債券

【出口戦略】国内債券インデックスはデメリットが大きく買う意味ありません

バランスファンドの多くは債券に投資します。そしてたいてい国内債券にも投資します。そうするのには狙いがあり、国内債券に投資するデメリットも織り込み済みです。

が、国内債券インデックス単独で考えた場合、残念ながら現在は買う意味がない、というのが僕の考えです。なぜでしょうか。

更新情報

参照しているデータを更新しています。

NOMURA-BPI総合指数

スリムもニッセイもたわらもSmart-iもiFreeも、国内債券インデックスファンドはNOMURA-BPI総合指数をベンチマークにしています。次はその指数のリターンの推移です。

NOMURA-BPI総合指数のリターンの推移グラフ

引用:myINDEX

右端をカットしています。1970年、80年代は年率12%を超えた時もあったわけですが、2000年代は数%しかありません。2019年はたったの1.6%です。2020年、21年はマイナスでした。

スリム国内債券

スリム国内債券の税抜き信託報酬は0.12%、トータルコストは税込み0.135%です。近年のNOMURA-BPI総合指数のリターンからこれを引くと、受益者が得られるリターンはあっても1%未満です。

債券価格は株価と(ある程度)逆の相関があります。次はスリム国内債券の設定直後を避けた2017年3月15日からのリターンの推移です。

スリム国内債券の設定直後を避けた2017年3月15日からのリターンの推移グラフ

次は同じ期間における、スリム国内株式(TOPIX)のリターンの推移です。縦軸のスケールは10倍です。

スリム国内株式(TOPIX)のリターンの推移グラフ

逆の相関と言っても国内債券インデックスの値動きは小さいです。一緒にプロットすると、国内債券の値動きの小ささが良く分かります。

スリム国内債券とスリム国内株式(TOPIX)のリターン比較グラフ

リターン比較

出口戦略向きの商品とスリム国内債券を比較します。

iシェアーズ米国債7-10年 ETF(ヘッジあり)との比較

次は僕の出口戦略の最有力候補だった、iシェアーズ米国債7-10年 ETF(ヘッジあり)との比較です。配当金は無視しています。

iシェアーズ米ドル建て投資適格社債ETF(ヘッジあり)とスリム国内債券のリターン比較グラフ

赤のラインがiシェアーズ米国債7-10年 ETF(ヘッジあり)です。青のラインはiシェアーズ米国債7-10年 ETF(ヘッジあり)ースリム国内債券です。

最近は米国の債券金利上昇により(為替ヘッジコストもあって)債券ファンドの基準価額が暴落しています。日本はかたくなに利上げをしていないため、まだ暴落していません。(でも基準価額は下落しています。)

この比較を見ると、スリム国内債券も悪くない気がしますが、期待リターンが低すぎるので、どちらも出口戦略には不向きです。

たわら先進国債券(ヘッジあり)との比較

次は僕の出口戦略で2番目の候補にしていた、たわら先進国債券(ヘッジあり)との比較です。

たわら先進国債券(ヘッジあり)とスリム国内債券のリターン比較グラフ

赤のラインがたわら先進国債券(ヘッジあり)です。青のラインはたわら先進国債券(ヘッジあり)ースリム国内債券です。

この比較を見ると、スリム国内債券も悪くない気がしますが、期待リターンが低すぎるので、どちらも出口戦略には不向きです。

楽天全世界債券(ヘッジあり)との比較

僕の出口戦略には不向きですが、せっかくなので比較しました。2019年2月15日からです。

楽天全世界債券(ヘッジあり)とスリム国内債券のリターン比較グラフ

最近は見事に暴落しています。どちらも出口戦略には不向きです。

マイナス金利政策

日銀は2016年2月からマイナス金利政策を導入しました。もう6年経過しましたが副作用ばかりが目立ち、デフレ脱却に本当に効果があるのか疑問です。

マイナス金利政策により国内債券の利回りは低下しました。もう金利はこれ以上下げることはできず、いつになるかは分かりませんが上げるしかありません。金利を上げると債券の利回りも上がりますが、そうすると債券価格が暴落します。国内債券インデックスの基準価額が暴落するということです。

デュレーション

債券で怖いのはデュレーションです。

デュレーションとは、債券の金利変動に対する価格変化を表す指標で、例えば、債券の金利が1%上昇(低下)した場合、デュレーション1年の債券は額面100円につき1円下落(上昇)するのに対して、デュレーション3年の債券は3円下落(上昇)する。

引用:モーニングスター

NOMURA-BPI総合指数のデュレーションは9年を超えています。次は2003年からのデュレーションの推移です。

2003年からのデュレーションの推移グラフ

引用:第一生命 年金通信

スリム国内債券の月報によると、現在のデュレーションは9.2年です。つまり債券の金利が1%上昇すると国内債券インデックスの基準価額は9.2%下落します。ほぼその金利のままだと、下落分を取り戻すのにかなりの年数が必要になります。そして、国内債券の基準価額はいつか暴落するのが避けられません。金利を上げる時が必ず来るからです。

これが現状の国内債券の最大のデメリットです。ただし、債券の金利がいつどれだけ上がるかは誰にも分かりません。

いつかは暴落し、回復に長期間必要

現在リターンが低いのは許すとしても、マイナス金利政策をやめると債券の金利上昇によって国内債券インデックスは暴落します。これは必然で、避けられません。そして、回復には長期間必要です。このリスクを考えると国内債券インデックスに投資する気になれません。

バランスファンドの多くがこの国内債券に投資しているのも心配です。たとえば8資産均等型の場合、資産の1/8で国内債券を買っていますが、現在リターンが期待できないにも関わらず、暴落するリスクは確実にあるわけです。

でも、たとえ国内債券が8%暴落しても8資産均等型全体で見ると1%の影響しかなく、他の資産がカバーしてくれるとは思います。そういうことも含めて、バランスファンドの1資産クラスなわけですが、それにしても今は分が悪いですね。

結論:現在は買う意味ありません

2015年までの値動きなら、低リスク低リターンだけど定期預金よりは利回りが高く、アセットアロケーションに組み込む価値がありました。たとえば、株式100%で運用してきたけど、年齢が高くなってきたのでリスクを減らす目的で、株式から債券にシフトする場合などです。

でも日銀がマイナス金利政策をやめて、金利上昇後でないとその戦略は国内債券では取れません。

それ以外の目的であっても、期待リターンが低いのに暴落のリスクが確実にある国内債券を買う気にはなれないです。

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