同じマザーファンドを利用し、投資割合を変えることでなんとか型という組成をするのは、バランスファンドのあるあるです。バランスファンドにおいて、各資産クラスの投資割合に唯一無二の正解は存在しないため、受益者は自分の好みにあったものを選択することになります。
農中<パートナーズ>日米6資産分散には2タイプあります。資産形成と安定運用です。違いは投資割合だけです。
なお、商品名が長いので、ここでは「日米6資産分散(安定運用)」と略します。
日米6資産分散(安定運用)
2018年3月20日に税抜き信託報酬0.85%で設定されました。高いです。債券比率が80%のバランスファンドでこれだけ高い信託報酬を設定することに、運用会社の姿勢が見えますね。農林中央金庫専売商品なので、コスト意識の低い顧客をターゲットにしているゆえの強気の表れでしょうか。
購入時に税抜き1%の手数料がかかります。
日米6資産分散(安定運用)はつみたてNISA適格ではありません。
組成内容
投資国は米国と日本、資産クラスは株式、債券、リートです。そして、全資産が円ヘッジされます。日米6資産分散(資産形成)は均等配分ですが、日米6資産分散(安定運用)は債券比率が80%もあります。
引用:目論見書
投資対象のベンチマークです。
引用:目論見書
運用コスト
次は運用報告書から計算したトータルコストです。資産形成と比較しています。信託報酬が支配的ですが、高いですね。
安定運用は債券比率が高いので、隠れコストが安くなっています。
なお、円ヘッジコストは隠れコストには含まれません。
リターン比較
日米6資産分散(資産形成)とのリターン比較
設定日直後を避けて、2018年4月2日から2020年11月20日までのリターン比較です。
赤のラインは資産形成、緑のラインは安定運用です。青のラインはリターン差で、資産形成ー安定運用です。
安定運用の変動率が極端に小さいことが分かります。債券比率が80%もあるので、当然そうなります。コロナショックによる株価暴落時の下落率も小さいので、価格変動率の高さへの耐性がない人にはいいかも知れません。そうだとしても、他のバランスファンドの方がいいと思います。
楽天バランス(債券重視型)とのリターン比較
楽天バランス(債券重視型)の債券比率は75%です。投資対象が違うので、この比較には注意が必要です。
楽天バランス(債券重視型)の設定日直後を避けて、2018年8月1日から2020年11月20日までのリターン比較です。
赤のラインは楽天バランス(債券重視型)、緑のラインは日米6資産分散(安定運用)です。青のラインは債券重視型ー安定運用です。
楽天バランス(債券重視型)の方が変動率は高いです。でも債券比率が高いバランスファンドを嗜好するなら、高コストで農林中央金庫でしか買えない日米6資産分散(安定運用)より、楽天バランス(債券重視型)の方が良いと思います。
売れ行きは
次は設定来の資金流出入額の累計の推移です。資産形成もプロットしています。純資産総額は63億円です。設定時の純資産総額が30億円ありましたが、これは運用側の初期投資だと思われます。
やはり資産形成の方が売れています。一定の資金流入が続いており、高コスト商品にしては売れている印象です。
次は安定運用と楽天バランス(債券重視型)との比較です。
楽天バランス(債券重視型)も不人気で売れていません。
評価:おすすめしません
債券比率が80%もあるのに、税抜き信託報酬が0.85%もするなんて論外です。ボッタクリファンドと呼ばれてもおかしくないです。もちろん、おすすめできません。
でも、債券比率が高いバランスファンドにおすすめの選択肢が少ないのも事実です。