インデックス投資

eMAXIS Neo遺伝子工学の運用コストと評価

遺伝子工学関連企業に投資したいけど、個別株を選択する高いリスクは避けたいという人にとって、eMAXIS Neo遺伝子工学は手軽に投資できる、この上なく都合が良い商品です。一般的な資産クラスに投資するインデックスファンドと比べると、信託報酬は高く感じますが、相応のパフォーマンスが出るなら気にならない水準だと思います。

問題はパフォーマンスです。素晴らしい未来が待っているとしても、それはまだ先のようです。

更新情報

参照しているデータを最新版に更新しています。

eMAXIS Neo遺伝子工学

2018年8月6日に税抜き信託報酬0.72%で設定されました。eMAXIS Neoシリーズの第一弾の3商品のうちの1本です。S&P Kensho Genetic Engineering Indexに連動するインデックスファンドで、日本を含む世界各国の遺伝子工学関連企業に投資します。信託報酬はちょっと高めですが、現物株運用でノーロード、解約時信託財産留保額はゼロ、信託期間無期限と期待通りの組成です。

ベンチマークであるS&P Kensho Genetic Engineering Indexは、つみたてNISAの指定インデックスではないので、eMAXIS Neo遺伝子工学はつみたてNISA適格ではありません。

S&P Kensho Genetic Engineering Index

テーマ型ファンドの場合、投資対象をどう選択するかがキモになります。S&P Kensho Genetic Engineering IndexはKensho社がAIを活用して作成しています。

S&P Kensho Genetic Engineering Indexの説明文

引用:目論見書

現在70銘柄に投資しており、その約80%が米国企業です。"Modified equal weighted"であり、均等配分だと1銘柄1.4%程度になりますが、投資割合1位が3.2%でそこから徐々に減るようです。

また、こちらの資料によると、2021年6月に銘柄入れ替えを含み定期リバランスが実施され、S&P Kensho Genetic Engineering Indexに17銘柄が追加、2銘柄が除外されました。

次はeMAXIS Neo遺伝子工学の組み入れ上位10銘柄です。

eMAXIS Neo遺伝子工学の組み入れ上位10銘柄とその比率の表

投資対象銘柄のS&P500種指数における順位と、NASDAQ100指数における順位も載せています。どうやらかなり尖った指数のようです。

こちらの資料で、eMAXIS Neo遺伝子工学の投資対象銘柄が紹介されています。

運用コスト

次は運用報告書から計算した運用コスト(トータルコスト)です。eMAXIS Neoロボットと比較しています。

運用報告書から計算したトータルコスト表

eMAXIS Neo遺伝子工学は隠れコストが高めです。次は隠れコストの明細です。eMAXIS Neoロボットと比べて高さが目立つ項目を赤字にしています。

隠れコストの明細表

売買委託手数料と保管費用が高いです。もう少し抑えて欲しいところですね。

トータルコストは1.1%程度と高く感じますが、遺伝子工学という尖ったテーマに投資して、期待通りのパフォーマンスが得られるなら許容できるでしょうか。

リターン比較

ベンチマークとの比較

こちらでS&P Kensho Genetic Engineering Indexのデータがダウンロードできます。次はそのベンチマーク(トータルリターン)を円換算したものと、eMAXIS Neo遺伝子工学のリターン比較です。eMAXIS Neo遺伝子工学の設定直後を避けた2018年8月28日から2021年6月30日までです。

ベンチマークとeMAXIS Neo遺伝子工学のリターン比較グラフ

青のラインはベンチマークーeMAXIS Neo遺伝子工学です。期待通り右肩上がりの直線です。その傾きが、eMAXIS Neo遺伝子工学の運用コストを示しています。

次はベンチマークの運用コストを年率1.3%ポイント増量したものとの比較です。

ベンチマークの運用コストを年率1.3%ポイント増量したものとの比較グラフ

青のラインは2020年11月までは、ほぼフラットになりました。運用報告書から計算したトータルコストからすると、1.1%程度の増量でいいはずなのですが、それでは足りませんでした。運用報告書には表れていないコスト(あるいはリターンを劣化させる要因)があるのかも知れません。

でも2021年は1.3%では増量しすぎ(右肩下がりになっている)ので、最近は運用コストが改善されていると思われます。

スリム米国株式(S&P500)との比較

テーマ型ファンドに投資するのですから、S&P500種指数には負けたくないところでしょう。次は2018年8月28日から2021年7月21日までの、スリム米国株式(S&P500)との比較です。

スリム米国株式(S&P500)とeMAXIS Neo遺伝子工学のリターン比較グラフ

赤のラインがスリム米国株式(S&P500)です。青のラインはスリム米国株式ーeMAXIS Neo遺伝子工学です。コロナショックによる株価暴落前は、S&P500の方が高パフォーマンスでした。が、株価暴落後は伸びが良く、一時はS&P500より高パフォーマンスでした。が、2021年2月以降失速しています。

この比較期間だと、eMAXIS Neo遺伝子工学は安定して成長していると言えず、あまり魅力を感じません。

iFree NEXT NASDAQバイオテクノロジーとの比較

次はiFree NEXT NASDAQバイオテクノロジーの設定直後を避けた、2018年9月20日から2021年7月21日までの、eMAXIS Neo遺伝子工学との比較です。

iFree NEXT NASDAQバイオテクノロジーとeMAXIS Neo遺伝子工学のリターン比較グラフ

赤のラインがeMAXIS Neo遺伝子工学です。青のラインはeMAXIS Neo遺伝子工学ーiFree NEXT NASDAQバイオテクノロジーです。

この比較期間だと互角ですね。

ベンチマークとIBBトータルリターンの比較

S&P Kensho Genetic Engineering Indexのデータは2013年6月18日からあるので(そんな昔からあったのですね)、せっかくですからNASDAQバイオテクノロジー指数に連動するIBBのトータルリターンと比較しました。2021年6月30日までです。

ベンチマークとIBBトータルリターンの比較グラフ

赤のラインがベンチマークです。青のラインはベンチマークーIBBトータルリターンです。

2017年までは互角でしたが、2018年に差が広がります。でもその差は一方的には広がりませんでした。赤のラインと緑のラインを見比べると、赤のラインの圧勝に見えますが、これはこの手のグラフによくある錯覚です。青のラインを見ると、それほど差があるわけではないことが分かります。

このグラフから得られる印象と、eMAXIS Neo遺伝子工学とiFree NEXT NASDAQバイオテクノロジーの比較グラフから得られる印象が合わない人も多いことと思います。次は比較開始を2018年9月20日に変更したものです。

ベンチマークとIBBトータルリターンの比較グラフ、2018年9月20日から

そっくりになりました。リターン比較は切り取る期間でその印象が大きく変わる良い実例ですね。

SMT MIRAIndexバイオ・メディカル

SMT MIRAIndexバイオ・メディカルはテーマ型インデックスファンドです。次はSMT MIRAIndexバイオ・メディカルの設定直後を避けた、2019年4月10日から2021年7月21日までの比較です。

SMT MIRAIndexバイオ・メディカルとeMAXIS NEO遺伝子工学のリターン比較グラフ

赤のラインがeMAXIS Neo遺伝子工学です。青のラインはeMAXIS Neo遺伝子工学ーSMT MIRAIndexバイオ・メディカルです。

この比較期間だと時期によって優劣はあるものの、互角と言っていいでしょう。

人気の獲得に苦戦中

次は設定来の資金流出入額の累計の推移です。純資産総額は23.67億円です。なお、グラフからは初期投資の3億円を除外してあります。

設定来の資金流出入額の累計の推移グラフ

しばらく不人気でしたが、2020年12月から売れ始めます。が、4月には頭打ちになります。パフォーマンスに連動しすぎているようで、固い信念を持って買っている人は多くないのかも知れません。

短期間のパフォーマンスを気にしすぎると、長期投資するのが難しくなるので、いい傾向とは言えません。

次はiFree NEXT NASDAQバイオテクノロジーとSMT MIRAIndexバイオ・メディカルもプロットしたものです。設定日の(運用側の初期投資を含んだ)純資産総額からスタートさせているので、みな左端が浮いています。

iFree NEXT NASDAQバイオテクノロジーとSMT MIRAIndexバイオ・メディカルもプロットしたグラフ

緑のラインがiFree NEXT NASDAQバイオテクノロジー、青のラインがSMT MIRAIndexバイオ・メディカルです。こうして見ると、eMAXIS Neo遺伝子工学はまだ売れている方だと分かります。

評価:遺伝子工学の未来に賭けるなら良い選択かも

遺伝子工学の未来に、S&P Kensho Genetic Engineering Indexが将来大きなリターンをもたらしてくれることに賭けるなら、eMAXIS Neo遺伝子工学は良い選択かも知れません。トータルコストはもう少し抑えて欲しいところです。

人気が出る前から凡庸なパフォーマンスに我慢しつつ投資をし、パフォーマンスが素晴らしいものになって人気が出た時に大きなリターンを手にするというのは、簡単ではないですね。現在のパフォーマンスだと、遺伝子工学の未来に賭けるには勇気が要りそうです。

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