eMAXIS先進国リートは2009年10月から、低コストで先進国リートに投資する手段を提供してきました。が、信託報酬を引き下げないeMAXISシリーズに対し、より安価な信託報酬の選択肢がたくさんある現在、eMAXIS先進国リートは過去の商品です。
それを決定付けたのは、eMAXIS先進国リートの廉価版であるスリム先進国リートです。
eMAXIS先進国リート
2009年10月28日に税抜き信託報酬0.60%で設定されました。このブログでレビューしている先進国リートインデックスの最安水準でした。以来、信託報酬は引き下げられていません。
ベンチマークはS&P先進国REIT指数(除く日本)です。購入時手数料はゼロですが、解約時信託財産留保額0.15%が設定されています。
先進国リートインデックスは株式に投資しないため、つみたてNISA適格要件を満たせません。そのため、eMAXIS先進国リートはつみたてNISA適格ではありません。
またiDeCoナビによると、三菱UFJ銀行/三菱UFJ信託銀行【ライトコース】で扱われています。
運用コスト
次は運用報告書から計算したトータルコストです。
eMAXIS先進国リートの隠れコストは標準的な水準です。(今では)信託報酬が高いので、トータルコスト0.7192%はずっしり来ますね。
リターン比較
先進国リートのリターン比較には、株式インデックスには見られない、理解できない現象が観測されます。そのことに注意しないで単純にある期間での騰落率を比較すると、間違った判断をしてしまいます。
スリム先進国リートとの比較
次はスリム先進国リートの設定直後を避けた、2019年11月15日から2021年2月26日までの、eMAXIS先進国リートとの比較です。
青のラインはリターン差で、スリム先進国リート-eMAXIS先進国リートです。マザーファンドが同じだけあって、期待通りきれいな右肩上がりの直線です。その傾きは、トータルコスト差を示していて、運用報告書から計算した数値に一致しています。
Funds-i 外国REITとの比較
次はFunds-i 外国REITの設定直後を避けた、2010年12月10日から2021年2月26日までの、eMAXIS先進国リートとの比較です。
青のラインはFunds-i 外国REITーeMAXIS先進国リートです。Funds-i 外国REITの方が低コストなんですが、実際のリターン差は運用報告書から計算したトータルコスト差より大きいです。
SMTグローバルREITとの比較
次はeMAXIS先進国リートの設定直後を避けた、2009年11月15日から2021年2月26日までの、SMTグローバルREITとの比較です。
青のラインはeMAXIS先進国リートーSMTグローバルREITです。現在の税抜き信託報酬はSMTグローバルREITの方が0.05%ポイント安いので、昔はともかく、近年のリターン差は妥当に思えます。
たわら先進国リートとの比較
次はたわら先進国リートの設定直後を避けた、2016年1月15日から2021年2月26日までの、eMAXIS先進国リートとの比較です。
青のラインはたわら先進国リートーeMAXIS先進国リートです。ラインの傾きは信託報酬差より小さいのですが、それはたわら先進国リートの隠れコストが高いためです。
まだ買われています
次は設定来の資金流出入額の累計の推移です。純資産総額は121億円です。
2017年以降資金流出傾向が続いていましたが、2019年後半から盛り返しています。もっと低コストな選択肢があるにも関わらず、高コスト商品が買われることがあるのが、この業界の特徴です。
次はSMTグローバルREITとFunds-i 外国REITもプロットしたものです。
緑のラインがSMTグローバルREIT、青のラインがFunds-i 外国REITです。eMAXIS先進国リートとSMTグローバルREITはいい勝負でしたが、ある時から差が広がりました。SMTグローバルREITがいまだにこれほど買われている事実に驚きます。
評価:買う価値ありません
eMAXIS先進国リートは、SMTグローバルREITやFunds-i 外国REITと並ぶ、ローコスト先進国リートインデックスの先駆者です。その功績は評価しますが、今ではすっかり高コストな過去の商品になっており、今から買う価値はありません。
先進国リートに投資するのに、スリムシリーズ嫌いでなければ、スリム先進国リートをおすすめします。