eMAXIS Neo電気自動車は、電気自動車関連企業への投資に特化したインデックスファンドです。個別株を自分で売買する高いリスクを取ることなく、投資信託として手軽に投資できます。
でも現状のパフォーマンスだと投資しにくいです。それは資金流出入の様子に表れています。
eMAXIS Neo電気自動車
2021年5月7日に税抜き信託報酬0.72%で設定されました。eMAXIS Neoシリーズ第四弾の2商品のうちの1本です。S&P Kensho Electric Vehicles Indexに連動するインデックスファンドで、日本を含む世界各国の電気自動車関連企業に投資します。信託報酬はちょっと高めですが、現物株運用でノーロード、解約時信託財産留保額はゼロ、信託期間無期限と期待通りの組成です。
ベンチマークであるS&P Kensho Electric Vehicles Indexは、つみたてNISAの指定インデックスではないので、eMAXIS Neo電気自動車はつみたてNISA適格ではありません。
S&P Kensho Electric Vehicles Index
テーマ型ファンドの場合、投資対象をどう選択するかがキモになります。S&P Kensho Electric Vehicles IndexはKensho社がAIを活用して作成しています。
引用:目論見書
現在44銘柄に投資しており、その約67%が米国企業です。"Modified equal weighted"であり、均等配分だと1銘柄2.3%程度になりますが、投資割合5.1%からの傾斜となっています。
次はeMAXIS Neo電気自動車の組み入れ上位10銘柄です。全体の約36%を占めます。
出典:月次報告書
投資対象銘柄のS&P500種指数における順位と、NASDAQ100指数における順位も載せています。
テスラはお馴染みですね。これら銘柄からはかなり攻めている感じがします。
運用コスト
次は運用報告書から計算した運用コスト(トータルコスト)です。eMAXIS Neo遺伝子工学、eMAXIS Neoロボットと比較しています。
第一期決算期間は3ヶ月ちょっとしかなかったので、一般的には高コストになりやすいのですが、eMAXIS Neo電気自動車は頑張って抑えた印象です。
リターン比較
ベンチマークとの比較
こちらでS&P Kensho Electric Vehicles Indexのデータがダウンロードできます。次はそのベンチマーク(トータルリターン)を円換算したものと、eMAXIS Neo電気自動車のリターン比較です。eMAXIS Neo電気自動車の設定直後を避けた2021年5月20日から2021年11月30日までです。
青のラインはベンチマークーeMAXIS Neo電気自動車です。ゆるやかな右肩上がりの直線になるのが期待値ですが、この値動きだとこれで正常、運用に問題は見られないと言っていいでしょう。
スリム米国株式(S&P500)との比較
テーマ型ファンドに投資するのですから、S&P500種指数には負けたくないところでしょう。次は2021年5月20日から2021年11月26日までの、スリム米国株式(S&P500)との比較です。
赤のラインがeMAXIS Neo電気自動車、緑のラインがスリム米国株式(S&P500)です。比較期間が半年と短いものの、eMAXIS Neo電気自動車のこの値動きではホールドするのに根性が必要ですね。
ベンチマークとVOOトータルリターンの比較
S&P Kensho Electric Vehicles Indexのデータは2018年9月17日に作成開始されました。せっかくですからS&P500種指数を代表するVOOトータルリターンと比較しました。2021年11月30日までです。
赤のラインがベンチマーク、緑のラインがVOOトータルリターンです。青のラインはベンチマークーVOOトータルリターンです。
コロナショックによる株価暴落前は、S&P500をアンダーパフォームしていましたが、株価暴落後に驚異的な伸びを見せます。が、eMAXIS Neo電気自動車が設定された時にはすでにバブリーな相場は勢いを失っていて、ボラティリティは高いものの成長できていません。テーマ型ファンドの難しさを象徴しています。
iFreeActive EVとの比較
iFreeActive EVはEV(電気自動車)関連企業への投資に特化した、テーマ型アクティブファンドです。次はiFreeActive EVとのリターン比較です。
赤のラインがiFreeActive EVです。青のラインはiFreeActive EVーeMAXIS Neo電気自動車です。この比較期間だとiFreeActive EVの圧勝です。
売れ行きは
次は設定来の資金流出入額の累計の推移です。純資産総額は41億円です。なお、グラフからは初期投資の3億円を除外しています。
設定直後はパフォーマンスも良かったので順調に売れましたが、パフォーマンスが期待はずれなものになると頭打ちになります。資金流出入の様子は、パフォーマンスの推移を強く反映していると言えるでしょう。設定直後に飛びついた人は後悔しているかも知れませんね。
評価:電気自動車関連企業に投資するなら良い選択肢かも
電気自動車関連企業はこれから高い成長が期待できそうですが、だからと言ってeMAXIS Neo電気自動車への投資が期待通りの果実をもたらしてくれるかどうかは分かりません。それに賭けるのもいいかも知れませんし、テーマ型ファンドへの投資は多かれ少なかれ、そういうものだと思います。
電気自動車の未来に期待するなら、eMAXIS Neo電気自動車の組成は長期投資向きで好感が持てますし、トータルコストも許容範囲だと思います。でも現状のパフォーマンスだと投資しにくいのも事実でしょう。