つみたてNISAの素晴らしいことのひとつに、「受益者保護の思想」があります。ボッタクリ商品や、長期投資に不向きな商品を排除する仕組みがあるため、つみたてNISA適格商品ならどれを選んでも大きくハズレることはないと言っていいです。
つみたてNISA適格でない商品を、誰かに勧められて買うと、不必要なコストを負担させられるかも知れません。農中<パートナーズ>日米6資産分散(資産形成)の受益者は、他にもっと自分にあった投資対象があることを考えたことがあるでしょうか。
なお、商品名が長いので、ここでは「日米6資産分散(資産形成)」と略します。
日米6資産分散(資産形成)
2018年3月20日に税抜き信託報酬0.85%で設定されました。高いですね。組成内容が一般的な6資産均等型と違うと言うものの、時代に逆行しています。農林中央金庫専売商品なので、コスト意識の低い顧客をターゲットにしているのだろうと邪推してしまいます。
購入時に税抜き1%の手数料がかかります。
日米6資産分散(資産形成)はつみたてNISA適格ではありません。
組成内容
投資国は米国と日本、資産クラスは株式、債券、リートです。そして、全資産が円ヘッジされるという、風変わりな6資産均等型です。
引用:目論見書
投資対象のベンチマークです。
引用:目論見書
一般的な6資産均等型は次の6資産を16.6%ずつ混ぜたものを言います。円ヘッジされません。
- 先進国株式
- 国内株式
- 先進国債券
- 国内債券
- 先進国リート
- 国内リート
先進国を米国に変えてヘッジをかけたと言ってもいいですが、先進国より米国を嗜好する人が国内にも投資するのか?という気がします。もちろん、そういうニーズに応えるのも、重要な役割だと思います。(売れるかどうかは別問題です。)
運用コスト
次は運用報告書から計算したトータルコストです。野村6資産均等バランスと比較しています。信託報酬が支配的ですが、高いですね。
次は隠れコストの明細です。
日米6資産分散(資産形成)は保管費用が高いです。なお、円ヘッジコストは隠れコストには含まれません。
野村6資産均等バランスと日米6資産分散(資産形成)のリターン比較
日米6資産分散(資産形成)の設定日直後を避けて、2018年4月2日から2020年11月20日までのリターン比較です。
赤のラインは野村6資産均等バランス、緑のラインは日米6資産分散(資産形成)です。青のラインはリターン差で、野村6資産均等バランスー日米6資産分散(資産形成)です。ほぼ互角ですが、コロナショックによる株価暴落後は日米6資産分散(資産形成)の方が良さそうです。
この様子なら低コストな野村6資産均等バランスで十分という気がします。
売れ行きは
次は設定来の資金流出入額の累計の推移です。純資産総額は74億円です。設定時の純資産総額が30億円ありましたが、これは運用側の初期投資だと思われます。
一定の資金流入が続いています。高コスト商品にしては売れている印象です。
野村6資産均等バランスもプロットしました。
顧客層が違うとは言え、人気の差は明らかですね。そもそも、一般販売されている野村6資産均等バランスと、農林中央金庫でしか販売されていない日米6資産分散(資産形成)を比較するのは酷かも知れません。
評価:おすすめしません
先進国の代わりに米国に投資したいというニーズがあるとしても、日米6資産分散(資産形成)は高コストで農林中央金庫専売商品であることから、とてもおすすめする気になれません。これまでのところ、パフォーマンスは野村6資産均等バランスと変わらないので、一般的な組成の6資産均等型バランスファンドの方が良いと思います。