インデックス投資

eMAXIS Neo宇宙開発の運用コストと評価

宇宙開発関連企業に投資したいけど、個別株を選択する高いリスクは避けたいという人にとって、宇宙開発をテーマにしたファンドはうれしい存在です。eMAXIS Neo宇宙開発は、一般的な資産クラスに投資するインデックスファンドと比べると、信託報酬は高く感じますが、良くある高コストなアクティブファンドよりずっと割安です。

eMAXIS Neo宇宙開発

2018年8月6日に税抜き信託報酬0.72%で設定されました。eMAXIS Neoシリーズ第一弾の3商品のうちの1本です。S&P Kensho Space Indexに連動するインデックスファンドで、日本を含む世界各国の宇宙開発関連企業に投資します。信託報酬はちょっと高めですが、現物株運用でノーロード、解約時信託財産留保額はゼロ、信託期間無期限と期待通りの組成です。

ベンチマークであるS&P Kensho Space Indexは、つみたてNISAの指定インデックスではないので、eMAXIS Neo宇宙開発はつみたてNISA適格ではありません。

S&P Kensho Space Index

テーマ型ファンドの場合、投資対象をどう選択するかがキモになります。S&P Kensho Space IndexはKensho社がAIを活用して作成しています。

S&P Kensho Space Indexの説明文

引用:目論見書

現在30銘柄に投資しており、その約97%が米国企業です。"Modified equal weighted"であり、均等配分だと1銘柄3.3%程度になりますが、投資割合1位が5.4%でそこから徐々に減るようです。

次はeMAXIS Neo宇宙開発の組み入れ上位10銘柄です。

eMAXIS Neo宇宙開発の組み入れ上位10銘柄

これら10銘柄のうち、S&P500種指数と重複しているのは4銘柄だけでした。右端の列の数字はその順位です。NASDAQ100指数との重複はありませんでした。かなり尖った銘柄選択のようですね。

こちらの資料で、eMAXIS Neo宇宙開発の投資対象銘柄が紹介されています。

運用コスト

次は運用報告書から計算した運用コスト(トータルコスト)です。eMAXIS Neoロボット、eMAXIS Neo遺伝子工学と比較しています。

運用報告書から計算したトータルコスト表

eMAXIS Neo宇宙開発はeMAXIS Neo遺伝子工学同様、隠れコストが高めです。次は隠れコストの明細です。eMAXIS Neoロボットと比べて高さが目立つ項目を赤字にしています。

隠れコストの明細表

売買委託手数料と保管費用が高いです。eMAXIS Neo宇宙開発の投資対象銘柄数は30、eMAXIS Neoロボットは32でほぼ変わらないのに、どうしてこのような差が出るのでしょうか。できればもう少し抑えて欲しいところですね。

トータルコストは1.1%程度と高く感じますが、宇宙開発という尖ったテーマに投資して、期待通りのパフォーマンスが得られるなら許容できるでしょうか。

ベンチマークとの比較

こちらでS&P Kensho Space Indexのデータがダウンロードできます。次はそのベンチマーク(トータルリターン)を円換算したものと、eMAXIS Neo宇宙開発のリターン比較です。eMAXIS Neo宇宙開発の設定直後を避けた2018年8月28日から2020年12月30日までです。

ベンチマークとeMAXIS Neo宇宙開発のリターン比較グラフ

青のラインはベンチマークーeMAXIS Neo宇宙開発です。期待通り右肩上がりの直線です。その傾きが、eMAXIS Neo宇宙開発の運用コストを示しています。なお、株価暴落時に凹んでいるのは正常ですが、不自然な乱れがありますね。

次はベンチマークの運用コストを年率1.3%ポイント増量したものとの比較です。

ベンチマークの運用コストを年率1.3%ポイント増量したものとの比較グラフ

青のラインはほぼフラットになりました。株価暴落後に段差ができているのは、運用上の問題だと思われます。

運用報告書から計算したトータルコストからすると、1.1%程度の増量でいいはずなのですが、それでは足りませんでした。運用報告書には表れていないコスト(あるいはリターンを劣化させる要因)があるのかも知れません。

スリム米国株式(S&P500)との比較

テーマ型ファンドに投資するのですから、S&P500種指数には負けたくないところでしょう。次は2018年8月28日から2021年1月22日までの、スリム米国株式(S&P500)との比較です。

スリム米国株式(S&P500)とeMAXIS Neo宇宙開発のリターン比較グラフ

赤のラインがスリム米国株式(S&P500)です。青のラインはスリム米国株式ーeMAXIS Neo宇宙開発です。コロナショックによる株価暴落前は互角でしたが、eMAXIS Neo宇宙開発は株価暴落時の下落率が高く、回復ペースも遅かったです。直近では大きく伸びているものの、S&P500に負けています。

この比較期間だと、eMAXIS Neo宇宙開発への投資を継続するのは苦しかったと思われます。

SMT MIRAIndex宇宙との比較

SMT MIRAIndex宇宙はテーマ型インデックスファンドです。SMT MIRAIndex宇宙の設定直後を避けた、2020年1月6日から2021年1月22日までの比較です。

SMT MIRAIndex宇宙とeMAXIS Neo宇宙開発のリターン比較グラフ

赤のラインがeMAXIS Neo宇宙開発です。青のラインはeMAXIS Neo宇宙開発ーSMT MIRAIndex宇宙です。この比較期間だとeMAXIS Neo宇宙開発の方が高パフォーマンスです。

でも値動きはびっくりするほど似ていますね。

グローバル・スペース株式ファンド(1年決算型)との比較

日興アセットマネジメントが運用しているグローバル・スペース株式ファンド(1年決算型)は、あの話題のARK(アーク)社の助言を受けて銘柄選択をしています。設定されたのはeMAXIS Neo宇宙開発とほぼ同時期の、2018年8月13日です。次は2018年9月3日から2021年1月22日までの、グローバル・スペース株式ファンド(1年決算型)との比較です。

グローバル・スペース株式ファンド(1年決算型)とeMAXIS Neo宇宙開発のリターン比較グラフ

赤のラインがグローバル・スペース株式ファンドです。青のラインはグローバル・スペース株式ファンドーeMAXIS Neo宇宙開発です。コロナショックによる株価暴落前はeMAXIS Neo宇宙開発の方が高パフォーマンスでしたが、株価暴落後はグローバル・スペース株式ファンドの圧勝です。「流石ARK社、スゲー」と思ってしまいます。今後もこのような高いパフォーマンスを維持できるでしょうか。

なお、グローバル・スペース株式ファンドの税抜き信託報酬は1.75%と高額、信託期間は10年で2028年6月7日に償還されます。

不人気です

次は設定来の資金流出入額の累計の推移です。純資産総額は14.66億円です。なお、グラフからは初期投資の3億円を除外してあります。

設定来の資金流出入額の累計の推移グラフ

人気は頭打ちです。どうしてもパフォーマンスの高い商品が人気を集める傾向が強いので、現状だとこうなってもしょうがないですね。

次はSMT MIRAIndex宇宙と、グローバル・スペース株式ファンド(1年決算型)もプロットしたものです。設定日の(運用側の初期投資を含んだ)純資産総額からスタートさせているので、左端が浮いています。

SMT MIRAIndex宇宙と、グローバル・スペース株式ファンド(1年決算型)もプロットしたグラフ

青のラインがグローバル・スペース株式ファンド、緑のラインがSMT MIRAIndex宇宙です。最近のパフォーマンスが圧倒的なグローバル・スペース株式ファンドさえ、人気は頭打ちで、資金流出傾向です。SMT MIRAIndex宇宙は極端に売れていません。

テーマ型ファンドに、成長前から投資することの難しさを表しているようです。

評価:宇宙開発の未来を信じて長期投資する人には良い選択肢かも

宇宙開発の未来に、S&P Kensho Space Indexが将来大きなリターンをもたらしてくれることを信じて長期投資する人には、eMAXIS Neo宇宙開発は良い選択かも知れません。でもトータルコストはもう少し抑えて欲しいところです。

現在は不人気なので、繰上償還のリスクが気になります。それでも人類の未来を想像すると、宇宙開発関連企業には大きな成長が期待できます。問題は、それを信じて買い持ちを継続できるかどうか、ですね。

なお、グローバル・スペース株式ファンド(1年決算型)は信託期間が10年しかないので、どんなにパフォーマンスが高くてもおすすめする気にはなれないです。

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