物理法則のように証明されてはいないものの、「永遠に上がり続ける相場はない」と言われます。強気相場はいつか必ず弱気相場に変わると断言しているわけです。でもそれぞれの相場の持続期間に関する制約はないようです。つまり、リーマンショック後の強気相場がもう11年にもなるから限界だ、というわけではありません。
近年は、誰かが引き金を引けば、パンパンに膨らんだ風船が破裂するかのように、いつ暴落が始まってもおかしくない状況でした。が、2019年を無事に乗り切りました。一体何を好材料と捉えて株価を上昇させているのか分からない、これはバブルじゃないか、そんな印象もありました。
そして、次の暴落の引き金を引くのは、誰も予想しなかった最近の深刻な問題になるかも知れません。
予測は不可能でも現状は分かる
未来の相場を正確に予想することはできません。それができれば間違いなく大きな利益を上げられるのですが、タイムマシンでもない限り不可能です。そのため、相場を気にせず(暴落を待たないで)積立投資を継続するのが賢明です。
が、現在の株価、ファンドの基準価額は誰でも調べることができます。暴落して安くなれば、買い時だと分かるわけです。その判断に予知能力は不要です。必要なのは次の2つです。
- 追加投資のための余裕資金。
- 雑念を排除して行動するための計画。
人間の心は乱されやすくできているので、予測できない株価変動を気にせずに淡々と追加投資を行うのに必要なのは、計画(ルール)です。強靭なメンタルではありません。
暴落時の追加投資ルール
次の記事で、追加投資額の計算式を決めました。
この計算式で、スリム先進国株式の基準価額が最高値から10%以上下落した時の、追加投資の様子をシミュレーションしました。
シミュレーション条件
未来の基準価額は専用ツールで「手描き」で作りました。暴落からの回復が遅いものと速いものの2パターン、最大下落率を4パターン用意しました。適用した計算式の弱点を突くようなパターンで試しても意味がないことが分かっているので、素直に暴落して底を打ち、そこからゆるやかに回復する場合に限りました。
追加投資の予算額は1,500万円にしました。これを上限にして、暴落時にどのように追加投資されるかを視覚的に確認するのが、このシミュレーションの目的です。
回復が遅い場合
今後約2年間の、スリム先進国株式の基準価額の予想パターンです。最大下落率は20%、30%、35%、40%です。ストレートに下落し、その後ゆるやかに、安定して回復させています。
下落率20%
追加投資が発動している期間を黄色に塗っています。
次は追加投資を含む積立投資シミュレーションです。追加投資中は元本を示す灰色のラインが急激に立ち上がります。
追加投資予算を300万円ほど残しました。使い切れなかったわけですが、下落率を考えれば妥当でしょう。
下落率30%
いい感じで追加投資予算を使い切ります。
下落率35%
いい感じで追加投資予算を使い切ります。もう少しペースを落とせば?と思うのは結果論です。
下落率40%
想定通りに使い切ります。
回復が速い場合
違うのは回復スピードだけです。
しっかり追加投資できるでしょうか。
下落率20%
320万円程度しか追加投資できませんでした。ダメですが、このパターンでは無理ですね。
下落率30%
920万円程度しか追加投資できませんでした。未来の値動きが分からない以上、もっと速いペースで追加投資すれば良かったと思うのは無駄です。
下落率35%
追加投資予算を使い切りました。満足です。
下落率40%
追加投資予算を使い切りました。これ以上を望んでもダメでしょう。
結論:この計画で行きます
追加投資額を求める計算式はこうです。
=(POWER(下落率-8,1.1)+12)*0.4
グラフにするとこうなります。
横軸が下落率、縦軸が金額(単位万円)です。
どんな相場にも対応できる、万能な計算式など存在しません。僕はこの計算式に従って、機械的に追加投資します。明日株価がどうなるかなど考えずに、現在の基準価額だけから判断します。
最近起きている深刻な問題について
投資家にとって暴落は絶好の買い時であるのはまぎれもない事実ですが、暴落は(その強弱に差はあるものの)人々に痛みを与えます。暴落は避けられないものですが、その要因になりえる深刻な問題は全人類にとって不幸であり、早期収束を願っています。僕は今回の件で、中国政府とWHOがとった行動に憤慨しています。