テーマ型ファンドのシリーズもいくつかありますが、eMAXIS Neoシリーズは9本も揃えています。その結果、かなり絞り込まれた、ニッチなテーマも扱っています。
eMAXIS Neoドローンはドローン関連企業への投資に特化したインデックスファンドです。
eMAXIS Neoドローン
2018年12月3日に税抜き信託報酬0.72%で設定されました。eMAXIS Neoシリーズ第二弾の3商品のうちの1本です。S&P Kensho Drones Indexに連動するインデックスファンドで、日本を含む世界各国のドローン関連企業に投資します。信託報酬はちょっと高めですが、現物株運用でノーロード、解約時信託財産留保額はゼロ、信託期間無期限と期待通りの組成です。
ベンチマークであるS&P Kensho Drones Indexは、つみたてNISAの指定インデックスではないので、eMAXIS NeoドローンはつみたてNISA適格ではありません。
S&P Kensho Drones Index
テーマ型ファンドの場合、投資対象をどう選択するかがキモになります。S&P Kensho Drones IndexはKensho社がAIを活用して作成しています。
引用:目論見書
現在24銘柄に投資しており、その約82%が米国企業です。"Modified equal weighted"であり、均等配分だと1銘柄4.1%程度になりますが、投資割合1位は13.7%と偏りがあるようです。
次はeMAXIS Neoドローンの組み入れ上位10銘柄です。
これら10銘柄のうち、S&P500種指数と重複しているのは4銘柄だけでした。右端の列の数字はその順位です。NASDAQ100指数との重複はありませんでした。ドローン関連企業だけあって、かなり尖った銘柄選択のようですね。
また、こちらの資料によると、投資対象企業は防衛・航空機・半導体・画像処理・通信機器・造船と多岐に渡っています。民生用のドローンからイメージしたものとは随分違っているようです。
運用コスト
次は運用報告書から計算した運用コスト(トータルコスト)です。eMAXIS Neo遺伝子工学、eMAXIS Neoロボットと比較しています。
eMAXIS Neoドローンの隠れコストはeMAXIS Neoロボットと同水準です。
次は隠れコストの明細です。
eMAXIS Neoシリーズは保管費用が高めですね。
トータルコストは1%近いですが、ドローンという尖ったテーマに投資して、期待通りのパフォーマンスが得られるなら気にならない水準でしょうか。なお、僕が探した範囲では、ドローン開発企業への投資に特化したファンドは、eMAXIS Neoドローン以外に見つかりませんでした。
リターン比較
ベンチマークとの比較
こちらでS&P Kensho Drones Indexのデータがダウンロードできます。次はそのベンチマーク(トータルリターン)を円換算したものと、eMAXIS Neoドローンのリターン比較です。eMAXIS Neoドローンの設定直後を避けた2018年12月25日から2020年12月30日までです。
青のラインはベンチマークーeMAXIS Neoドローンです。期待通り右肩上がりの直線ですが、傾きが大きいです。なお、株価暴落時に凹んでいるのは正常です。
次はベンチマークの運用コストを年率1.4%ポイント増量したものとの比較です。
青のラインはほぼフラットになりました。株価暴落後に段差ができているのは、運用上の問題だと思われます。
運用報告書から計算したトータルコストからすると、1%程度の増量でいいはずなのですが、それでは足りませんでした。運用報告書には表れていないコスト(あるいはリターンを劣化させる要因)があるのかも知れません。
スリム米国株式(S&P500)との比較
テーマ型ファンドに投資するのですから、S&P500種指数には負けたくないところでしょう。次は2018年12月25日から2021年1月22日までの、スリム米国株式(S&P500)との比較です。
コロナショックによる株価暴落前は互角でした。株価暴落時にeMAXIS Neoドローンは大きく下落しますが、回復は速く、直近は素晴らしい伸びを見せています。
ベンチマークとVOOトータルリターンの比較
S&P Kensho Drones Indexのデータは2013年6月18日からあるので(そんな昔からあったのですね)、せっかくですからS&P500種指数を代表するVOOトータルリターンと比較しました。2020年12月30日までです。
赤のラインがベンチマークです。青のラインはベンチマークーVOOトータルリターンです。2016年までは互角でしたが、その後差が広がります。コロナショックによる株価暴落で同水準まで下落しますが、その後の伸びは圧倒的です。
人気急上昇中
次は設定来の資金流出入額の累計の推移です。純資産総額は21.08億円です。なお、グラフからは初期投資の3億円を除外し、右端に余白を追加しています。
資金流入額は大きくはないものの、最近急激に売れ始めました。これは直近のパフォーマンスが素晴らしいからだと思うのですが、いい時もあれば悪い時もあるので、このまま買い持ちできるのかちょっと心配でもあります。
eMAXIS Neoドローンは長期投資向きの組成だと思いますし、短期売買で利益を狙うならもっとそれに適したファンドがあるので、できれば長期投資を嗜好する人に買って欲しいです。
評価:ドローン関連企業に投資するなら良い選択肢
eMAXIS Neoドローン以外にドローン関連企業に投資するファンドが見当たらないこと、トータルコストは高いもののeMAXIS Neoドローンの組成は好感が持てることから、ドローンの未来に賭けるなら良い選択肢だと思います。
現在人気急上昇中とは言え、安定した資金流入が継続するかどうかは不明です。繰上償還のリスクが気にならない程度の人気、純資産総額が集まると安心できますが、それは今後のパフォーマンス次第でしょう。