米国株式

iFreeレバレッジS&P500の運用コストと評価

iFreeレバレッジS&P500は、S&P500種指数の日々の値動きの2倍程度を目指す、ブル型のファンドです。公式にはベンチマークがないので、インデックスファンドではありません。

高コストですが運用は安定しているし、為替ヘッジもバッチリ効いています。リスクの高さを理解して上手に活用できる人には素晴らしい商品だと思います。

更新情報

第三期運用報告書の内容を反映させました。また、参照しているデータを最新版に更新しています。

iFreeレバレッジS&P500

2018年8月31日に税抜き信託報酬0.9%で設定されました。高いですね。レバレッジのかかっていないiFree S&P500の税抜き信託報酬は0.225%ですからぴったり4倍です。

  • 株式の先物取引により、日々の基準価額の値動きがS&P500種指数の値動きの2倍程度となることを目指します。
  • E-mini S&P500株価指数先物取引を利用します。米国の株式への直接投資は行っていません。
  • 円で為替ヘッジされます。
  • 購入時手数料税抜き2.0%が設定可能で、証券会社を選ばないとしれっと徴収されます。

もちろん、つみたてNISA適格ではありません。

運用コスト

次は運用報告書から計算したトータルコストです。iFree S&P500と比較しています。

iFreeレバレッジS&P500のトータルコスト表

信託報酬が支配的ですが、iFreeレバレッジS&P500は隠れコストが高く、トータルコストは1.1274%もします。この隠れコスト、第三期決算期間は上昇しました。

トータルコスト3期比較表

次は隠れコストの明細です。

隠れコストの明細表

その他費用の「その他」が増えています。この項目は内訳が不明です。なお、レバレッジをかけることで生じる金利は運用報告書には出てこないものと思われます。

iFreeレバレッジS&P500のトータルコストが高いことは確かですが、なんでもかんでもスリムシリーズ並みでないとダメと言うことではありません。その資産クラスの特性、事情、他社商品との競争を含めて判断すべきです。それでも僕は信託報酬税抜き0.9%は高額で、せいぜい0.6%程度なら良かったのにと思います。

SPUUとVOOのトータルリターン比較

S&P500でブル型と言えばSPXL(Direxion社のETF)が超有名です。これは3倍です。2倍はSPUUですが、SPUUは楽天証券、SBI証券、マネックス証券では買えません。

SPUUの経費率は0.64%と安くはありません。

次はSPUUトータルリターンと、レバレッジのかかっていないVOOトータルリターンの比較です。SPUUが設定直後を避けた2014年6月10日から2021年11月30日までです。

SPUUとVOOのトータルリターン比較グラフ

赤のラインがSPUU、緑のラインがVOOです。青のラインはリターン差で、SPUUーVOOです。

株価が上昇できなかった2017年より前はVOOに負けることもありました。2017年以降の強気相場では凄まじい上昇率ですが、下落率も同様に凄まじいです。ブラッククリスマスではVOOよりわずかにプラスでしたが、コロナショックによる株価暴落ではVOOに負けました。でもその後の回復の様子は凄まじいです。

この乱高下に耐えられない人はレバレッジ型に手を出してはいけません。

このグラフから、S&P500の上昇局面では高いリターンが期待できるものの、下降局面では含み益を急速に溶かしてしまうことが分かります。僕には長期保有向きの資産とは思えません。

SPUUトータルリターンとiFreeレバレッジS&P500のリターン比較

次はSPUUトータルリターン(ドルのまま)とiFreeレバレッジS&P500の比較です。iFreeレバレッジS&P500の設定日直後を避けた2018年9月18日から、2021年11月30日までです。iFreeレバレッジS&P500は為替ヘッジありなので、円換算していないSPUUトータルリターンと比較しています。

SPUUトータルリターン(ドルのまま)とiFreeレバレッジS&P500のリターン比較グラフ

赤のラインがiFreeレバレッジS&P500です。青のラインはiFreeレバレッジS&P500ーSPUUトータルリターン(ドルのまま)です。青のラインの大きなドゲは無視していいでしょう。

青のラインは真っ平らではありませんが、為替の影響は見られません。これは為替ヘッジを含むiFreeレバレッジS&P500の運用が期待通りであることを示しています。

iFreeレバレッジS&P500とiFree S&P500の比較

次はレバレッジのかかっていないiFree S&P500とのリターン比較です。

iFreeレバレッジS&P500とiFree S&P500の比較グラフ

iFreeレバレッジS&P500は強気相場ではiFree S&P500を突き放しますが、株価下落時には泣きたくなるほど下がります。精神的に相当タフでないと耐えられないでしょうね。

次はリスク比較です。月次で求めたものを年率換算しています。日々の値動きの2倍を目指すのでリスクは高くなります。

iFreeレバレッジS&P500とiFree S&P500のリスク比較グラフ

この比較期間だと、株価暴落で大きく下がったとしても買い持ちできれば報われそうだと思えます。でも一般的には、レバレッジ型商品は長期投資に向かないと言われているので、投資するとしてもリスクの取り過ぎに注意が必要でしょう。

為替ヘッジの効果

iFreeレバレッジS&P500は円で為替ヘッジされます。それを好ましく思うかどうかは受益者によって異なると思いますが、その(コストの必要な)為替ヘッジはどれぐらい効いているのでしょうか。調べました。

次はiFreeレバレッジS&P500と、iFree S&P500の日々の値動きを2倍にしたものの比較です。iFreeレバレッジS&P500の設定直後を避けた、2018年9月18日から2021年11月30日までです。

iFreeレバレッジS&P500と、iFree S&P500の日々の値動きを2倍にしたものの比較グラフ

赤のラインが本物、緑のラインが計算で求めたものです。おおむね同じなんですが、ちょっと差ができていますね。

次は同じ期間におけるドル円の推移です。

同じ期間におけるドル円の推移グラフ

本物と計算結果の差は、ドル円(つまり為替)が影響しているように見えますね。

次はVOO(S&P500種指数に連動するETF)の日々の値動きをドルのままで2倍にしたものと、本物の比較です。グラフのスケールは同じです。

VOO(S&P500種指数に連動するETF)の日々の値動きをドルのままで2倍にしたものと、本物の比較グラフ

姉妹品であるiFreeレバレッジNASDAQ100の為替ヘッジがしっかり効いていることを知っていたので、iFreeレバレッジS&P500の為替ヘッジも期待通りだろうと思っていました。青のラインにうねりは見られないので、しっかり効いています。また不思議なことに、iFreeレバレッジS&P500はVOOの日々の値動きを2倍にしたものよりわずかながらパフォーマンスが高いですが、これはVOOが配当金を出している(このグラフではVOOの配当金を無視しています)ためですね。

結論です。iFreeレバレッジS&P500の為替ヘッジは期待通り効いています。

売れ行きは

次は設定来の資金流出入額の累計の推移です。純資産総額は192億円です。なお、運用側による初期投資と思われる3億円は外しています。

iFreeレバレッジS&P500の設定来の資金流出入額の累計の推移グラフ

iFreeレバレッジS&P500の人気もようやく高まってきました。でも2ヶ月遅れて設定されたiFreeレバレッジNASDAQ100にはかないません。iFreeレバレッジNASDAQ100の純資産総額は1,810億円です。

iFreeレバレッジNASDAQ100もプロットしたグラフ

これはNASDAQ100が2019年12月からS&P500を凌駕する、驚異的なパフォーマンスを見せている(見せていた)ことに起因していると思われますが、逆にそんなにリスクを取って大丈夫なの、と心配になってしまいます。

評価:高コストですが運用は期待通りです

iFreeレバレッジS&P500は高コストですが、支配的なのは信託報酬です。隠れコストは気になるほどの高さではなく、運用は期待通りです。さらに、為替ヘッジが期待通り効いていることも分かっています。僕は高く評価しています。リスクの高さを理解して上手に活用できる人には素晴らしい商品だと思います。

購入時手数料が税抜き2.0%もかかるというデメリットがありますが、現在では証券会社を選べば無料なので、これは気にしなくていいでしょう。

人気(資金流入)はiFree NEXT NASDAQ100には全く歯が立ちませんが、どちらへの投資がより報われるかは未来にならないと分かりません。(数年以内に分かるかも知れません。)

iFreeレバレッジS&P500はレバレッジ型ゆえ、投資するとしてもポートフォリオの一部にとどめた方がいいでしょう。レバレッジ型商品に興味があるけど、3倍ブル型のSPXLに挑戦するまでの気はない、2倍ブル型のSPUUは日本の証券会社で扱っていない、なら高コストだけど100円から気軽に投資できるiFreeレバレッジS&P500でハイリスク・ハイリターンの取引を楽しむのもいいかな、と思う人もいるでしょう。でもリスクの取り過ぎには注意した方がいいですね。

なお僕はS&P500連動インデックスすら買っていないので、iFreeレバレッジS&P500に手を出すことはありません。

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