インデックス投資

おおぶねグローバル(長期厳選)の成功報酬は高いです

たわら男爵さんから記事化のリスクエストを頂きました。おおぶねグローバル(長期厳選)の成功報酬の仕組みを、既存のインデックスファンドに適用したらどれぐらいの負担になるのか、試算できませんか?というものです。興味をそそられたので、専用プログラムを書いて調べました。その結果、僕の感覚では、とても高いことが分かりました。

おおぶねグローバル(長期厳選)はアクティブファンド

おおぶねグローバル(長期厳選)は北米・欧州・日本の株式20~30銘柄に投資する、アクティブファンドです。

「おおぶねグローバル(長期厳選)」は、 農林中金バリューインベストメンツがこれまで選定してきた北米・欧州・日本の「構造的に強靭な企業®」 の中から、確信度が高い と考えられる 20~30 銘柄を厳選し長期投資を行うことで、長期安定的なリターン獲得を目指すファ ンド。

引用:投信資料館

特徴的なのは、信託報酬の運用会社部分です。次の表には0%とあります。(図表は投信資料館からの引用です。)

おおぶねグローバル(長期厳選)の信託報酬体系図

これは、運用会社の信託報酬が完全な成功報酬制で、最高値を更新した時だけ報酬が発生する、というものです。

次は成功報酬制(ハイ・ウォーターマーク方式)を説明した図です。最高値=ハイ・ウォーターマークを超えて、基準価額が上昇した時だけ、信託報酬が発生します。

成功報酬制のイメージ図

成功報酬額についてはこう説明されています。

ハイ・ウォーターマーク方式を用いた成功報酬額は、毎営業日に、当該営業日の基準価額(成功報酬額控除前)が、前営業日のハイ・ウォーターマークを超えた場合に、その超過額に 10.0%(税抜)を乗じて得た額とする。

つまり、最高値を更新する上昇をした場合は、その上昇分の税込み11%が成功報酬として、純資産から天引きされます。その分、基準価額は上昇率が減ります。

最高値を更新しない日は成功報酬が発生しないので、運用成績に関わらず信託報酬が発生する既存のファンドと比べて公平な気もしますが、この11%の成功報酬は決して安くはありません。

成功報酬の発生の仕組み1

次は期待リターン年率5%で、数学的に生成した基準価額データと、それに成功報酬を適用した場合の比較です。比較期間は1年です。

期待リターン年率5%で、数学的に生成した基準価額データと、それに成功報酬を適用した場合の比較グラフ

赤のラインは成功報酬なし、緑のラインは成功報酬ありです。途中で平らなところがあるのはゴールデンウイークの休みです。

青のラインはリターン差で、成功報酬なしー成功報酬ありです。なんと、成功報酬によりリターンは0.5%ちょっと劣化してしまいます。だってこの場合、毎営業日最高値を更新し、毎営業日年率5%基準価額が上昇するのですが、その上昇分の税込み11%が減額されるため、リターンは0.5%ちょっと減ってしまいます。

成功報酬の発生の仕組み2

次は同じ1年間で5%上昇しましたが、途中下落、低迷して最後に盛り返した場合です。

同じ1年間で5%上昇しましたが、途中下落、低迷して最後に盛り返した場合のグラフ

黄色で塗った期間は、最高値を更新していないので、成功報酬は発生しません。ですから、その期間の青のラインは水平となります。

最高値を更新していない期間は成功報酬が発生しませんが、この場合1年間のリターンは約5%で、最後盛り返しているところでは成功報酬も多めに(税込み11%ですが)発生しますので、1年間で見た成功報酬率は同じです。

確かに、受益者が得る実際のリターンに応じた信託報酬が発生する仕組みなので、パフォーマンスに関わらず常時発生する従来の信託報酬より公平感があるかも知れません。でも、高いと思います。

スリム先進国株式のパフォーマンスだったら

次はスリム先進国株式の設定来のリターンの推移です。先週の急落で12%程度減りました。リターンは年率換算で8.1%でした。

スリム先進国株式の信託報酬は成功報酬制ではありませんから、パフォーマンスに関わらず常時発生します。でも、現在の信託報酬は全部で税込み0.1%程度です。

では、おおぶねグローバル(長期厳選)の基準価額がこのような推移だったら成功報酬はどれぐらいになるでしょうか。

おおぶねグローバル(長期厳選)の基準価額がスリム先進国株式と同じだった場合のグラフ

成功報酬は年率換算で税込み1.287%でした。スリム先進国株式の10倍の水準です。また、販売会社と受託会社の信託報酬は成功報酬制じゃないので、パフォーマンスに関わらずかかります。純資産総額500億円未満部分は税込み0.33%です。そもそもアクティブファンドなので、超ローコストインデックスファンドのスリム先進国株式と比較するのがおかしいと言われるかも知れません。

でもこの成功報酬、絶妙な高さに設定されてると思いませんか?

スリム米国株式(S&P500)のパフォーマンスだったら

次はスリム米国株式(S&P500)の設定来のリターンの推移です。リターンは年率換算で6.4%でした。

スリム米国株式(S&P500)の設定来のリターンの推移グラフ

おおぶねグローバル(長期厳選)の成功報酬制を適用すると、公平の価値観が変わります。

おおぶねグローバル(長期厳選)の基準価額がスリム米国株式と同じだった場合のグラフ

成功報酬は年率換算で税込み1.666%でした。高いですよね。わざわざアクティブファンドを買うのだから、S&P500を凌駕するパフォーマンスを期待するでしょう。となると、これぐらいの成功報酬を負担することになるのです。公平と言われても、と思ってしまいます。

ニッセイ外国株式のパフォーマンスだったら

次はニッセイ外国株式の設定来のリターンの推移です。リターンは年率換算で10.0%でした。

ニッセイ外国株式の設定来のリターンの推移グラフ

おおぶねグローバル(長期厳選)の成功報酬はやはり高いです。

おおぶねグローバル(長期厳選)の基準価額がニッセイ外国株式と同じだった場合のグラフ

成功報酬は年率換算で税込み1.095%でした。現在の本家と一桁違います。

ひふみプラスのパフォーマンスだったら

次はひふみプラスの設定来のリターンの推移です。リターンは年率換算で33.4%でした。2017年までは凄かったんです。

ひふみプラスの設定来のリターンの推移グラフ

おおぶねグローバル(長期厳選)の成功報酬制を適用すると、ひふみプラスの信託報酬(税込み1.078%)が安く感じられます。

おおぶねグローバル(長期厳選)の基準価額がひふみプラスと同じだった場合のグラフ

成功報酬は年率換算で税込み2.117%でした。本家の倍の水準です。

まとめ:おおぶねグローバル(長期厳選)の成功報酬は高いです

僕は高いと思いました。アクティブファンドが好きな人でも、この成功報酬は高いと感じるのではないでしょうか。

最高値を更新していない時には成功報酬が発生しないとは言うものの、発生する時のレート(税込み11%)が高く、株式投資で期待されるリターンを考えると、出来上がりの信託報酬はかなり高いものになります。ということがシミュレーション結果から分かったわけですが、これをどう思うかは皆さん次第です。

おすすめの関連記事

-インデックス投資

© 2020 個人事業主が節税してインデックス投資 Powered by STINGER