iFree NEXT日本小型株インデックスは、名前はアクティブファンドっぽいですが、実はインデックスファンドです。ベンチマークはTOPIX Smallです。この指数を採用したインデックスファンドを僕は他に知りません。検索すると、暗い過去を持つETFが見つかりました。もちろん大和証券投資信託委託は、この指数がマイナーであることを分かった上で、iFree NEXT日本小型株インデックスを設定したはずですが、現状まったく売れていません。
そして、設定後わずか2年7ヶ月で繰上償還されました。
更新情報
参照しているデータを最新版に更新しました。繰上償還されたので、もうこの記事が更新されることはありません。
iFree NEXT日本小型株インデックス
2018年10月19日に税抜き信託報酬は0.40%で設定されました。TOPIX Small指数に連動するインデックスファンドです。
少し高めですが、これは指数がニッチである、この指数に投資できる選択肢が他にないことを考えると、十分許容範囲だと思われます。資本主義社会ですから、需要と供給のバランスを考えた値付けがされて当たり前です。
TOPIX Small指数とは
僕はこの記事を書くまでこの指数について調べたことはありませんでした。次はiFree NEXT日本小型株インデックスの目論見書にある説明です。
TOPIXの構成銘柄を一定の基準で規模ごとに細分化した浮動株時価総額加重型株価指数の一つです。TOPIX Smallは、東京証券取引所の市場第一部に上場する内国普通株式全銘柄の中から、TOPIX500構成銘柄を除いた全銘柄から構成される指数のことをいい、1998年4月1日を1000ポイントとして算出しています。
引用:目論見書
この説明はわかりにくいです。分解するとこうなります。
- TOPIX SmallはTOPIXからTOPIX500を除いたものである。
- TOPIXとは東証一部に上場している全銘柄を対象とした株価指数である。
- TOPIX500とはTOPIX組み入れ銘柄のうち、特に時価総額と流動性が高い500社で構成される株価指数である。
ということで、TOPIXから時価総額と流動性が高い500社を除いた全銘柄で構成される指数となります。なんか王道ではない気がしますね。
なお、TOPIX系指数はたくさんありますが、つみたてNISAの指定インデックスとして認められているのは「TOPIX」だけです。よって、iFree NEXT日本小型株インデックスはつみたてNISA適格ではありません。
上場インデックスファンドTOPIX Small日本小型株(1318)
日興アセットマネジメントが2008年3月24日に上場した「上場インデックスファンドTOPIX Small日本小型株(1318)」は、2015年7月8日に繰上償還されました。わずか7年3ヶ月の短命で終わったわけです。繰上償還したということは、よほど不人気だったということでしょう。
不人気だった理由が指数にあったのか、国内株式の状況にあったのかは分かりません。でもその不幸な歴史を乗り越えて設定されたiFree NEXT日本小型株インデックスには、次のどちらかがあったのだと想像します。
- iFree NEXTシリーズの1商品として売れるはずだ。
- TOPIX Small指数に投資したい受益者のニーズに応えたい。
受益者にとって、手頃なコストでニッチな指数に気軽に投資できる商品は、ありがたい存在と言えます。でも短命で終わってしまうくらいなら、そもそも組成されない方がいいですね。
運用コスト
次は運用報告書から計算した運用コスト(トータルコスト)です。
隠れコストは低水準です。信託報酬が支配的ですが、連動する指数がニッチなので、その投資対象に価値を見出す人なら許容できると思います。
なお、iFree NEXT日本小型株インデックスは現物株運用です。
iFree NEXT日本小型株インデックスとスリムTOPIXのリターン比較
次はiFree NEXT日本小型株インデックスの設定直後を避けた、2018年11月1日から2021年6月11日までの、スリムTOPIXとのリターン比較です。
赤のラインがスリムTOPIX、緑のラインがiFree NEXT日本小型株インデックスです。青のラインはリターン差で、スリムTOPIXーiFree NEXT日本小型株インデックスです。
比較期間の最初で大きな差が生まれていますが、これは世界同時株安のクリスマスの急落(俗にブラッククリスマスと呼ばれます)での下落率が違っていたためです。
2020年11月まではまあ互角でしたが、それ以降TOPIXに差を広げられています。もう繰上償還されてしまいましたが、わざわざ高いコストを負担してまでTOPIX Small指数に投資する価値を見い出せなかったですね。
なお月次報告書によると、繰上償還の案内を出した2021年4月15日以降に株式をすべて売却、短期金融資産(現金のようなもの)に切り替えたそうです。
全く売れませんでした
iFree NEXT日本小型株インデックスの繰上げ償還時の純資産総額は5.68億円ですが、設定日に5億円ありました。この5億円は運用側の初期投資だと思われます。
次は設定来の資金流出入額の累計の推移です。初期投資(と思われる)5億円を含んでいます。全く売れませんでした。
これだけ不人気だから、設定からわずか2年半で繰上げ償還が決まったわけですね。
繰上償還償還されました
設定されてからわずか2年半で、早々に繰上償還の手続きが開始されました。こちらがその案内になります。受益者権数の1/3以上の反対票が投じられた場合は繰上償還を阻止できますが、予想通りそのまま2021年6月11日に繰上償還さました。こちらが繰上げ償還確定の案内です。
評価:繰上償還のリスクは現実です
以前、この記事で次のように書いていました。
現在のパフォーマンスはTOPIXと大差ありませんが、将来小型株は大きなリターンをもたらしてくれるかも知れません。それを期待して投資するのもいいと思いますが、現在極端に不人気なため、このままだと繰上償還リスクが怖いです。目論見書には、受益者権数が30億口を切ったら繰上償還することがあると書かれています。つまり、純資産総額が30億円程度はないと、繰上償還のリスクが高いということです。
繰上償還は、身近な問題です。ナメてはいけません。
その繰上償還は現実のものとなりました。投資信託は昔から粗製乱造される傾向があり、それは今でも変わっていませんが、不人気で売れない商品はあっさりと繰上償還されておかしくありません。iFree NEXT日本小型株インデックスはそのことを改めて警告してくれました。