インデックス投資

2022年は毎営業日積み立てが有利でした

困ったことに、毎営業日積み立てが毎月初積み立てより有利だとミスリードする記事や、宣伝文句があります。どちらが有利かは基準価額の値動きによります。比較期間において強気相場が優勢なら毎月初積み立てが有利です。弱気相場またはボックス相場が優勢なら、毎営業日積み立てが有利です。これは理論上でも、実際のデータでもそうなることが実証されています。

2022年は毎営業日積み立てが有利でした。2019年から2021年とは逆の結果になりました。

究極の時間分散投資ですと?

次の魅力的に思える言葉を鵜呑みにして「毎営業日積み立て」を優位誤認している人もいるかも知れません。

引用:SBI証券

「究極の時間分散投資」が真実だとしても、それが毎月初積み立てより得すると主張されてはいません。これは単なるセールストークです。

つみたてNISAの場合

楽天証券かSBI証券のつみたてNISAで、毎営業日積み立てを選択している人もそれなりにいると思われます。(楽天証券で毎営業日積み立てが選択できるのは、つみたてNISAだけです。)

つみたてNISAは非課税枠40万円ごとに、買い付けできる期間が限定されています。2022年を例にあげると、1年間の毎営業日積み立てと毎月初積み立てで生じた平均取得価額の差は、20年の非課税期間通して不変です。もし、2022年度最後の買い付けを終えた時の平均取得価額の差が0.4%だったとすると、その後基準価額がどう変化しようが、その非課税枠についてはリターン差0.4%が維持されます。

毎営業日積み立て vs 毎月初積み立て

営業日の数は月によって変化します。投資元本を同じにするため、次の方法で比較します。

  • 毎営業日に1,000円を積み立てます。
  • 毎月初営業日にその月の営業日日数×1,000円を積み立てます(月末時点で投資元本は同じになります。)
  • 毎月初積み立ての約定日は、海外資産を含む場合は翌営業日です。
  • 2022年1月4日から2022年12月30日を対象期間とします。
  • 2022年12月30日約定時点における利益率が高い方が、有利だったと判定します。

主な資産クラスに投資する商品と人気商品を僕の好みで選びました。つみたてNISA適格でないものもあります。

変動率が高いが成長できなかった2022年

2022年は、コロナショック後の金融緩和バブルの崩壊と円安進行により不健全な株式相場になりました。変動率が高く、基準価額は大きく振動しましたが、総じて成長できず一部の資産クラスを除いてマイナスでした。

2022年の12ヶ月間、毎営業日積み立てと毎月初積み立てのどちらが有利だったのか、人気商品で確認します。

積み立て投資の結果のリターン差の数値は、赤枠で囲ったところにあります。

リターン差の見方

スリム全世界株式(オール・カントリー)

次はスリム全世界株式(オール・カントリー)の、2022年年初から12月末までのリターンの推移です。

スリム全世界株式(オール・カントリー)の、2022年年初から12月末までのリターンの推移グラフ

激しく上下動を繰り返し、最後はマイナスで終わっています。

次は積み立てシミュレーションです。12月末日の評価額を見ています。

スリム全世界株式(オール・カントリー)の積み立てシミュレーション結果のグラフ

青のラインは毎月初積み立てー毎営業日積み立てです。月末に算出しているので、初月は空白です。マイナス圏にあれば毎営業日積み立てが有利です。この場合は多くの月で毎営業日積み立てが有利でした。

基準価額が上下動しながら横ばいを続ける相場では、毎営業日積み立てが有利です。でもリターン差は0.28%ポイントと大きくはありませんでした。

スリム米国株式(S&P500)

次はスリム米国株式(S&P500)の、2022年年初から12月末までのリターンの推移です。

スリム米国株式(S&P500)の、2022年年初から12月末までのリターンの推移グラフ

次は積み立てシミュレーションです。

スリム米国株式(S&P500)の積み立てシミュレーション結果のグラフ

毎営業日積み立ては毎月初積み立てより0.46%ポイント有利でした。

ひふみプラス

次はひふみプラスの、2022年年初から12月末までのリターンの推移です。

ひふみプラスの、2022年年初から12月末までのリターンの推移グラフ

ひふみはオルカンより成績悪かったですね。次は積み立てシミュレーションです。

ひふみプラスの積み立てシミュレーション結果のグラフ

値動きから想像できる通り、明らかに毎営業日積み立てが有利でした。リターン差は1.29%ポイントもありました。

結果発表

数字は毎月初積み立ての利益率、毎営業日積み立ての利益率、利益率の差(毎月初ー毎営業日、単位は%ポイント)です。利益率の差がマイナスなら、毎営業日積み立ての方が有利です。

利益率の差が大きい順(毎月初積み立てがより有利な順)に並べています。

シミュレーション結果一覧表

僕が選んだ商品だと(2021年分と同じ商品で、2022年のために選別してはいません)、2商品を除いて毎営業日積み立てが有利でした。

毎月初積み立てと毎営業日積み立てのどちらが有利になるかは事前には分からないため、結果論でしかありませんが、2022年は毎営業日積み立てが有利だったわけです。

でも、超ローコストインデックスファンドで見ると、そのリターン差は小さく、普通に毎月初積み立てで良かった、とも言えるでしょう。どちらにせよ、この結果をどう評価するかはみなさん次第です。

毎営業日積み立てを選択するなら

毎営業日積み立てと毎月初積み立てのどちらが良いかは、相場(基準価額の推移)によります。強気相場なら、単純な算数により、毎月初積み立てが有利になります。毎営業日積み立てが有利になるのは、弱気相場か、ボックス相場の時に限られます。

2022年は基準価額が大きく変動するボックス相場で、理論通り毎営業日積み立てが有利でした。もちろん未来の相場を正確に予測するのは不可能ですが、毎営業日積み立てを選択するなら、自分が何を期待してそうしているのかを理解してするのがいいです。どこかのブログ記事にあったから、誰かのツイートにあったから、という理由で選択するのは、ミスリードされた結果かも知れません。

また、その毎営業日積み立てをしている人のメインの投資は毎月初積み立てで、毎営業日積み立ては遊びでしているのかも知れませんよ。

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