スリムシリーズは受益者還元型信託報酬を採用しています。純資産総額がある金額を超えると、超えた部分について低減された信託報酬が適用されるというものです。全体ではなくて、超えた部分について、というのがミソです。
この制度、スリムシリーズ登場当初は十分意味があったのですが、信託報酬引き下げ競争の結果、漸減率が圧縮されてしまい、多くの商品でほとんど意味がなくなりました。
更新情報
たわらノーロードシリーズの信託報酬引き下げへの対抗に、対応しました。また、記事の内容をスッキリさせました。
スリム先進国株式
漸減率はわずか0.0006%ポイントです。
信託報酬が安すぎるため、受益者にさらに還元するだけの原資が確保できないということでしょう。
次はスリム先進国株式の信託報酬が漸減される様子です。横軸は純資産総額です。
5,000億円を超えると減り始め、1兆円を超えると減り方が変わります。スリム先進国株式の現在の純資産総額は4,0004億円程度(赤丸の位置)で、税抜き信託報酬は0.0899%です。
グラフの右端は3兆円ですが、0.0887%に向かって頭打ちになる様子が認識できます。漸減率が小さいので効果はほぼ期待できません。
スリム米国株式(S&P500)
漸減率はわずか0.0006%ポイントです。
事情は分かりますが、スリム米国株式の漸減率は小さすぎて意味ありません。信託報酬改定後も(低いながらも)漸減率が維持されて良かったです。
次はスリム米国株式の信託報酬が漸減される様子です。右端は3兆円です。
スリム米国株式の現在の純資産総額は18,156億円(赤丸の位置)で、税抜き信託報酬は0.0845%ぐらいです。
スリムバランス(8資産均等型)、スリム国内株式(TOPIX)、スリム国内株式(日経平均)
漸減率はわずか0.0001%ポイントです。小さすぎて意味ないです。
次は信託報酬が漸減される様子です。右端は3兆円です。
対象商品の純資産総額は2,500億円未満なので、漸減が始まる前ですね。
スリム全世界株式(オール・カントリー)
漸減率はわずか0.0001%ポイントです。小さすぎて意味ないです。
次はスリム全世界株式(オール・カントリー)の信託報酬が漸減される様子です。右端は3兆円です。
オール・カントリーの現在の純資産総額は9,000億円程度(赤丸の位置)で、税抜き信託報酬は0.1030%ぐらいです。
スリム全世界株式(除く日本)、スリム全世界株式(3地域均等型)
漸減率はわずか0.0001%ポイントです。小さすぎて意味ないです。
オルカンとの違いは、漸減が始まる純資産総額の閾値です。
次は信託報酬が漸減される様子です。右端は3兆円です。
スリム新興国株式
漸減率はわずか0.0001%ポイントです。小さすぎて意味ないです。
次は信託報酬が漸減される様子です。右端は3兆円です。
結論:スリムシリーズの受益者還元型信託報酬には期待できません
受益者還元型信託報酬の漸減率が0.005%ポイントなら評価できました。でも相次ぐ信託報酬引き下げに伴って漸減率が圧縮され、現在では多くの商品の漸減率は0.0001%ポイントまたは0.0006%ポイントです。これだと「数字の遊び」の水準でしかなく、実質的な意味はないですね。
でもイメージ戦略としては十分機能しそうです。