投資信託の積立投資、続けていますか?毎月積み立てですか?積立額は5万円以下ですか?
この質問への回答がみなYesなら、実質、対象の投資信託のリターンを1%改善する方法があります。しかもノーリスク・追加コストゼロで。
いやいや、そんなうまい話がこの世にあるわけないでしょ、と思いますよね。でも実はあるんですよ。僕も妻もすでに2年程度、その恩恵を享受しています。
革命的なサービスの登場
サービス内容は知ってるって方は、ここまで飛ばしてください。
丸井グループの挑戦
丸井グループは2018年5月に、つみたて専門の証券会社を設立すると発表しました。後のtsumiki証券です。驚いたことに、クレジットカード決済で投資信託を買えるとあり、大いに注目を浴びました。しかしそのサービス内容はあまりに残念なもので、多くの人をがっかりさせました。
その一方で、楽天グループを本気にさせてしまいました。
楽天証券の逆襲
丸井グループが発表した、クレジットカード決済で投資信託が買えるというのは日本初のスキームでしたが、それが楽天グループのトラの尾を踏んだようです。丸井グループがつみたて専門の証券会社を設立することを発表したわずか111日後に、楽天グループは衝撃的な発表を行いました。
毎月5万円を上限に、すべての投資信託の積み立てを楽天カードで決済でき、1%の通常の楽天スーパーポイントを付与するというものです。しかも、特定口座、NISA口座、つみたてNISA口座が対象です。
引用:プレスリリース
破壊力抜群です。これはtsumiki証券への死亡宣告のようなものでした。
引用:楽天証券
また、楽天グループの意思決定の速さにも驚きました。tsumiki証券が口座開設を始めたのは2018年9月でしたが、その前にこの革命的・破壊的なサービスを発表しました。2018年10月28日から、投資信託の積立を楽天カード決裁で行う設定が可能になったのです。
積立額5万円まで
投資信託を積立している世帯の34%は、毎月の積立額が5万円未満だそうです。
75,000円未満だと世帯の54%を超えます。夫婦で考えた場合、つみたてNISAの非課税枠を満額埋めるのに毎月66,666円必要ですから、この調査結果には現実感があります。
楽天カード決済で積み立てできるのは月額5万円が上限ですが、どうやらこの制約は「法令」が由来のようです。
横からすみません。
クレカが信用供与にあたるのかはさておき、金融商品取引法の内閣府令で上限が定められているため、現時点では2ヶ月内に上限10万円(月に直すと5万円まで)となります。
ただ、証券会社あたりの上限ですので、他の証券会社が同様のことをやれば1人あたりの上限は増えます。 https://t.co/gbU5LV7XZs— Akihiro Nishimura (@Nishimyuran) April 14, 2019
自由度の高い積立設定
つみたてNISAを毎月積み立てる場合、月額33,333円が上限になります。これを楽天カード決済にしても、16,667円余ります。これは特定口座での積立投資で消化できます。
このサービス、設定の自由度が高いです。ただし、積立日は1日しか選択できません。僕は、毎月積立の積立日は1日が良いと考えているので、全く不満ありません。つみたてNISAでしか選択できない毎営業日積み立ても対象外ですが、極めてまっとうな判断です。
ポイントの再投資効果
楽天カード決済による積立で、1%の通常ポイントが付与されます。楽天経済圏に取り込まれている人にとっては、1%の現金と等価です。
もし、付与されるポイントを再投資したら、ポイントで(または等価な現金で)同じ投資信託を買ったら、どうなるでしょうか。次の2つのケースを比較しました。
- ポイントを再投資しない(従来と同じ)。
- ポイントを翌月以降毎月月初に積立にて再投資する。
評価額の差は次の計算式で求めます。
評価額の差(%)=(ポイントを再投資した場合の評価額ーポイントを再投資しない場合の評価額)÷ポイントを再投資しない場合の評価額
また、シミュレーション用にインデックスファンドの基準価額データを使います。使うのは過去データですが、これから起こる未来のことに置き換えて考えてください。
スリム先進国株式、過去3年間
毎月5万円を楽天カード決済で積み立て、1ヶ月遅れて500円を普通に積み立てます。
青のラインが評価額の差です。この結果を想像できてた人は凄いと思います。
評価額の差は初月は0です。再投資していませんからね。2ヶ月目から毎月の積立額が1%増えます。2ヶ月目で考えると、評価額の差はこうです。
評価額の差(%)=(元本100,500円の評価額ー元本100,000円の評価額)÷元本100,000円の評価額
比較期間が長くなれば初月再投資がなかった分が希釈されて評価額の差は1%に収束するのです。
また、当然ですがポイント分の再投資により元本は17,500円増えました。再投資分も基準価額上昇の恩恵を受けるため、評価額の差は18,791円でした。これ、楽天カード決済でなかったらゼロだったのですよ。凄いと思いませんか。
スリム新興国株式、過去3年間
スリム新興国株式の過去3年間の基準価額の推移は、かなり残念なものでした。
が、ポイントの再投資はコスト負担ゼロで元本を1%増やしてくれる優れもので、その効果は基準価額の推移(相場)に影響されません。
基準価額が上がろうが下がろうが(1%に収束する)決まった割合だけリターンが改善されるのです。凄いと思いませんか。
つみたてNISA+特定口座の場合
スリム全世界株式(オール・カントリー)をつみたてNISAで毎月33,333円積み立てているとします。これを楽天カード決済にします。そして特定口座でオール・カントリーを16,667円、楽天カード決済で積み立てるとします。
つみたてNISA口座ではポイント分500円を再投資する、非課税枠の残りがないので、特定口座でオール・カントリーに再投資します。
次は過去2年間のシミュレーション結果です。
つみたてNISA口座は無視しています。特定口座だけで見ると、500円は16,667円の2.99%なので、青のラインは理屈通りに2.99%に収束しています。
この投資方法だと、特定口座で買っている投資信託のリターンがほぼ3%改善されるのです。しかも受益者負担ゼロ円でです。他の金融機関でつみたてNISAするのがアホらしく思えませんか。
この計算、インチキくさいと感じるかも知れません。でも楽天カード決済を使わないで同様のリターンの改善は不可能です。
つみたてNISAだけの場合でも
つみたてNISAの非課税枠を満額埋めたら、投資可能な予算が残らないという場合もあるでしょう。特に若い頃はそうだと思います。そうであっても、このサービスは有効です。
つみたてNISAで毎月33,333円を楽天カード決済で積み立て、もらえるポイント333円分を特定口座で積み立てます。次はスリム全世界株式(オール・カントリー)の過去2年間の積み立てシミュレーションです。
元本7,992円は税引き前で8,499円に増えました。ノーリスク・追加コストゼロで手に入れたポイントが原資です。凄いと思いませんか。
楽天スーパーポイントを投信の積立に使用する場合の落とし穴
投信の積立に楽天スーパーポイントを使う設定を有効にすると、楽天カード決裁にも適用されてしまうようです。よって、次の問題が生じるかも知れません。
- 5万円の積立でもらえる楽天スーパーポイント500円分を再投資すべく、楽天スーパーポイントの利用上限を500ポイントに設定した。
- 最初は楽天スーパーポイントの残高は0だった。
- 楽天カードで5万円積み立てたので500ポイント付与された。
- 証券口座利用で500円積み立てる設定をした。(先に楽天スーパーポイントが使われるはず。)
- でも実際には5万円の積み立てが先に500ポイント使ってしまった。
楽天カードによる積み立てと証券口座利用の積み立てとどちらが先に楽天スーパーポイントを消費するかで結果が変わります。損得の観点では楽カードによる積み立てでは5万円決裁した方が得だと思うのですが、楽天スーパーポイント払いを有効にするとそうできない可能性が出てきます。
そのため、僕はこの楽天スーパーポイント払いを使いづらいと感じているため有効にしていません。
それでも、もらったポイントは有効に使っているのだから、この記事にある「再投資」は普通に証券口座利用、楽天スーパーポイントで払わない設定でやれば良いと思います。
超人気インデックスファンドはいつ買われているか
次は上から順に、スリム全世界株式(オール・カントリー)、スリム米国株式(S&P500)、SBIバンガードS&P500の、直近6ヶ月の毎営業日ごとの資金流出入額の推移です。
スリム全世界株式(オール・カントリー)とスリム米国株式(S&P500)は月初の資金流入が顕著です。SBIバンガードS&P500のはバラバラです。
これは僕の推測ですが、スリム全世界株式(オール・カントリー)とスリム米国株式(S&P500)の月初の資金流入が多いのは、楽天カード決済での積み立てによるものではないでしょうか。SBIバンガードS&P500は楽天証券では買えないので、受益者は好きな日を選んで買っているのではないかと。
まとめ:コスト負担ゼロでできる神サービス
受益者の視点ではコスト負担ゼロです。設定を変更するだけです。新たな出費は不要です。素晴らしすぎます。
投資信託を毎月5万円買うことができるのなら、真っ先に楽天カード決済による積み立てを検討すべきでしょう。こんな神サービス、利用しない手はありません。
楽天グループや楽天経済圏が嫌いなら、無理にとは言いません。でも有利なサービスを上手に利用するのも、金融リテラシーのひとつです。