先進国株式

たわら先進国株式の運用コストと評価

MSCIコクサイをベンチマークにした先進国株式インデックスファンドは人気のジャンルです。その絶対王者はニッセイ外国株式ですが、たわら先進国株式が二番手に付けていた時代もありました。しかし、熾烈な信託報酬引き下げ競争に、タイムリーに対応できなかった結果でしょうか、人気が伸び悩んでいます。

先進国株式インデックスは、ニッセイ外国株式かスリム先進国株式の二択で決まり、たわら先進国株式を選択する論理的理由はありません。どうしてでしょうか。

たわら先進国株式の信託報酬引き下げ履歴

たわら先進国株式はこれまで信託報酬を2回引き下げていますが、初回はライバルの最安水準に届かない残念なものでした。その後もライバルは信託報酬を引き下げましたが、たわら先進国株式は沈黙を守ったままでした。そして1年10ヶ月ぶりに最安水準の0.0999%に引き下げました。

次はその履歴をまとめた表です。

たわら先進国株式の信託報酬引き下げ履歴表

ところがその後、ライバルはさらに引き下げを行い、現在は0.0930%で並んでいます。ライバルとは、ニッセイ外国株式とスリム先進国株式のことです。

ニッセイ外国株式とスリム先進国株式が熾烈な信託報酬引き下げ競争を継続してきたのに対し、たわら先進国株式は「周回遅れ」の対応しか行いませんでした。その結果、明らかに人気(純資産総額)でライバルに遅れを取ることになりました。

運用報告書から計算した運用コストは最安

次は運用報告書から計算した運用コスト(トータルコスト)です。信託報酬はライバルより高いのですが、たわら先進国株式は隠れコストが安く、トータルコストは最安です。

ライバル含む、運用報告書から計算したトータルコスト一覧表

が、たわら先進国株式の運用報告書にある数値はあてにならないことが知られています。正しくは「異なる会社の運用報告書は横並びで比較できないのが現実」です。

運用報告書があてにならない実例

たわら先進国株式には税抜き信託報酬が0.20%の時代がありました。そして、スリム先進国株式の弟に相当する、つみたて先進国株式の税抜き信託報酬は0.20%固定です。次はたわら先進国株式とつみたて先進国株式の運用報告書から計算した、過去のトータルコストです。

たわら先進国株式とつみたて先進国株式の運用報告書から計算した、過去のトータルコスト表

運用報告書にある数値を信じるなら、たわら先進国株式とつみたて先進国株式のトータルコストには0.0264%ポイントの差がありました。

次は2018年1月4日から2019年9月30日までの、たわら先進国株式とつみたて先進国株式のリターン比較です。

2018年1月4日から2019年9月30日までの、たわら先進国株式とつみたて先進国株式のリターン比較グラフ

比較期間は21ヶ月なので、トータルコストにそれだけ差があるなら、青のラインは相応の傾きを持ってもいいはずです。基準価額に下落局面が多いので、大きくうねるとしても、です。ところが、青のラインはほぼフラットです。

つまり、運用報告書から計算したトータルコストには差があるのに、ごまかしの効かない基準価額データの比較では差が見られない、そういう例が実在する、ということです。

たわら先進国株式とニッセイ外国株式のリターン比較

次はたわら先進国株式とニッセイ外国株式のリターン比較です。たわら先進国株式の税抜き信託報酬が0.0999%になった2019年10月1日から2020年5月15日までです。

たわら先進国株式とニッセイ外国株式のリターン比較グラフ

青のラインはリターン差で、たわら先進国株式ーニッセイ外国株式です。マイナス圏、プラス圏の両方を推移していますが、プラスマイナス0.05%ポイントの範囲に収まっています。

この比較結果から、現状、たわら先進国株式とニッセイ外国株式のトータルコストはほぼ同じだと推測します。

たわら先進国株式とスリム先進国株式のリターン比較

次はたわら先進国株式とスリム先進国株式のリターン比較です。比較期間は同じです。

たわら先進国株式とスリム先進国株式のリターン比較グラフ

こちらもプラスマイナス0.05%ポイントの範囲に収まっています。よって現状、たわら先進国株式とスリム先進国株式のトータルコストはほぼ同じだと推測します。

たわら先進国株式も下方乖離を起こしていた?

たわら先進国株式の運用は安定していましたが、僕は下方乖離を起こしていたと考えています。他の人がそう主張しているのを知らないので、僕の考え違いかも知れません。そんな不確かな話は興味ないって方はここまで飛ばして下さい。

次はたわら先進国株式とニッセイ外国株式のリターン比較です。2019年年初から9月末までです。(10月から税抜き信託報酬が0.0999%に引き下げられました。)

たわら先進国株式とニッセイ外国株式のリターン比較グラフ、2019年年初から9月末まで

黄色に塗ったところで青のラインが下がっています。たわら先進国株式のリターンが劣化したように見えます。

次は同じ期間における、たわら先進国株式とスリム先進国株式の比較です。

たわら先進国株式とスリム先進国株式のリターン比較グラフ、2019年年初から9月末まで

同じように下がっていますね。

次は同じ期間における、たわら先進国株式とiFree 外国株式の比較です。

たわら先進国株式とiFree 外国株式のリターン比較グラフ、2019年年初から9月末まで

同じように下がっています。

黄色に塗った期間、基準価額は乱高下しました。影響を受けてもおかしくはないです。

これらの比較結果から、たわら先進国株式も下方乖離を起こしていたと考えています。

Fund of the Yearの順位

たわら先進国株式は、設定された翌年こそ2位でしたが、その後はイマイチでした。

Fund of the Yearの順位表

Fund of the Yearはごく限られた投資家の投票結果に過ぎませんが、人気を推し量る指標になるのも確かです。それは、資金流出入額の累計に表れています。

人気の差は明らか

次は設定来の資金流出入額の累計の推移です。ニッセイ外国株式とスリム先進国株式もプロットしています。

設定来の資金流出入額の累計の推移グラフ

緑のラインが絶対王者のニッセイ外国株式、青のラインがスリム先進国株式、赤のラインがたわら先進国株式です。たわら先進国株式は明らかに増加率が低いです。この様子だと、ライバルとの差は広がる一方です。

2020年年初から5月15日までの、資金流出入額の累計はこうでした。

  • たわら先進国株式:90.23億円
  • ニッセイ外国株式:262.57億円
  • スリム先進国株式:279.13億円

ニッセイ外国株式とスリム先進国株式はいい勝負ですが、たわら先進国株式はスリム先進国株式の1/3しかありませんでした。

販社の違いに見る販売戦略

販社数はニッセイ外国株式が22社、スリム先進国株式が15社なのに対し、たわら先進国株式は68社もあります。次はその一覧です。

ニッセイ外国株式、スリム先進国株式、たわら先進国株式の販社一覧表

出典:Yahoo!ファイナンス

たわら先進国株式の販社には地方銀行、ネットと距離がありそうな証券会社がひしめいています。ある時期から急速に販社数を増やしたようです。

でも実際にはネット証券を中心に買われているかも知れません。いや、そうでもないようです。

資金流出入が示唆する受益者層

投資信託が、毎月どの日に買われているかを調べたところ、予想外の結果が得られました

どうやら、いつでも自由に買える場合、分散するようです。積立したい日は、人によってバラバラらしいのです。そのため、特定の日に偏る場合は、積み立て日を自由に選択できない金融機関で買っていると推測できます。(あくまで僕の推測です。)

次は2020年年初からの、毎営業日ごとの資金流出入額の推移です。これはたわら先進国株式です。

たわら先進国株式の毎営業日ごとの資金流出入額の推移グラフ

偏っていますね。次はニッセイ外国株式です。

ニッセイ外国株式の毎営業日ごとの資金流出入額の推移グラフ

分散しています。次はスリム先進国株式です。

スリム先進国株式の毎営業日ごとの資金流出入額の推移グラフ

分散しています。

この結果と販社一覧から、たわら先進国株式の受益者の多くは「金融機関の窓口系顧客」だと思われます。でもそれって、失礼ながら絶滅危惧種を相手に商売しているということです。長期的に見て、これから伸ばせていけるとは思えません。

もちろん儲かっていません

次の表は現在の純資産総額から得られる年間売上を示したものです。

運用会社の売上一覧表

ニッセイ外国株式ですら儲かっていないので、純資産総額がその1/3しかないたわら先進国株式が儲かるわけがありません。儲かるようにするには、次のどちらかしかありません。

  • 純資産総額を大幅に増やす。
  • 信託報酬を大幅に上げる。

後者は論外でしょうから、純資産総額を増やすしかありません。でもニッセイ外国株式という絶対王者と、スリムシリーズの看板商品であるスリム先進国株式が人気を二分しており、たわら先進国株式は厳しい状況です。

評価:たわら先進国株式はおすすめしません

ごまかしの効かない基準価額データの比較では、ニッセイ外国株式、スリム先進国株式、たわら先進国株式のトータルコストは変わりません。でも、売れ行き(人気)には明らかな差があります。それはこれまで何年もかけて醸成された、明文化できないものが生み出した結果ではないでしょうか。

純資産総額を増やすには、受益者から有償の愛である(多額の)現金を集める必要があります。信託報酬から得られる運用会社の取り分はわずかなので、経営的に成立させるためには圧倒的な純資産総額を集めるしかありません。それが人気であり、利益の源泉であり、さらなる信託報酬引き下げ競争の原資なのです。

競争に勝つためには、信託報酬を競争力のあるものにしなければなりませんが、それで人気が出ないと苦しくなります。競争相手に信託報酬を引き下げるものがいる場合、もっと苦しくなります。売れていないのに勝てるあてのない信託報酬引き下げなんてできないでしょう。

え、まだ信託報酬は下がるの?僕は下がると思っています。下がるとするなら、これまで信託報酬引き下げに積極的でなかったたわら先進国株式に未来を託すのは、賢明とは思えないのです。もう信託報酬はこれ以上下がらないと考えるなら、たわら先進国株式でもいいかも知れませんが、純資産総額の多い方が何かと有利だと思いますけどね。

これが、たわら先進国株式が賢明な選択肢だと思えない理由です。MSCIコクサイに連動する先進国株式インデックスなら、ニッセイ外国株式かスリム先進国株式の二択が良いです。もちろん、たわら先進国株式が好きなら、有償の愛を投じて応援するのも良いでしょう。

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