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iFreeレバレッジNASDAQ次世代50の運用コストと評価

大和アセットマネジメントはiFree NEXT NASDAQ100と、その2倍ブル型であるiFreeレバレッジNASDAQ100で一定の成功をおさめました。そしてよりニッチな指数であるNASDAQ Q-50指数に連動するiFree NEXT NASDAQ次世代50と、その2倍ブル型であるiFreeレバレッジNASDAQ次世代50も商品化しています。攻めていますね。

でも現在はパフォーマンスが低く、不人気です。

更新情報

参照しているデータを最新版に更新しています。

iFreeレバレッジNASDAQ次世代50

iFree NEXT NASDAQ次世代50が設定されてから1ヶ月後の2021年2月9日に、税抜信託報酬0.89%で設定されました。iFreeレバレッジS&P500、iFreeレバレッジNASDAQ100の税抜き信託報酬が0.90%なのでほぼ同じ水準かと思いそうですが、実は違います。

  • アイルランド籍ハープ・イシュアー・ピーエルシーの連動債券に投資することで、日々の基準価額の値動きがNASDAQ Q-50指数の値動きの2倍程度となることを目指します。
  • 連動債券の報酬が年率0.19%かかります。連動債券の運用コストが別途かかります。
  • そのため目論見書には、実質的に負担する運用管理費用は税込み1.169%とあります。高いですね。
  • 円で為替ヘッジされます。
  • 信託期間は無期限です。
  • 購入時手数料税抜き2.0%が設定可能で、証券会社を選ばないとしれっと徴収されます。
  • もちろん、つみたてNISA適格ではありません。

iFreeレバレッジS&P500は、E-mini S&P500株価指数先物取引、iFreeレバレッジNASDAQ100は、E-mini NASDAQ100種株価指数先物取引により2倍のレバレッジを実現しています。が、iFreeレバレッジNASDAQ次世代50は(できあいの)債券に投資することで実現します。信託報酬が2重にかかることを考えると、税抜き信託報酬0.89%はボッタクリじゃないかって思ってしまいます。

この組成内容はiFreeレバレッジFANG+、iFreeレバレッジATMX+にそっくりです。どれもアイルランド籍のレバレッジのかかった連動債券に投資します。

連動債券の信託期間

iFreeレバレッジNASDAQ次世代50の信託期間は無期限ですが、現在投資しているボルト・インベストメンツ・ピーエルシーの連動債券は2024年2月16日が償還日です。そのため、iFreeレバレッジNASDAQ次世代50はいずれ現在とは違う方法で2倍のレバレッジを実現するか、あるいは連動債券の信託期間を延長する(無期限にする)予定なのかも知れません。

運用コスト

次は運用報告書から計算したトータルコストです。iFreeレバレッジNASDAQ100と比較しています。

iFreeレバレッジNASDAQ次世代50の運用報告書から計算したトータルコスト表

信託報酬にはパフォーマンス債券の信託報酬を加算しています。iFreeレバレッジNASDAQ次世代50は隠れコストが極小ですが、売買委託手数料が計上されていないので真に受けない方がいいです。iFreeレバレッジNASDAQ次世代50はアイルランド籍の債券を売買しますが、債券の売買委託手数料は運用報告書で開示しなくていいそうです。(債券ファンドの運用報告書はみな一様に売買委託手数料を計上していません。)でも実際には売買委託手数料はゼロではありません。

信託報酬が支配的ですが、トータルコストは1.169%もします。高いですが、NASDAQ Q-50指数に2倍のレバレッジをかけることを考えれば、このコストは許容範囲でしょうか。パフォーマンスに満足できるならそうですかね。

でも信託報酬が二重にかかっているので、大和アセットマネジメント部分はもう少し抑えて欲しかったです。

リターン比較

iFree NEXT NASDAQ100とiFree NEXT NASDAQ次世代50の比較

まずNASDAQ100指数とNASDAQ Q-50指数の比較を、同系列の商品で見ておきます。

iFreeレバレッジNASDAQ100とiFree NEXT NASDAQ次世代50のリターン比較グラフ

赤のラインがiFree NEXT NASDAQ100、緑のラインがiFree NEXT NASDAQ次世代50です。青のラインはリターン差で、iFree NEXT NASDAQ100ーiFree NEXT NASDAQ次世代50です。

この比較期間ではiFree NEXT NASDAQ次世代50に魅力を感じないです。

iFreeレバレッジNASDAQ次世代50とiFree NEXT NASDAQ次世代50の比較

次はレバレッジのかかっていないiFree NEXT NASDAQ次世代50とのリターン比較です。あえてiFreeレバレッジNASDAQ次世代50+の設定日である2021年2月9日から2022年4月28日までです。

iFreeレバレッジNASDAQ次世代50とiFree NEXT NASDAQ次世代50のリターン比較グラフ

赤のラインがiFree NEXT NASDAQ次世代50、緑のラインがiFreeレバレッジNASDAQ次世代50です。青のラインはリターン差で、iFree NEXT NASDAQ次世代50ーiFreeレバレッジNASDAQ次世代50です。

iFree NEXT NASDAQ次世代50のパフォーマンスが冴えないので、iFreeレバレッジNASDAQ次世代50も情けない状況です。

為替ヘッジの効果

iFreeレバレッジNASDAQ次世代50は円で為替ヘッジされます。それを好ましく思うかどうかは受益者によって異なると思いますが、その(コストの必要な)為替ヘッジはどれぐらい効いているのでしょうか。それを調べることは可能でしょうか。

次はQQQN(NASDAQ Q-50指数に連動するETF)の日々の値動きをドルのままで2倍にしたものと、本物の比較です。

QQQN(NASDAQ Q-50指数に連動するETF)の日々の値動きをドルのままで2倍にしたものと、本物のリターン比較グラフ

青のラインは暴れていますが(それは正常です)、傾向としてはフラットです。これはiFreeレバレッジNASDAQ次世代50が、NASDAQ Q-50指数のドルの値動きの2倍になっていることを示しており、同時に為替ヘッジが効いていることを示しています。

iFreeレバレッジNASDAQ次世代50のレバレッジをかける仕組みは、iFreeレバレッジNASDAQ100、iFreeレバレッジS&P500と違うのですが、為替ヘッジは期待通り効いていますね

売れ行きは

次は設定来の資金流出入額の累計の推移です。純資産総額は5.53億円です。設定日の純資産総額が1億円ありましたが、これは運営側による初期投資だと思われます。

iFreeレバレッジNASDAQ次世代50の設定来の資金流出入額の累計の推移グラフ

設定直後に多く買われましたが、パフォーマンスが期待はずれだったためでしょう、3ヶ月後には頭打ちになりました。飛びついた受益者はちょっと後悔しているかも知れません。

次はiFree NEXT NASDAQ次世代50もプロットしたものです。初期投資は除いてあります。

iFreeレバレッジNASDAQ次世代50とiFree NEXT NASDAQ次世代50の資金流出入額の累計の推移グラフ

緑のラインがiFree NEXT NASDAQ次世代50です。純資産総額は26億円です。グラフがほぼ相似形なのは、現在のパフォーマンスを反映しているからでしょう。

評価:高コストで不人気ですが印象は悪くないです

iFreeレバレッジNASDAQ次世代50はアイルランド籍の連動債券に投資するだけなのに、税抜き信託報酬が0.89%と足元を見られている感じです。その点において、iFreeレバレッジS&P500、iFreeレバレッジNASDAQ100の方が好感が持てますが、NASDAQ Q-50指数の2倍ブル型ファンドの利便性を考慮すると、良い商品だと思います。

そもそもNASDAQ Q-50指数がリスクが高い(どっちに転ぶか分からない)のに、それに2倍のレバレッジをかけるのですから、投資にはより慎重になるべきでしょう。でもそれを分かった上で、上手に利用できる人にとっては、かなり魅力的に感じるのではないでしょうか。

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