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【残念】eMAXIS Slimシリーズの受益者還元型信託報酬には期待できません

eMAXIS Slimシリーズは受益者還元型信託報酬を採用しています。純資産総額が500億円、1,000億円を超えると、超えた部分について低減された信託報酬が適用されるというものです。全体ではなくて、超えた部分について、というのがミソです。

この制度、eMAXIS Slimシリーズ登場当初は十分意味があったのですが、信託報酬引き下げ競争の結果、漸減率が圧縮されてしまい、ほとんど意味がなくなった商品もあります。

以下、eMAXIS Slimをスリムと表記します。

更新情報

参照しているデータを最新版に更新しました。

スリム先進国株式

漸減率はわずか0.00155%ポイントです。

スリム先進国株式の受益者還元型信託報酬制度の表

信託報酬が安すぎるため、受益者にさらに還元するだけの原資が確保できないということでしょう。

次はスリム先進国株式の信託報酬が漸減される様子です。横軸は純資産総額です。

スリム先進国株式の信託報酬が漸減される様子のグラフ

500億円を超えると減り始め、1,000億円を超えると減り方が変わります。スリム先進国株式の現在の純資産総額は1,295億円(赤丸の位置)で、税抜き信託報酬は0.0917%ぐらいです。

そんなに下がりません

前記グラフを見るとどんどん下がりそうな期待をしてしまいそうですが、そうではありません。次は純資産総額が1兆円になるまでの様子です。

スリム先進国株式の信託報酬が漸減される様子のグラフ、1兆円まで

純資産総額の増加に伴い徐々に0.0899%に近付きますが、それより下がることはありません。3,000億円を超えると数学的にほとんど減少を実感できないでしょう。

スリム米国株式(S&P500)

スリム米国株式の漸減率は小さすぎて意味ありません。スリム先進国株式の約1/3です。

スリム米国株式の受益者還元型信託報酬制度の表

漸減率はたったの0.0005%ポイントです。税抜き信託報酬を0.15%から0.088%に引き下げた時に、1/10に圧縮されてしまいました。流石に信託報酬が激安すぎて、削減幅を減らさないと成立しなかったのでしょう。

次はスリム米国株式の信託報酬が漸減される様子です。

スリム米国株式の信託報酬が漸減される様子のグラフ

スリム米国株式の現在の純資産総額は1,712億円(赤丸の位置)で、税抜き信託報酬は0.0847%ぐらいです。

スリムバランス(8資産均等型)

スリムバランス(8資産均等型)の漸減率は十分意味があります。スリム米国株式の10倍です。

スリムバランス(8資産均等型)の受益者還元型信託報酬制度の表

次はスリムバランス(8資産均等型)の信託報酬が漸減される様子です。

スリムバランス(8資産均等型)の信託報酬が漸減される様子のグラフ

スリムバランス(8資産均等型)の現在の純資産総額は640億円(赤丸の位置)で、税抜き信託報酬は0.1389%ぐらいです。

スリム全世界株式(オール・カントリー)

SBI全世界株式への対抗値下げにより、スリム全世界株式(オール・カントリー)の受益者還元型信託報酬の削減幅は1/10に減ってしまいました。(スリム米国株式と同じです。)

漸減率が1/10になった受益者還元型信託報酬制度を説明した表

ここまで減ると数字の遊びレベルで、現実の世界ではその恩恵を実感するのは無理です。ただし、オール・カントリーの純資産総額が500億円、1,000億円を超えるとこの制度の存在が話題になり、たとえ実質的な効果がなくても、それが「宣伝効果」を生み、さらに人気を押し上げる可能性があります。マーケティング戦略としては、実に有効だと思います。

実際、オール・カントリーの純資産総額が500億円を超えたことについて、三菱UFJ国際投信はプレスリリースを出しています。投信ブロガーも当然のように話題にしました。(この記事もそうです。)

こうしてコストをかけずに宣伝することで、さらに多くの資金流入が期待でき、人気をより盤石なものできれば、それは受益者全員の利益になります。

次はスリム全世界株式(オール・カントリー)の信託報酬が漸減される様子です。

スリム全世界株式(オール・カントリー)の信託報酬が漸減される様子のグラフ

スリムバランス(8資産均等型)の現在の純資産総額は514億円(赤丸の位置)で、税抜き信託報酬は0.140%ぐらい(この桁では変化なし)です。

スリム全世界株式(除く日本)、スリム全世界株式(3地域均等型)も信託報酬、漸減率は同じです。スリムシリーズの他の商品についても、今後信託報酬がさらに引き下げられると、同様の措置が取られると見ていいでしょう。

効果の実感は困難

期待リターン年率4%、40年間のシミュレーションです。信託報酬差0.0005%ポイントは小さすぎて満足なリターン差を産めません。

期待リターン年率4%、40年間のシミュレーション結果のグラフ

スケールを拡大しました。

期待リターン年率4%、40年間のシミュレーション結果のグラフ、スケールを拡大

40年でリターン差たったの0.05%ポイントです。少ないです。やはり話題にするほどの数値ではないですね。

結論:スリムシリーズの受益者還元型信託報酬には期待できません

受益者還元型信託報酬の漸減率が0.005%ポイントなら評価できました。でも、スリム米国株式はしょうがないとしても、スリム全世界株式3兄弟までもが「数字の遊び」の領域でしかない引き下げ幅に改悪されました。その水準だと実質的な意味はなく、単なるイメージ戦略でしょう。

おそらくスリムシリーズの他の商品も、今後信託報酬引き下げが行われると、どこかのタイミングで同様の改悪が行われるでしょう。残念です。

と、スリムシリーズ好きの僕にしては厳しい評価になりましたが、

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