eMAXIS Neoバーチャルリアリティはバーチャルリアリティ関連企業への投資に特化したインデックスファンドです。個別株を通して投資する高いリスクを取ることなく、投資信託として手軽に投資できます。
eMAXIS Neoバーチャルリアリティは一時期、あの絶好調のNASDAQ100指数をブッチギリで凌駕していましたが、最近は互角です。
更新情報
第三期運用報告書の内容を反映させています。また、参照しているデータを最新版に更新しています。
eMAXIS Neoバーチャルリアリティ
2018年12月3日に税抜き信託報酬0.72%で設定されました。eMAXIS Neoシリーズ第二弾の3商品のうちの1本です。S&P Kensho Virtual Reality Indexに連動するインデックスファンドで、日本を含む世界各国のバーチャルリアリティ関連企業に投資します。信託報酬はちょっと高めですが、現物株運用でノーロード、解約時信託財産留保額はゼロ、信託期間無期限と期待通りの組成です。
ベンチマークであるS&P Kensho Virtual Reality Indexは、つみたてNISAの指定インデックスではないので、eMAXIS NeoバーチャルリアリティはつみたてNISA適格ではありません。
S&P Kensho Virtual Reality Index
テーマ型ファンドの場合、投資対象をどう選択するかがキモになります。S&P Kensho Virtual Reality IndexはKensho社がAIを活用して作成しています。
引用:目論見書
現在23銘柄に投資しており、その約80%が米国企業です。"Modified equal weighted"であり、均等配分だと1銘柄4.3%程度になりますが、投資割合1位は8.9%と偏りがあるようです。
また、こちらの資料によると、2021年6月に銘柄入れ替えを含み定期リバランスが実施され、S&P Kensho Virtual Reality Indexの6銘柄が追加され、2銘柄が除外されました。
次はeMAXIS Neoバーチャルリアリティの組み入れ上位10銘柄です。全体の約57%を占めます。
出典:月次報告書
投資対象銘柄のS&P500種指数における順位と、NASDAQ100指数における順位も載せています。NVIDIAとMETA(旧フェイスブック)がいるのは意外な感じがしますが、どちらもバーチャルリアリティに関連企業です。
こちらの資料(古いです)で、eMAXIS Neoバーチャルリアリティの投資対象銘柄が紹介されています。どうしてMETAが上位銘柄なの?って方は確認されるといいと思います。
運用コスト
次は運用報告書から計算した運用コスト(トータルコスト)です。eMAXIS Neo遺伝子工学、eMAXIS Neoロボットと比較しています。
eMAXIS Neoバーチャルリアリティの隠れコストは第三期で半減されました。
次は隠れコストの明細です。
eMAXIS Neoシリーズは売買委託手数料と保管費用が高い傾向がありますが、eMAXIS Neoバーチャルリアリティは特に保管費用が高かったです。それが大幅に削減されています。
トータルコストは0.925%と安くはありませんが、バーチャルリアリティという尖ったテーマに投資して、期待通りのパフォーマンスが得られるなら気にならない水準でしょう。なお、僕が探した範囲では、バーチャルリアリティ関連企業への投資に特化したファンドは、eMAXIS Neoバーチャルリアリティ以外に見つかりませんでした。
リターン比較
ベンチマークとの比較
こちらでS&P Kensho Virtual Reality Indexのデータがダウンロードできます。次はそのベンチマーク(トータルリターン)を円換算したものと、eMAXIS Neoバーチャルリアリティのリターン比較です。eMAXIS Neoバーチャルリアリティの設定直後を避けた2018年12月25日から2021年10月29日までです。
青のラインはベンチマークーeMAXIS Neoバーチャルリアリティです。期待通り右肩上がりの直線で推移していましたが、2021年2月以降の変動が極端に大きい時期は不自然なリターン差になっています。また、直近は運用コストが改善されていると思われます。
次はベンチマークの運用コストを年率1.3%ポイント増量したものとの比較です。
青のラインは2021年2月以降を除いてフラットになりました。やはり2021年2月以降の変動が極端に大きい時期は、運用面で問題があったのかも知れません。
また最近は明らかに増量しすぎです。これは運用報告書から計算したトータルコストの改善に符号します。
スリム米国株式(S&P500)との比較
テーマ型ファンドに投資するのですから、S&P500種指数には負けたくないところでしょう。次は2018年12月25日から2021年11月26日までの、スリム米国株式(S&P500)との比較です。
赤のラインがeMAXIS Neoバーチャルリアリティです。2019年10月までは互角でしたが、その後eMAXIS NeoバーチャルリアリティはS&P500をアウトパフォームします。コロナショックによる株価暴落時には大きく下落しましたが、その後の回復力は圧倒的で、2020年11月以降はとんでもない成長を見せました。この比較期間の利益率は398%です。
でも2021年2月以降は頭打ちになり、S&P500とまあ互角です。これからのことは未来になってみないと分かりません。
ベンチマークとVOOトータルリターンの比較
S&P Kensho Virtual Reality Indexのデータは2016年7月1日からあるので、せっかくですからS&P500種指数を代表するVOOトータルリターンと比較しました。2021年10月29日までです。
赤のラインのベンチマークはボラティリティ(変動率)が高いです。S&P500を大きくアウトパフォームしている状態から、同じ水準にまで簡単に下げたこともありました。コロナショックによる株価暴落後の伸びはとんでもないですが、最近の変動率の高さは半端ないです。
eMAXIS Neoバーチャルリアリティに投資する人は、この変動率の高さを納得(覚悟)しないと買い持ちできないでしょうね。
iFree NEXT NASDAQ100との比較
S&P500では歯が立たなかったので、NASDAQ100と比較してみます。次は2018年12月25日から2021年11月26日までの、iFree NEXT NASDAQ100との比較です。
赤のラインがeMAXIS Neoバーチャルリアリティです。コロナショック前も負けておらず、株価暴落後の回復ペースも互角でした。が、2020年11月からのeMAXIS Neoバーチャルリアリティの伸びは圧倒的で、NASDAQ100を置き去りにしています。が、2021年2月以降は頭打ちになり互角です。
eMAXIS Neoバーチャルリアリティのバブルは一足先に終わっていたのかも知れません。
おさらい
eMAXIS Neoバーチャルリアリティ、iFree NEXT NASDAQ100、スリム米国株式(S&P500)をまとめてプロットしました。縦軸は対数です。
赤のラインがeMAXIS Neoバーチャルリアリティ、青のラインがiFree NEXT NASDAQ100です。eMAXIS Neoバーチャルリアリティの異常な伸びが目立ちます。
資金流出が止まりません
次は設定来の資金流出入額の累計の推移です。純資産総額は115億円です。eMAXIS Neoシリーズの中では自動運転に次いで2番目の多さです。なお、グラフからは初期投資の3億円を除外しています。
資金流入が増えた時期と、NASDAQ100指数をアウトパフォームした時期が一致していることには苦笑してしまいますが、人気とはそういうプロセスを経て醸成されるものでしょう。そしてパフォーマンスが頭打ちになるとすかさず資金流出傾向に変わりました。資金流出が止まりません。
eMAXIS Neoバーチャルリアリティは長期投資向きの商品だと思うのですが、長期保有を続けるのが難しい現実がここにあります。
評価:バーチャルリアリティ関連企業に投資するなら良い選択肢
eMAXIS Neoバーチャルリアリティ以外に、バーチャルリアリティ関連企業への投資に特化したファンドが見当たらないこと、トータルコストは安くはないもののeMAXIS Neoバーチャルリアリティの組成は長期投資向きで好感が持てることから、バーチャルリアリティの成長に期待するなら良い選択肢だと思います。
テーマ型ファンドのあるあるですが、パフォーマンスが良い時は資金流入が増え、悪くなると資金流出が増えています。もっと長期の目線で、長く買い持ちできる投資家に買って欲しいものです。