先進国株式

野村スリーゼロ先進国株式投信はスリム先進国株式より安いのか

野村スリーゼロ先進国株式投信が設定されてから6ヶ月が経過しました。野村スリーゼロ先進国株式投信は、2030年末までは信託報酬がゼロで、その後も現在のニッセイ外国株式やスリム先進国株式の信託報酬程度を予定しているので、それだけ聞くとインパクトが大きいですが、野村証券のつみたてNISA専用で、まあ誰が考えても客寄せパンダ的商品です。この組成で金融庁がつみたてNISA適格としたのは残念という他ありません。金融庁が嫌ってきた、証券会社の悪しき商習慣が形を変えて登場しただけじゃないですか。

野村スリーゼロ先進国株式投信のマザーファンドは、Funds-i 外国株式と同じです。そのため、Funds-i 外国株式の税込み信託報酬分だけ、リターンが上がるはずです。また、普通に考えればスリム先進国株式より安く(リターンが高く)なりますが、本当にそうなっているでしょうか。

更新情報

参照データを最新のものに更新しました。

前フリ:スリム先進国株式とeMAXIS先進国株式のリターン比較

スリム先進国株式の税込み信託報酬は、2020年3月17日から0.1023%に引き下げられ、ニッセイ外国株式と同率になりました。次は2020年3月17日から9月18日までの、eMAXIS先進国株式とのリターン比較です。

スリム先進国株式とeMAXIS先進国株式のリターン比較グラフ

青のラインはリターン差で、スリム先進国株式ーeMAXIS先進国株式です。ほぼ、右肩上がりの直線ですね。この直線の傾きが、スリム先進国株式とeMAXIS先進国株式のトータルコスト差を示しています。

次は運用報告書から計算した、トータルコストです。

運用報告書から計算したトータルコスト表

トータルコストに計算上0.55%ポイントの差があります。次はスリム先進国株式のトータルコストを年率0.55%ポイント増量したものとの比較です。

スリム先進国株式のトータルコストを年率0.55%ポイント増量したものとの比較グラフ

青のラインはフラットになりました。よって、スリム先進国株式とeMAXIS先進国株式の間には、運用報告書から計算される数値通り、0.55%ポイント程度のトータルコスト差があると判断します。

野村スリーゼロ先進国株式投信とFunds-i 外国株式のリターン比較

野村スリーゼロ先進国株式投信が設定されたのは3月16日ですが、スリム先進国株式が信託報酬を引き下げた3月17日から比較します。右端は2020年9月18日です。

野村スリーゼロ先進国株式投信とFunds-i 外国株投信のリターン比較グラフ

Funds-i 外国株式の税込み信託報酬は0.605%です。隠れコストが同じだとすると、野村スリーゼロ先進国株式投信は、その税込み信託報酬がゼロになるわけですから、年率0.605%ポイントだけリターンが高くなるはずです。

次は野村スリーゼロ先進国株式投信のトータルコストを年率0.60%ポイント増量したものとの比較です。

野村スリーゼロ先進国株式投信のトータルコストを年率0.60%ポイント増量したものとの比較グラフ

青のラインフラットになりましたので、野村スリーゼロ先進国株式投信の信託報酬は確かにゼロになっていると判断できます。

野村スリーゼロ先進国株式投信とスリム先進国株式のリターン比較

Funds-i 外国株式のトータルコストを追加しました。

Funds-i 外国株式のトータルコストを追加した表

Funds-i 外国株式は隠れコストが異様に安いです。運用報告書には全ての数値が記載されないことが良く知られているので、この数値は真に受けないで参考程度にした方がいいです。が、この隠れコストが正しいとすると、トータルコストは次のようになります。

  • 野村スリーゼロ先進国株式投信:0.0340%
  • スリム先進国株式:0.1737%

よって、計算上0.1397%ポイントのコスト差が期待できます。

次は野村スリーゼロ先進国株式投信とスリム先進国株式のリターン比較です。

野村スリーゼロ先進国株式投信とスリム先進国株式のリターン比較グラフ

青のラインは野村スリーゼロ先進国株式投信ースリム先進国株式です。期待通り右肩上がりです。

次は野村スリーゼロ先進国株式投信のトータルコストを増量したものとの比較です。上から順に年率0.14、0.16、0.18、0.20%ポイント増量しています。

野村スリーゼロ先進国株式投信のトータルコストを増量したものとの比較グラフ

0.18%ポイントが適量に見えます。よって現在、野村スリーゼロ先進国株式投信のトータルコストは、スリム先進国株式より0.18%ポイント安いと推測します。

微妙な売れ行き

次は設定来の資金流出入額の累計の推移です。純資産総額は1.25億円です。微妙ですね。

設定来の資金流出入額の累計の推移グラフ

ラインが階段状なのは積み立てでしか購入できないからです。段差が大きくなってきていることから、徐々に受益者が増えているのが分かります。でもこのペースは野村證券から見ると期待値を大きく下回っているのではないでしょうか。

2019年からつみたてNISAを利用していた人は、野村スリーゼロ先進国株式投信が設定された時には別の証券会社の口座で拠出済みだった可能性が高く、そうであるならどんなに野村スリーゼロ先進国株式投信が魅力的であっても、買えるのは来年度以降になります。よって、少し長い目で見てあげるべきですね。

それでも僕は、野村スリーゼロ先進国株式投信が売れない方が安心します。売れるとしたら、それはどうにも健全なことだと思えないからです。もちろん、これはスリム先進国株式に集中投資している僕の、強いバイアスのかかった見解です。

積み立て方に自由度がありません

野村スリーゼロ先進国株式投信は野村證券のつみたてNISA口座でしか買えません。この口座、積み立て方に自由度が全くありません。(野村證券に確認済みです。)

  • 積み立て可能額は1,000円単位です。毎月の積み立て上限額は33,000円なので、最大でも年間396,0000円までしか積み立てできません。非課税枠4,000円を埋める手段はありません。
  • 年の途中で積み立てを開始した場合であっても、毎月の積み立て上限額は33,000円です。
  • 毎月の積み立て金額に加えてボーナス月などに増額することもできません。よって、年の途中で積み立てを開始した場合は非課税枠を使い切れません。また、実質的な年初一括投資は不可能です。

楽天証券のつみたてNISA口座の自由度は抜群です。

  • 積み立て可能額は100円以上1円単位です。毎月の積み立て上限額は33,333円なので、普通に満額積み立てれば年間399,996円になります。
  • 年の途中で積み立てを開始した場合、毎月の積み立て上限額は33,333円に加えて「増額設定」をすることで非課税枠をほぼ満額埋めることができます。(これはSBI証券でもできないようです。)
  • 1月をボーナス月に設定することで、実質的な年初一括投資ができます。

なお、SBI証券でもボーナス月設定を使って、年の途中からでもほぼ満額積み立てることは可能です。

野村證券は業界トップの規模を誇りますが、つみたてNISA口座の利便性は周回遅れのようです。

まとめ:野村スリーゼロ先進国株式投信は確かに安いです

リターン比較結果から、野村スリーゼロ先進国株式投信の信託報酬は確かにゼロであり、運用コストはマザーファンドが同じFunds-i 外国株式の隠れコスト程度しかないことが確認できました。スリム先進国株式より0.18%ポイント安いと推測されます。これは期待値通りで、素晴らしいです。

問題は、信託報酬がゼロなのは2030年末までだという点です。つみたてNISA専用なら、非課税期間20年のうちの、最初の10年間は信託報酬ゼロという設計もできるはずです。(信託期間20年のベビーファンド量産することになりますが。)そうしていない、期間限定の信託報酬ゼロという仕様は、明らかに自社のつみたてNISA口座に誘導する販促ツール目的だからでしょう。

おすすめの関連記事

-先進国株式

© 2020 個人事業主が節税してインデックス投資 Powered by STINGER