人気の組成が分かると同じ組成の商品が続くのは、この業界のあるあるです。インデックスファンドの場合、連動する指数が同じなら、運用コストが安い方が有利であり、後発であってもシリーズの知名度を含めた販売力の高さで逆転することだって可能です。
NASDAQ100指数連動商品では、eMAXIS NASDAQ100は後発ながら短期間で高い人気の獲得に成功しています。
更新情報
第一期運用報告書の内容を反映させました。また、参照しているデータを最新版に更新しています。
eMAXIS NASDAQ100
2021年1月29日に税抜き信託報酬0.40%で設定されました。iFree NEXT NASDAQ100より0.05%ポイント安く、NZAMベータNASDAQ100と同率です。僕が驚いたのはスリムシリーズではなくてeMAXISシリーズで設定されたことです。どうしてスリムシリーズでないのか、そこには外からは伺い知れない深すぎる理由があるのかも知れません。
- 購入時手数料、解約時信託財産留保額共にゼロです。
- 信託期間はもちろん無期限です。
- 現物株運用です。(ETFは買っていません。)
- つみたてNISA適格ではありません。(NASDAQ100指数が指定インデックスではないため、設定から5年以上経過しないとそもそも適格申請できません。)
運用コスト
次は運用報告書から計算した運用コスト(トータルコスト)です。iFree NEXT NASDAQ100と比較しています。
トータルコストはeMAXIS NASDAQ100の方がわずかに安いです。隠れコストはiFree NEXT NASDAQ100の方が(運用歴が長いためか)安いですね。
次は隠れコストの明細です。
iFree NEXT NASDAQ100の方が全体的に安いです。でもこの水準だと計上方法の違い(証券会社間で統一されていません)の方が大きいかも知れないです。
リターン比較
ベンチマークが同じ商品と比較します。
iFree NEXT NASDAQ100との比較
次はeMAXIS NASDAQ100の設定直後を避けた2021年2月15日から2022年4月8日までの、iFree NEXT NASDAQ100との比較です。
青のラインはリターン差で、iFree NEXT NASDAQ100ーeMAXIS NASDAQ100です。当初わずかに右肩上がりで推移していたので、iFree NEXT NASDAQ100の方が低コストでした。でも青のラインは途中からほぼフラットに変わっています。
次は2021年7月1日からの比較です。
青のラインはほぼフラットです。これは、2021年7月以降はこの2商品間にリターン差がない(=トータルコストが同じ)ことを示しています。
この結果は運用報告書から計算したトータルコストと符合します。
NZAMベータNASDAQ100との比較
次は2021年6月1日から2022年4月8日までの、NZAMベータNASDAQ100との比較です。税抜き信託報酬はeMAXIS NASDAQ100と同じ0.40%です。
青のラインはeMAXIS NASDAQ100ーNZAMベータNASDAQ100です。eMAXIS NASDAQ100の方が低コストです。
売れています
次は設定来の資金流出入額の累計の推移です。純資産総額は423億円です。なお、運用側による初期投資と思われる3億円は除いています。
直近だと頭打ちの傾向が見られますが、順調に資金を集めています。
次はiFree NEXT NASDAQ100もプロットしたものです。純資産総額は494億円です。
緑のラインがiFree NEXT NASDAQ100です。資金流入額ではeMAXIS NASDAQ100の方が上回っています。eMAXIS NASDAQ100は後発で、iFree NEXT NASDAQ100という強力なライバルがいる中、短期間で人気の獲得に成功したと言えるでしょう。
ネット証券でも普通に買えます
eMAXIS NASDAQ100は現在11社で扱われています。
- 楽天証券
- SBI証券
- auカブコム証券
- マネックス証券
- 松井証券
- 中銀証券
- 岡三オンライン証券
- 百十四銀行
- 三菱UFJモルガン・スタンレー証券
- 三菱UFJ銀行
- GMOクリック証券
eMAXIS NASDAQ100は5大ネット証券でも扱われています。信託報酬はiFree NEXT NASDAQ100より0.05%ポイント安いし、eMAXISシリーズなので選択する、という受益者もそれなりにいることと想像します。
これがもしスリムシリーズだったらもっと売れている気がします。
評価:良い選択肢です
NASDAQ100連動インデックスは、現状、iFree NEXT NASDAQ100とeMAXIS NASDAQ100の二択になると考えています。
- リターン比較結果から、トータルコストは同等です。
- eMAXIS NASDAQ100は現物株運用であり、今後もQQQを買うとは思えません。が、iFree NEXT NASDAQ100は3%以下とは言え今でもQQQを買っており、この比率は上がるかもしれません。この点においては、eMAXIS NASDAQ100の方が好ましいです。
- どちらも高い人気を獲得しており、十分な純資産総額があります。
信託報酬はeMAXIS NASDAQ100の方が0.05%ポイント安いので、トータルコストもiFree NEXT NASDAQ100より安くなって欲しいところです。eMAXIS NASDAQ100には隠れコストの削減を頑張って欲しいですね。
僕はNASDAQ100指数には投資していませんが、eMAXIS NASDAQ100のスリム版の登場を密かに期待しています。でもそうなった時の、eMAXIS NASDAQ100の受益者の落胆ぶりを想像すると、すごく残念な気持ちになりますね。