最近NASDAQ100指数が注目されています。S&P500種指数を凌駕するパフォーマンスが魅力です。でもITバブル崩壊時の暴落は凄まじかったですし、それが繰り返されないとは言い切れません。投資するとしてもポートフォリオの一部にとどめるのがいいと思います。
そのNASDAQ100指数に手軽に投資できるのが、iFree NEXT NASDAQ100です。
更新情報
参照しているデータを最新版に更新しています。
iFree NEXT NASDAQ100
2018年8月31日税抜き信託報酬は0.45%で設定されました。信託報酬はちょっと高めですが、NASDAQ100指数に手軽に投資できる手段が少ないことを考えると、十分許容範囲だと思われます。資本主義社会ですから、需要と供給のバランスを考えた値付けがされて当たり前です。(実際、後続した商品はみなiFree NEXT NASDAQ100を基準にしていますね。)
第一期決算期間は、QQQ(米国籍ETF)を買うだけのインデックスファンドでしたが、第二期の途中からQQQの比率を下げ、現物株比率を上げています。運用に本気を出しましたね。直近の月次レポートによると、QQQの比率は4.5%でした。5%以下を維持して欲しいですね。
なお、NASDAQ100指数はつみたてNISAの指定インデックスでないため、iFree NEXT NASDAQ100はつみたてNISA適格ではありません。
運用コスト
次は運用報告書から計算した運用コスト(トータルコスト)です。
第3期は隠れコストが大幅に削減されました。第4期もわずかながら削減されています。この低水準は素晴らしいです。
次は隠れコストの明細です。
売買委託手数料、保管費用の削減が目立ちます。
なお、iFree NEXT NASDAQ100の信託報酬は、QQQの経費率(0.20%)を考慮していません。これは、iFree S&P500が、現物株と合わせて運用しているIVVの経費率を考慮していないのと同じです。でも現在は現物株運用と言っていいので、もうQQQの経費率の話はしなくていいです。
QQQの比率を減らし、現物株の比率を増やしています
iFree NEXT NASDAQ100の第1期は、QQQと先物だけによる運用で、現物株は売買していませんでした。それを2020年2月(第2期の途中)から変更し、QQQの比率を減らして現物株の売買を始めました。
次は設定来のQQQの比率です。セルを赤くしたところから現物株が組み入れられています。(2021年9月以降も
グラフにすると良く分かります。
QQQの比率を大幅に下げ、現物株の比率を上げたことは高く評価します。ほぼQQQを買うだけだった頃は、QQQの経費率0.20%を負担していたわけですが、現在はQQQの比率は5%以下なので、QQQの経費率の負担は0.01%以下に削減されているのです。
ざっくり表現するとこうなります。
- 第1期の信託報酬は税込み0.695%でした。
- 現在の信託報酬は税込み0.555%以下です。
このQQQの比率を減らした「改善」はコストメリットを受益者にもたらしてくれています。
iFree NEXT NASDAQ100の運用コストを推測する方法
マニアックな話はいいやって方は、ここまで飛ばして下さい。直近の決算期の様子だけでいいやって方は、ここまで飛ばして下さい。
iFree NEXT NASDAQ100の第一期は、QQQを買うだけのインデックスファンドでした。QQQから年4回出る配当金は、国内課税なしにファンド内で再投資されます。
次の手順でQQQトータルリターンを生成します。
- QQQを「端株数」で購入します。予算10,000円でQQQの取引価格が21,400円なら、0.4672株買えることになります。
- 配当金が出たら米国での10%課税後のドルを再投資します。税引き後の配当金でQQQを端株数で買うのです。そうして保有株数を増やします。保有株数が増えるのは配当金を再投資した時だけです。
- 円をドルに替える為替手数料もQQQの購入手数料もゼロとします。
- 評価額は円換算して求めます。
たとえると、架空の証券会社がQQQを買うだけのインデックスファンドを運用して、配当金の再投資までしますが、信託報酬も隠れコストもゼロ円の場合の基準価額の推移を生成するようなものです。そのため、このトータルリターンは現実にはありえない仮想的なものです。
これとiFree NEXT NASDAQ100の基準価額の推移を比較することで、QQQの経費率以外の運用コストが推測できます。
iFree NEXT NASDAQ100とQQQトータルリターンとの比較
次はiFree NEXT NASDAQ100の運用が安定した、2018年10月1日から2019年10月31日(第一期決算期間終了日)までの、QQQトータルリターンとの比較です。
青のラインはリターン差で、QQQトータルリターンーiFree NEXT NASDAQ100です。青のラインの傾きは、iFree NEXT NASDAQ100の運用コストの大きさを示しています。
次はQQQトータルリターンの運用コストを年率0.55%ポイント増量したものとの比較です。
青のラインはほぼフラットになりました。このことから、iFree NEXT NASDAQ100がQQQを買って運用したことによるトータルコストは、年率0.55%程度と推測できます。これは運用報告書の内容と一致します。iFree NEXT NASDAQ100の第一期の運用は優秀でした。
第二期決算期間
では第二期決算期間はどうでしょうか。いつ頃からETFの比率を減らし、現物株比率を増やし始めたのか不明ですが(運用報告書には明記されます)、2020年4月のETFの比率は16.2%でした。
次は第二期決算期間が始まった2019年9月2日から、株価暴落が始まる直前の2020年2月20日までの比較です。
青のラインはきれいな右肩上がりの直線です。トゲは配当金の扱いによるものなので、無視して下さい。
第二期はQQQの比率が減っているのに、QQQトータルリターンと比較してどうするの?とツッコミたくなるとは思いますが、ここではQQQトータルリターンをリファレンスとしています。
次はQQQトータルリターンの運用コストを年率0.56%ポイント増量したものとの比較です。
青のラインはほぼフラットになりました。第二期の運用も安定していると言えます。
第三期決算期間
次は第三期決算期間が始まった翌日の2020年9月2日から、2021年10月30日までの比較です。
次はQQQトータルリターンの運用コストを年率0.35%ポイント増量したものとの比較です。
青のラインはほぼフラットになりました。この結果は運用報告書から計算したトータルコストに近いです。
このことから、iFree NEXT NASDAQ100の運用は期待通りで、運用報告書で開示されている通り運用コストは改善されていると言えます。
第四期決算期間
次は第四期決算期間が始まった2021年9月1日から、2023年1月31日までの比較です。
次はQQQトータルリターンの運用コストを年率0.35%ポイント増量したものとの比較です。
青のラインはほぼフラットになりました。この結果は運用報告書から計算したトータルコストに近いです。
このことから、iFree NEXT NASDAQ100の運用は期待通りと言えます。
リターン比較
ベンチマークが同じ商品と比較します。
NZAMベータNASDAQ100との比較
次はNZAMベータNASDAQ100の設定直後を避けた2020年4月2日から2023年1月31日までの、iFree NEXT NASDAQ100との比較です。
青のラインはiFree NEXT NASDAQ100ーNZAMベータNASDAQ100です。明らかにiFree NEXT NASDAQ100の方が低コストでした。でも2021年9月以降は互角です。
税抜き信託報酬はNZAMベータNASDAQ100の方が0.05%ポイント安いのですが、設定後長らくiFree NEXT NASDAQ100の方が安かったです。信託報酬だけで判断してはいけないという良い例です。
eMAXIS NASDAQ100との比較
次はeMAXIS NASDAQ100の設定直後を避けた2021年2月22日から2023年1月31日までの、iFree NEXT NASDAQ100との比較です。
青のラインはiFree NEXT NASDAQ100ーeMAXIS NASDAQ100です。わずかに右肩上がりで推移していましたが、2021年7月以降はほぼフラットになり、最近は右肩下がりです。これはeMAXIS NASDAQ100のトータルコストが削減されてきたことを示しています。いい傾向です。
税抜き信託報酬はeMAXIS NASDAQ100の方が0.05%ポイント安いので、iFree NEXT NASDAQ100より低コストになる(リターンが高くなる)のが期待値です。eMAXIS NASDAQ100は頑張っているようですね。
PayPay投信NASDAQ100との比較
次はPayPay投信NASDAQ100の設定直後を避けた2021年7月15日から2023年1月31日までの、iFree NEXT NASDAQ100との比較です。
青のラインはiFree NEXT NASDAQ100ーPayPay投信NASDAQ100です。右肩上がり時期は、PayPay投信NASDAQ100の方がトータルコストが高かったこと分かります。さらに、階段状になっているところは運用に難があったことが推測されます。iFree NEXT NASDAQ100の方が安心です。2022年からはゆるやかな右肩上がりですが、積極的に選択したいとは思えないですね。
売れています
次は設定来の資金流出入額の累計の推移です。純資産総額は541億円です。
NASDAQ100がS&P500を引き離し始めたころから、急激に売れるようになりました。パフォーマンスが良いものが人気を集めるというのは、いつもの光景です。
安定した資金流入が続いていましたが、2022年からは少し勢いが落ちてきました。NASDAQ100指数にとって厳しい環境なので無理もないです。
評価:運用コストが低く、高評価です
iFree NEXT NASDAQ100は運用コストが低く、運用が安定しており高評価です。予想通り人気も高いです。NASDAQ100に投資したい人にとって、とても良い選択肢になるはずです。(ただし、NASDAQ100の絶好調がいつまで続くかは誰にも分かりません。それは2022年以降の冴えないパフォーマンスで明らかですね。)
NZAMベータNASDAQ100、eMAXIS NASDAQ100、PayPay投信NASDAQ100とのリターン比較結果からも、iFree NEXT NASDAQ100はおすすめできます。NASDAQ100指数に投資するなら、eMAXIS NASDAQ100との二択になりますね。