Funds-i 新興国株式は信託報酬を引き下げていないため、今ではすっかり高コスト商品になってしまいました。それでも最近まで安定した資金流入が継続していましたが、MSCIエマージング・マーケット連動インデックスファンドの中では不人気でした。
Funds-i 新興国株式
2010年11月26日に税抜き信託報酬0.60%で設定されました。13ヶ月前に設定されたeMAXIS新興国株式と同率でした。以来、信託報酬は引き下げられていません。
購入時手数料は税抜き1.0%を上限に設定可能で、金融機関を選ばないと徴収されます。また解約時信託財産留保額0.3%が設定されています。
Funds-i 新興国株式は、つみたてNISA適格です。
運用コスト
次は運用報告書から計算した運用コスト(トータルコスト)です。スリム新興国株式と比較しています。
Funds-i 新興国株式は隠れコストが低いです。MSCIエマージング・マーケット連動インデックスファンドで、現物株運用としては最安水準です。
次は隠れコストの明細です。
Funds-i 新興国株式の隠れコストは全体的に安いです。運用報告書に記載された数値は鵜呑みにできないことが知られていますが、本当だとしたら凄いですね。
リターン比較
eMAXIS新興国株式とのリターン比較
次はFunds-i 新興国株式の設定直後を避けた、2010年12月10日から2021年1月8日までの、eMAXIS新興国株式とのリターン比較です。
青のラインはFunds-i 新興国株式ーeMAXIS新興国株式です。信託報酬は同率で、隠れコストはFunds-i 新興国株式の方が安かったので、青のラインの期待値は右肩上がりの直線ですが、現実はまったく違います。MSCIエマージング・マーケット指数に忠実な運用は、そんなに簡単なことではないのかも知れません。
スリム新興国株式とのリターン比較
次はスリム新興国株式の税抜き信託報酬が0.189%なった2018年7月25日から2021年1月8日までの、Funds-i 新興国株式とのリターン比較です。
青のラインはスリム新興国株式ーFunds-i 新興国株式です。期待通り右肩上がりの直線です。コロナショックによる株価暴落時に凹んでいるのは想定通りですが、株価暴落後は傾きが少し足りない気がしますね。
次はスリム新興国株式の運用コストを年率0.38%ポイント増量したものとの比較です。
株価暴落前はほぼ適量、株価暴落後は不足です。この比較結果から、Funds-i 新興国株式の隠れコストは運用報告書にある通りの低水準だと推測します。凄いですね。
不人気です
次は設定来の資金流出入額の累計の推移です。純資産総額は51.42億円です。少ないです。
安定した資金流入がありましたが、2020年以降は資金流出傾向です。明らかにローコストな選択肢がたくさんあるので、売れなくなるのは自然です。
次は信託報酬が同率だったeMAXIS新興国株式と、一番人気のスリム新興国株式もプロットしたものです。
緑のラインがeMAXIS新興国株式です。Funds-i 新興国株式は人気を獲得できなかったことが分かります。そしてコスト意識のある受益者は青のラインのスリム新興国株式を歓迎したのでしょう。
Fund of the Yearの順位
eMAXIS新興国株式は、設定直後からしばらくFund of the Yearの常連でした。
ところがFunds-i 新興国株式は信託報酬が同率だった、そして隠れコストはeMAXIS新興国株式より安いと言われて来たにも関わらず、一度も入賞していません。この世界で人気を獲得するのが容易ではないことが分かります。
評価:買う価値ありません
MSCIエマージング・マーケットに投資するなら、スリム新興国株式一択です。Funds-i 新興国株式は過去の商品で、もう買う価値ありません。