米国株式

30年間S&P500インデックスに3万円積み立てたら3000万円になるのですか

かすかにペイドパブ臭のある次の記事に興味を持ちました。(ペイドパブ:記事の体裁をとっているものの実際は有料広告の1種)

これは"毎月3万円で3000万円の「プライベート年金」をつくる 米国つみたて投資"という書籍の紹介記事です。

おことわり

  • 僕のこの書籍を読んでいません。Amazonの商品ページにある情報を確認しただけです。
  • この書籍の内容を批判する意図は全くありません。
  • この書籍の紹介記事を批判する意図も全くありません。

僕の関心はS&P500インデックスファンドに3万円積み立てるのを30年間続けたら3,000万円になるかどうか、です。

単純計算

3万円積み立てるのを30年間続けたら元本は1,080万円になります。それが評価額3,000万円になるにはどれほどの期待リターンが必要でしょうか。金融電卓で計算すると6%だと分かります。

金融電卓

引用:金融電卓

でもこれは譲渡税を考慮していません。つみたてNISAなら毎月3万円の積み立ては可能ですが、現状つみたてNISAは2037年までしか拠出できません。つまり、今年を含めて最長19年しか拠出できませんから、11年足りません。

iDeCoなら現在35歳以下の人なら30年間拠出可能だと思われますが(現在は60歳の誕生日前までですが数年後には5年間延長されるでしょう)、多くの人は毎月の拠出可能額が最大23,000円だと思われます。会社員で勤務先の状況によってはもっと少なくなります。

つまり、譲渡税を考慮すると期待リターン6%では足りません。

では30年後の譲渡税が(まだ)20%だとして特定口座で評価額が3,750万円(税引き後が3,000万円)になるには期待リターンはいくら必要でしょうか。

金融電卓2

7.1%ですか、厳しいですね。株式の期待リターンが年率6から7%と言われていますし、良識ある人は7%以上を求めない気がします。もちろん、過去データをある期間で切り取るともっとはるかに高いリターン実績を残したこともあります。でもこれからの未来に過度な期待はしない方がいいでしょう。特に人生に大きな影響を与える資産形成については。

ですが、つみたてNISAの制度が恒久化される可能性は十分ありますし、投資先を間違えなければ「だまされた」と思う結果にはならないでしょう。

iFree S&P500の過去8年間のリターンは

iFree S&P500が2011年に設定されていた場合のリターンを推測しています。次は2011年年初から2018年年末までのリターンの推移です。

2011年年初から2018年年末までのリターンの推移

リーマンショック後の8年間は、チャイナショックの長めの停滞を除けば著しく成長しました。利益率は226%だったので、8で割ると28.25%にもなります。複利で考えると年率16%程度です。

次は8年間、毎月3万円積み立てたシミュレーションです。

8年間3万円を積み立てたら

利益率は68.3%です。前記金融電卓で計算すると年率12%に相当します。年率7.1%を超えていますので、それだけのパフォーマンスがあればたとえ特定口座であっても、目標を達成できます。

S&P500の場合

次はS&P500の過去30年のリターンデータ(配当含まず、ドルのまま)を使った積み立てシミュレーションです。

S&P500の過去30年のリターンデータ(配当含まず、ドルのまま)を使った積み立てシミュレーション

30年間毎月3万円を積み立てて3,201万円になりました。配当金のプラス効果の方がiFree S&P500のトータルコストによるマイナス効果より大きいと思われますので、S&P500の過去30年の実績からすると、目標は達成できそうです。

これからの30年は

次はS&P500の過去30年のリターンの推移(配当含まず、ドルのまま)です。

リーマンショック後の10年間(黄色い部分)は素晴らしい伸びを見せましたが、その前の緑の部分を切り出すと非常に残念に思えます。1998年から積み立て始めた人は暴落を2回経験しますが、それに耐えて積み立て投資を継続できた人だけが目標を達成できることを示唆しています。

まず、これからの30年間にS&P500が(言い換えると米国株式が)どれだけ成長できるかは誰にも分かりません。さらに30年もあれば大きな暴落を数回経験しても不思議ではありませんが、それを耐えられるかどうかも課題になります。

30年間毎月3万円積み立てるのを、何があっても継続するのはたやすいことではないはずです。でもそれができるだけの金融リテラシーがあるなら、かなり高い確率で目標を達成できると思います。

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