iFree NEXT NASDAQバイオテクノロジーは、バイオテクノロジー関連株にお手軽に投資したい人にとっては夢のようなインデックスファンドではないでしょうか。
でもバイオテクノロジーというニッチなテーマに特化したインデックスファンドなので、ハイリスク・ハイリターンだと思われます。
NASDAQバイオテクノロジー指数
iFree NEXT NASDAQバイオテクノロジーは、NASDAQバイオテクノロジー指数をベンチマークにしています。
NASDAQバイオテクノロジー指数は、NASDAQ市場に上場され、バイオテクノロジーまたは医薬品に分類される企業の株式の値動きに連動するよう設計されています。
引用:大和アセットマネジメント
投資対象銘柄は200を超えていますので、テーマ型ではあっても広く分散されていると言えるかも知れません。問題は、バイオテクノロジーへの投資が報われるかどうかです。
iFree NEXT NASDAQバイオテクノロジー
iFree NEXT NASDAQバイオテクノロジーは2018年1月31日に設定されました。税抜き信託報酬は0.725%と高いですが、NASDAQバイオテクノロジー指数に手軽に投資できる手段が少ないことを考えると、十分許容範囲だと思われます。資本主義社会ですから、需要と供給のバランスを考えた値付けがされて当たり前です。
iFree NEXT NASDAQバイオテクノロジーはiFree S&P500に似ていて、現物株+ETFによる運用です。買っているETFはIBB(iShares Nasdaq Biotechnology ETF)です。
なお、NASDAQバイオテクノロジー指数はつみたてNISAの指定インデックスでないため、iFree NEXT NASDAQバイオテクノロジーはつみたてNISA適格ではありません。
運用コスト
次は運用報告書から計算した運用コスト(トータルコスト)です。
隠れコストは少し高いです。次は隠れコストの明細です。
保管費用が高いですね。
なお、iFree NEXT NASDAQバイオテクノロジーの信託報酬は、IBBの経費率(0.46%)を考慮していません。これは、iFree S&P500が、現物株と合わせて運用しているIVVの経費率を考慮していないのと同じです。
IBB
NASDAQバイオテクノロジー指数に連動するETFとしてIBBがあり、iFree NEXT NASDAQバイオテクノロジーは資産の一部でこれを買っています。経費率は0.46%と決して安くはありません。ちなみに、同じブラックロック社のETFでS&P500種指数に連動するIVVの経費率はたったの0.04%です。
IBBの経費率は安くないし、米国籍ETFを自分で買う不便さ、非効率さを考慮するとiFree NEXT NASDAQバイオテクノロジーの税抜き信託報酬0.725%は妥当な水準でしょうか。競合商品もないなら無理して安くすることもありませんからね。
iFree NEXT NASDAQバイオテクノロジーは現物株運用ではありません
iFree NEXT NASDAQバイオテクノロジーの目論見書には次のように書かれています。太字にしたのは僕です。
運用の効率化を図るため、株価指数先物取引、ETF(上場投資信託証券)を利用することがあります。ただし、NASDAQバイオテクノロジー指数に連動をめざしたETF、株価指数先物取引が存在しない、あるいは流動性が乏しい等の理由から他の指数に連動するETF、株価指数先物取引を利用する場合があります。
引用:目論見書
これは、現物株だけでなく、ETFも売買しますよ、と言っています。現在買っているETFはIBBです。
次はETF比率の推移です。
表ではイメージがつかめません。やっぱりグラフがいいです。
ある程度比率が高くなったらリバランスしているようにも見えますが、真相は大和アセットマネジメントにしか分からないでしょう。
IBBは経費率が高いので、できればIBBの比率を低く抑える運用を期待したいところです。
リターン比較
iFree NEXT NASDAQバイオテクノロジーとiFree S&P500のリターン比較
次はiFree S&P500とのリターン比較です。iFree NEXT NASDAQバイオテクノロジーの設定日直後を避けて、2018年2月15日から2020年10月16日までです。
緑のラインがiFree NEXT NASDAQバイオテクノロジーです。青のラインはリターン差で、iFree S&P500ーiFree NEXT NASDAQバイオテクノロジーです。
将来どこかで大化けする可能性に賭ける感じでしょうか。そうでなかったらS&P500の方がいいですね。
コロナショックによる株価暴落からの回復は悪くないものの、ちょっとした悪材料で大きく落ち込む傾向が見られます。バイオテクノロジーの未来を信じられる人でないと、ガチホするのは難しい気がします。
iFree NEXT NASDAQバイオテクノロジーとiFree NEXT NASDAQ100のリターン比較
パワハラになってしまいますが、姉妹品であるiFree NEXT NASDAQ100との比較です。iFree NEXT NASDAQ100の設定直後を避けた、2018年9月18日からです。
赤のラインのiFree NEXT NASDAQ100の圧勝です。パワハラですね。でも近い将来ハイテクが暴落し、バイオテクノロジーが急成長するかも知れません。コロナのことがあるので、ハイテクの暴落はともかく、バイオテクノロジーには躍進してもらいたいところです。
IBBとIVVのトータルリターン比較
次はIBBとIVVのトータルリターン比較です。2001年3月から2020年9月末までです。
赤のラインがIBBです。黄色で塗った期間はIBBが飛び抜けていますが、それを除けばIVV(S&P500)の方が堅実な気がします。でもIBBも悪くはないので、資産の何%かをNASDAQバイオテクノロジー指数に投じるのもアリかも知れません。僕はそもそもS&P500にすら投資していないので(リスクが高すぎるから)、NASDAQバイオテクノロジー指数に手を出すことはありません。
でも、この比較を2015年年初から行うとがっかりします。
これを見るとNASDAQバイオテクノロジー指数の評価を下げたくなります。
比較対象の基準価額が乱高下している場合、比較期間の切り取り方で印象が極端に変わってしまうのは、注意が必要な落とし穴です。見せ手が示したい事象を強調するのに使われることもあります。
不人気です
次は設定来の資金流出入額の累計の推移です。純資産総額は8.6億円ですが、そのうち5億円は運用側の初期投資と思われます。左端が浮いているのはそのためです。
iFree NEXTシリーズの残り2商品もプロットすると現状の厳しさが良く分かります。
緑のラインがiFree NEXT FANG+、青のラインがiFree NEXT NASDAQ100です。純資産総額は113億円ほどです。これら2商品が売れ始めたのは2019年12月からで、それはハイテクのバブルっぽい急成長に支えられているわけですが、iFree NEXT NASDAQバイオテクノロジーの不人気ぶりは極めて対照的です。
評価:運用コストは許容範囲ですが不人気なのが気になります
投資対象を考えれば、運用コストは許容範囲でしょう。でも不人気で売れていないのが気になります。このままだと繰上償還コースです。
人気が出るかどうかはパフォーマンスにかかっていると思いますが、未来のことは誰にも分かりません。バイオテクノロジーの未来を信じて投資するとしても、主力の投資対象にはなりにくいでしょうね。