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2022年のつみたてNISAで年初一括投資は不利でした

つみたてNISAは、制度設計の趣旨から考えると毎月とか毎日とかの積み立てでしか利用できないのがあるべき姿だと思うのですが、金融機関によっては実質年初一括投資が可能です。利用者から見れば、購入方法に自由度があった方が便利であることは間違いありませんから、制度設計の趣旨は置いといて、年間最大投資可能枠40万円をできるだけ柔軟に活用出来る方が好ましいでしょう。

で、2022年のつみたてNISAで年初一括投資は不発でした。素直に積立投資していた方が良かったです。

積立投資 vs 一括投資

投資可能な余裕資金が手元にある時、今すぐ一括投資した方が、毎月だろうが毎日だろうがある期間をかけて投資するよりも有利とされるのは、単純な算数です。基準価額は時間が経てば経つほど上昇することを期待して投資するため、一括投資した場合の取得価額の方が、ある期間をかけて投資した結果得られる平均取得価額を下回る可能性の方が高いからです。

そのため、積立投資に意味はないとさえ言われることもありますが、僕は積立投資はインデックス投資家のベストプラクティスだと信じています。その上で、次の条件を満たせるなら、一括投資すればいいと考えています。

  • 一括投資するだけのまとまった余裕資金がある。
  • 一括投資直後に基準価額が暴落しても後悔しない自信がある。

つみたてNISAで年初一括投資

積み立てを毎月行う場合、毎月の積み立て額の上限は33,333円(40万円÷12ヵ月)ですが、ボーナス月設定が可能な金融機関では、毎月100円積み立て+1月にボーナス設定398,800円で実質年初一括投資が可能です。

僕は、毎月同額を積立投資するのが最良だと信じていますが、つみたてNISAは非課税枠が40万円と大きくないので、40万円近くを年初に一括投資した直後に暴落しても後悔しない自信がある場合は、年初一括投資も悪くないと思っています。(僕自身は一般NISAしか利用していません。)

では2021年のつみたてNISAはどちらが有利だったか?ですが、タイトルにある通り、年初一括投資の圧勝でした。それを具体的な数値でお見せします。

シミュレーション方法

  • つみたてNISA適格商品で、2022年1月4日より前に設定されていたものの多くを対象にしています。
  • 積立投資は、毎月初に33,333円を積み立てるのを12ヶ月継続します。
  • 年初一括投資は、1月は398,900円、2月以降は100円を積み立てます。
  • 2022年12月末の評価額の利益率を比較します。

表の見方

年初一括投資の利益率が高い順に並んでいます。

利益率の差(年初一括投資ー積立投資、単位は%ポイント)は小さかったものの、ほとんどマイナスで、年初一括投資が不発だったことを示しています。

1位から40位まで

表が長いので分割しています。まず40位までです。

1位から40位までの一覧表

年初一括投資が有利だったのは5商品だけ。他は素直な積立投資の方が有利でした。

41位から80位まで

41位から80位までの一覧表

81位から120位まで

81位から120位までの一覧表

121位から160位まで

121位から160位までの一覧表

161位以降

161位以降の一覧表

グラフの説得力

会社員時代に、プレゼンではグラフを使えと何度も指導されました。人間は、年行も続く表から変化をイメージできないからです。

グラフの説得力は表の比ではありません。

積立投資と年初一括投資の利益率のグラフ

むちゃくちゃ分かりやすいですよね。

2022年のつみたてNISAは年初一括投資が不発だった理由

次はスリム米国株式(S&P500)の基準価額の、2022年年初からの推移です。

スリム米国株式(S&P500)の基準価額の、2022年年初からの推移グラフ

俯瞰すると横ばいでしたが、激しい上下動を繰り返しました。青の水平線は年初の水準で、年初一括投資だと平均取得価額はほぼその水準になります。普通に積立投資した場合、青の水準以下で買えたことが多かったことにより、平均取得価額が下がりました。

これが、年初一括投資が不発になった理由です。

資産クラスや組成によりますが、2022年はこういう傾向だったのです。

利益率の求め方

つみたてNISAの2022年分の非課税枠40万円については、今後基準価額がどうなろうと、積立投資と年初一括投資の優劣が逆転することはありません。それは、利益率が次の計算式で決まるからです。

利益率=(現在の基準価額ー平均取得価額)÷平均取得価額

そして、もう2022年分は投資が完了しているため平均取得価額は不変ですから、積立投資と年初一括投資の優劣も変わりません。

これは単純な算数で、利益率を高くするには平均取得価額を下げれば良いと言えます。平均取得価額を下げるには、安い時に買えばいいのですが、通常それはうまく行きません。未来の基準価額を正確に予測するのは不可能だからです。

インデックス投資は基準価額が上昇することを期待して行うものなので、統計的に言えば年初一括投資の方が有利です。でも、クレジットカード決済による積み立てをしたいなどの理由で、つみたてNISA制度の趣旨に沿った積立投資を選択するのでも問題ありません。資産形成のためには、投資を継続することが重要で、年初一括投資か積立投資かは些細な違いです。

まとめ:2022年のつみたてNISAで年初一括投資は不利でした

2022年のつみたてNISAで年初一括投資は不利でしたが、これは相場によって大きく変わります。年初一括投資が圧勝だった年もあります。

もし、つみたてNISAは年初一括投資に限るという記述を見たら、それは正しくないので注意してください。誰にでも適用できる、万能な投資方法は存在しません。幅広く情報を集めて、自分に最適な投資方法を選択してください。

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