投資信託の運用会社はたくさんあり、商品群もたくさんあります。大和アセットマネジメントのiFreeシリーズも、幅広い受益者ニーズに応えようとラインナップを拡充していますが、人気の獲得に苦労しているようです。
国内債券インデックスは競合が多いのに、そもそも大して売れないことがわかっている、儲からないジャンルです。それでもiFree日本債券がこれほどまでに売れないとは、大和アセットマネジメントも予想しなかったでしょう。が、不人気な理由のひとつは、二段構えの信託報酬にあると思われます。そうだとしたら、自業自得です。
iFree日本債券
2016年9月8日に設定されました。税抜き信託報酬は、新発10年国債の利回りで変わる仕組みです。
- 新発10年国債の利回りが1%未満の場合は0.140%
- 新発10年国債の利回りが1%以上の場合は0.220%
その後安い方を引き下げて最安水準になりましたが、新発10年国債の利回りが1%以上になると跳ね上がることに注意が必要です。
債券100%のファンドはつみたてNISA適格になれないため、もちろんつみたてNISA適格ではありません。
新発10年国債の利回りの推移
次は新発10年国債の、過去10年の利回りの推移です。青の水平線が1%の水準です。
出典:日本相互証券株式会社
日銀が2016年2月からマイナス金利政策を導入したこともあり、1%は遠いです。でももっと過去までさかのぼると、1%を軽く超えていた時代もありました。
出典:投資家Life
長期投資を前提とするなら、iFree日本債券の税抜き信託報酬はいずれ0.22%に切り替わると考えるべきです。
運用コスト
次は運用報告書から計算した運用コスト(トータルコスト)です。スリム国内債券と比較しています。
隠れコストは標準的です。
リターン比較
iFree日本債券は設定来、信託報酬は安い方が採用されています。この記事では現在税抜き信託報酬が0.120%で最安の商品と比較します。
スリム国内債券とのリターン比較
次はスリム国内債券の設定直後を避けた、2017年3月15日から2020年9月11日までの、iFree日本債券との比較です。
青のラインはスリム国内債券ーiFree日本債券です。5ヶ月程度、スリム国内債券の方が信託報酬が0.02%ポイント安い時期があったのですが、他の要因の方が大きいようです。現在の信託報酬は同率です。
Smart-i 国内債券とのリターン比較
次はSmart-i 国内債券の運用が安定したと思われる、2018年1月4日から2020年9月11日までの、iFree日本債券との比較です。
青のラインはiFree日本債券ーSmart-i 国内債券です。運用報告書から計算した運用コストは、Smart-i 国内債券の方が高いので、この結果は期待通りです。
ニッセイ国内債券とのリターン比較
次はiFree日本債券の設定直後を避けた、2016年10月3日から2020年9月11日までの、ニッセイ国内債券との比較です。
青のラインはニッセイ国内債券ーiFree日本債券です。少しうねっていますが、この比較期間で信託報酬に差があったこともあり、この程度はしょうがないでしょう。
ダイワつみたてインデックス日本債券とのリターン比較
次はダイワつみたてインデックス日本債券とiFree日本債券の税抜き信託報酬が0.120%で並んだ、2019年8月26日から2020年9月11日までの、iFree日本債券との比較です。
iFree日本債券とダイワつみたてインデックス日本債券のマザーファンドは同じです。そのためリターン差は見事にフラットです。
絶望的に売れていません
次は設定来の資金流出入額の累計の推移グラフです。純資産総額は1.72億円です。ローコスト国内債券インデックスで最低クラスです。
頭打ちだし、そもそも資金流入額が少なすぎます。次はたわら国内債券とスリム国内債券もプロットしたものです。
緑のラインがたわら国内債券、青のラインがスリム国内債券です。もうiFree日本債券に望みは持てないですね。
評価:買う価値ありません
iFree日本債券の信託報酬は、新発10年国債の利回りが1%以上になると0.1%ポイント高くなります。条件悪すぎです。また超絶不人気で、このままだと繰上償還コースです。つみたてNISA適格ではないので、マジで繰上償還もありえます。