はほぼ同じ値動きで推移しています。ウルトラバランス世界株式、米国3倍4資産リスク分散ともに魅力を感じないですね。

不人気です

次は設定来の資金流出入額の累計の推移です。

設定来の資金流出入額の累計の推移

コロナショックによる株価暴落後頭打ちになり、2020年12月以降は資金流出傾向です。商品に魅力がないことを反映していると言えるでしょう。

純資産総額は全部で3.51億円しかありません。

純資産総額一覧表

この様子だと繰上償還コースです。

少ない販社数

米国3倍4資産リスク分散を扱っている販社はたったの7社です。

  • SBI証券
  • 楽天証券
  • マネックス証券
  • 松井証券
  • auカブコム証券
  • GMOクリック証券
  • フィデリティ証券

これでは売れないでしょ。(大和証券で扱わないのはなぜ?)

評価:おすすめしません

僕は、1年決算型で無分配を目指すタイプの1本だけを組成すべきだったと思います。そしてiFreeレバレッジシリーズの1商品として、信託期間無期限で組成すべきだったと思うのです。やる気が違うでしょ。

米国3倍4資産リスク分散は高コストながらパフォーマンスは(これまでのところ)情けないです。コロナショックによる株価暴落後、弱点があらわになった感じです。

グローバル3倍3分法ファンドがあれだけ売れたのは、株価暴落前は不思議なほどパフォーマンスが高かったからです。

次はグローバル3倍3分法ファンドとスリム米国株式(S&P500)のリターン比較です。株価暴落前までを切り出しています。

グローバル3倍3分法ファンドとスリム米国株式(S&P500)のリターン比較グラフ

赤のラインがグローバル3倍3分法ファンドです。こういう比較結果を見せられると、レバレッジ型バランスファンドは凄いのかも知れないと思います。ところがコロナショックによる株価暴落は想定外だったのか、レバレッジ型バランスファンドの多くは残念なパフォーマンスしか出せていません。

パフォーマンスが低い、不人気で繰上償還のリスクが高いこと、そもそも信託期間が10年しかないことを考えると、たとえレバレッジ型バランスファンドに投資するとしても、米国3倍4資産リスク分散はおすすめしません。

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