NISA

2019年のつみたてNISAは年初一括投資の圧勝でした

つみたてNISAは、制度設計の趣旨から考えると毎月とか毎日とかの積み立てでしか利用できないのがあるべき姿だと思うのですが、金融機関によっては実質年初一括投資が可能です。利用者から見れば、購入方法に自由度があった方が便利であることは間違いありませんから、制度設計の趣旨は置いといて、年間最大投資可能枠40万円をできるだけ柔軟に活用出来る方が好ましいでしょう。

積立投資 vs 一括投資

投資可能な余裕資金が手元にある時、今すぐ一括投資した方が、毎月だろうが毎日だろうがある期間をかけて投資するよりも有利とされるのは、単純な算数です。基準価額は時間が経てば経つほど上昇することを期待して投資するため、一括投資した場合の取得価額の方が、ある期間をかけて投資した結果得られる平均取得価額を下回る可能性の方が高いからです。

そのため、積立投資に意味はないとさえ言われることもありますが、僕は積立投資はインデックス投資家のベストプラクティスだと信じています。その上で、次の条件を満たせるなら、一括投資すればいいと考えています。

  • 一括投資するだけのまとまった余裕資金がある。
  • 一括投資直後に基準価額が暴落しても後悔しない自信がある。

つみたてNISAで年初一括投資

積み立てを毎月行う場合、毎月の積み立て額の上限は33,333円(40万円÷12ヵ月)ですが、ボーナス月設定が可能な金融機関では、毎月100円積み立て+1月にボーナス設定398,800円で実質年初一括投資が可能です。

僕は、毎月同額を積立投資するのが最良だと信じていますが、つみたてNISAは非課税枠が40万円と大きくないので、40万円近くを年初に一括投資した直後に暴落しても後悔しない自信がある場合は、年初一括投資も悪くないと思っています。(僕自身は一般NISAしか利用していません。)

では2019年のつみたてNISAはどちらが有利だったか?ですが、タイトルにある通り、年初一括投資の圧勝でした。それを具体的な数値でお見せします。

シミュレーション方法

  • つみたてNISA適格商品で、2019年1月4日より前に設定されていたものの多くを対象にしています。
  • 積立投資は、毎月初に33,333円を積み立てるのを12ヶ月継続します。
  • 年初一括投資は、1月は398,900円、2月以降は100円を積み立てます。
  • 2019年12月末の評価額の利益率を比較します。

表の見方

年初一括投資の利益率が高い順に並んでいます。右端にある順位は積立投資の利益率のものです。

利益率の差(年初一括投資ー積立投資、単位は%ポイント)の大きさにびっくりすると思います。

年初一括投資と積立投資で順位が違う行を緑色にしてあります。

1位から40位まで

表が長いので分割しています。まず40位までです。

1位から40位までの一覧表

年初一括投資の利益率の高さは圧倒的ですね。

41位から80位まで

41位から80位までの一覧表

81位から120位まで

81位から120位までの一覧表

121位以降

121位以降の一覧表

年初一括投資が積立投資に負けた商品は、ひとつもありませんでした。

グラフの説得力

会社員時代に、プレゼンではグラフを使えと何度も指導されました。人間は、年行も続く表から変化をイメージできないからです。

グラフの説得力は表の比ではありません。

積立投資と年初一括投資の利益率のグラフ

むちゃくちゃ分かりやすいですよね。

2019年のつみたてNISAは年初一括投資の圧勝だった理由

次はスリム米国株式(S&P500)の基準価額の、2019年年初からの推移です。

スリム米国株式(S&P500)の基準価額の、2019年年初からの推移グラフ

米国株式は2018年のクリスマスに急落して底値を付け、その後急速に値を戻しました。その後、年初の水準まで下げることは一度もありませんでした。そのため、2019年は年初一括投資が圧倒的に有利だったわけです。

資産クラスや組成によりますが、2019年はこういう傾向だったのです。

2018年12月の株価急落を見て、2019年のつみたてNISAは年初一括投資に変更した人もそこそこいると思われます。我が家は一般NISAとジュニアNISAでしたが、1月に非課税枠を使い切ってしまいました。一般NISAとジュニアNISAは買い方が自由なので、積立設定をしておきながら好きなタイミングでスポット購入できます。非課税枠を使い切ったら、積立投資を解除すれば終わりです。解除しなくてもエラーになるだけで、何の不都合もありません。

利益率の求め方

つみたてNISAの2019年分の非課税枠40万円については、今後基準価額がどうなろうと、積立投資と年初一括投資の優劣が逆転することはありません。それは、利益率が次の計算式で決まるからです。

利益率=(現在の基準価額ー平均取得価額)÷平均取得価額

そして、もう2019年分は投資が完了しているため平均取得価額は不変ですから、積立投資と年初一括投資の優劣も変わりません。

これは単純な算数で、利益率を高くするには平均取得価額を下げれば良いと言えます。平均取得価額を下げるには、安い時に買えばいいのですが、通常それはうまく行きません。未来の基準価額を正確に予測するのは不可能だからです。

が、2019年に限って言えば、2018年末に大きく下落していたため、2019年年初に一括投資した方が有利になる可能性が高かったわけです。もちろん、そのまま暴落が始まって暗黒の2019年になっていたら、年初一括投資より積立投資の方が有利で終わっていたわけです。つまり、その1年間の基準価額の推移を正確に予測できない以上、どちらを選んでも賭けになります。積立投資を普通とするなら、年初一括投資が賭けだと言えるかも知れませんが、統計的には一括投資の方が有利なので、そうとも言い切れないです。

まとめ:2019年のつみたてNISAは年初一括投資の圧勝でした

2019年のつみたてNISAは年初一括投資の圧勝でしたが、いつもそうなるとは限りません。もし、つみたてNISAは年初一括投資に限るという記述を見たら、それは正しくないので注意してください。誰にでも適用できる、万能な投資方法は存在しません。幅広く情報を集めて、自分に最適な投資方法を選択してください。

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