株価暴落により、S&P500指数も大きく下落しましたが、現在回復途上にあります。VOO(バンガード社のETF)の取引価格(ドルベース)で言うと、最高値から34.3%下落後、現在は最高値から15%の水準をウロウロしています。
近年、米国株式が人気を集めており、楽天全米株式とeMAXIS Slim米国株式(S&P500)に代表される、米国株式インデックスファンドが売れています。後発のSBIバンガードS&P500も絶好調です。当然、それらも株価暴落の影響を受けたわけですが、特に気になるS&P500インデックスファンドがどうなったか確認しました。(これは先月書いた記事の更新版です。)
なお、まだの方は次の記事を先に読まれた方がいいと思います。
以下、eMAXIS Slimをスリムと表記します。
スリム米国株式(S&P500)
スリム米国株式は現物株運用です。米国株式505銘柄を売買しています。その運用がベンチマーク通りかを確認する指標として、スリム米国株式と同じマザーファンドを利用するETFである「MAXIS米国株式(S&P500)上場投信」の指数データを使います。
次はネットトータルリターンとスリム米国株式のリターン比較です。後述するSBIバンガードS&P500の運用が安定した、2019年10月16日から2020年4月30日までの比較です。
黄色の丸で囲ったところに大きなヒゲがあります。これは運用がベンチマーク通りでなかったことを示しています。
次は、スリム米国株式のトータルコストを年率0.15%ポイント増量したものとの比較です。
株価暴落開始後の青のラインは暴れていますし、大きなヒゲがありますが、それを除けば青のラインはフラットです。これは僕の期待通りです。この結果から、大きなヒゲを無視すれば、スリム米国株式の運用は、株価が暴落しても(おおむね)ベンチマーク通りである、と言えます。疑いたくなる人もいるかも知れませんが、グラフの右軸はひと目盛り0.05%ポイントです。マグレでこんなグラフにできるものじゃありません。
iFree S&P500
次はS&P500のネットトータルリターンとiFree S&P500のリターン比較です。比較期間、グラフのスケールは同じです。
株価暴落開始後、青のラインは暴れていますが、傾向は右肩上がりを維持しています。
次は、iFree S&P500のトータルコストを年率0.1%ポイント増量したものとの比較です。
青のラインはほぼフラットになりました。これも期待通りです。
青のラインの暴れは、スリム米国株式より大きいですが、iFree S&P500は現在25%程度ETF(IVV)を買っているので、その影響かも知れません。
^SP500TRとVOOの取引価格の比較
VOOのベンチマークはS&P500種指数ですが、VOOはETFなので、その取引価格は売買を要因として変動します。次はティッカーシンボル^SP500TRでダウンロードできる、S&P500トータルリターンと、VOOの取引価格(配当無視、円変換後)の比較です。
青のラインは^SP500TRーVOOです。赤の矢印の位置で階段状になっているのは、^SP500TRが配当金を再投資したのに、VOOはしていないからです。そして、黄色の丸で囲ったところは大きく暴れています。ひと目盛り0.5%ポイントです。青の矢印の位置で再度配当金を再投資しており、暴れを無視すると段差ができていることが分かります。
この大きな暴れの要因が、次のどちらか一方なのか、組み合わせなのかは分かりません。
- VOOの運用が、ベンチマークから乖離した。
- VOOの取引価格が、市場取引の結果大きく変動した。
ここで重要なことは、VOOを買うだけのインデックスファンドであるSBIバンガードS&P500は、VOOを買った時点ですでに、ベンチマークから乖離しているという事実です。これは、SBIアセットマネジメントがコントロールできることではありませんから、そのためにSBIバンガードS&P500がベンチマークから乖離しても、それは非難されるべきものではありません。SBIバンガードS&P500が避けられない、宿命です。
ブラック・クリスマスはどうだった?
2018年年末の急落、ブラック・クリスマスはどうだったでしょうか。
大きな段差は配当金要因です。青のラインはちょっと曲がっていますが、この程度です。今回の株価暴落の破壊力の凄まじさが分かりますね。
^SP500TRとIVVの取引価格の比較
次は、同じ比較をIVVでしたものです。
IVVもVOO同様に影響を受けていますが、その様子はちょっと違います。
SBIバンガードS&P500とVOOトータルリターンの比較
次はSBIバンガードS&P500とVOOトータルリターンの比較です。
青のラインは、株価暴落開始後はおかしな動きをしています。これでは、いつも行っているトータルコストの推測ができません。でも、最近リターン差を示す青のラインは正常に戻りつつあります。
補助線を引いてみました。
2本の補助線の傾きは同じです。このまま株価が回復傾向なら(再度大きく下落しなければ)、また以前のようにトータルコストの推測ができるはずです。
スリム米国株式とSBIバンガードS&P500の比較
次はスリム米国株式とSBIバンガードS&P500の比較です。
株価暴落開始後はひどいことになっています。これではリターン比較なんてできないです。こうなっていることを知らずに、ある日とある日の基準価額を比較したら、とんでもない結果が出てしまいます。
iFree S&P500とSBIバンガードS&P500の比較
次はiFree S&P500とSBIバンガードS&P500の比較です。もちろん、結果はひどいです。
まだリターン比較できません
株価暴落で基準価額は大きな影響を受けてしまい、従来できていたリターン比較、トータルコストの推測ができなくなってしまいました。株価は回復傾向にあり、リターン差を示す青のラインは正常な状態に戻りつつありますが、まだまだですね。
これが現状です。