先進国株式

野村スリーゼロ先進国株式投信はスリム先進国株式より安いのか

野村スリーゼロ先進国株式投信が設定されてから1ヶ月が経過しました。野村スリーゼロ先進国株式投信は、2030年末までは信託報酬がゼロで、その後も現在のニッセイ外国株式やスリム先進国株式の信託報酬程度を予定しているので、それだけ聞くとインパクトが大きいですが、野村証券のつみたてNISA専用で、まあ誰が考えても客寄せパンダ的商品です。この組成で金融庁がつみたてNISA適格としたのは残念という他ありません。金融庁が嫌ってきた、証券会社の悪しき商習慣が形を変えて登場しただけじゃないですか。

野村スリーゼロ先進国株式投信のマザーファンドは、Funds-i 外国株式と同じです。そのため、Funds-i 外国株式の税込み信託報酬分だけ、リターンが上がるはずです。また、普通に考えればスリム先進国株式より安く(リターンが高く)なりますが、本当にそうなっているでしょうか。

前フリ:スリム先進国株式とeMAXIS先進国株式のリターン比較

スリム先進国株式の税込み信託報酬は、2020年3月17日から0.1023%に引き下げられ、ニッセイ外国株式と同率になりました。次は2020年3月17日から4月17日までの、eMAXIS先進国株式とのリターン比較です。

スリム先進国株式とeMAXIS先進国株式のリターン比較

青のラインはリターン差で、スリム先進国株式ーeMAXIS先進国株式です。ほぼ、右肩上がりの直線ですね。この直線の傾きが、スリム先進国株式とeMAXIS先進国株式のトータルコスト差を示しています。

次は運用報告書から計算した、トータルコストです。

運用報告書から計算した、トータルコスト表

トータルコストに計算上0.547%ポイントの差があります。次はスリム先進国株式のトータルコストを年率0.55%ポイント増量したものとの比較です。

スリム先進国株式のトータルコストを年率0.55%ポイント増量したものとの比較グラフ

青のラインはほぼフラットになりました。よって、スリム先進国株式とeMAXIS先進国株式の間には、運用報告書から計算される数値通り、0.55%ポイント程度のトータルコスト差があると判断します。

野村スリーゼロ先進国株式投信とFunds-i 外国株式のリターン比較

野村スリーゼロ先進国株式投信が設定されたのは3月16日ですが、スリム先進国株式が信託報酬を引き下げた3月17日から比較します。

野村スリーゼロ先進国株式投信とFunds-i 外国株投信のリターン比較グラフ

Funds-i 外国株式の税込み信託報酬は0.605%です。隠れコストが同じだとすると、野村スリーゼロ先進国株式投信は、その税込み信託報酬がゼロになるわけですから、年率0.605%ポイントだけリターンが高くなるはずです。

次は野村スリーゼロ先進国株式投信のトータルコストを年率0.60%ポイント増量したものとの比較です。

野村スリーゼロ先進国株式投信のトータルコストを年率0.60%ポイント増量したものとの比較グラフ

青のラインはほぼフラットになりましたので、野村スリーゼロ先進国株式投信の信託報酬は確かにゼロになっていると判断できます。

野村スリーゼロ先進国株式投信とスリム先進国株式のリターン比較

Funds-i 外国株式のトータルコストを追加しました。

Funds-i 外国株式のトータルコストを追加した表

Funds-i 外国株式は隠れコストが異様に安いです。運用報告書には全ての数値が記載されないことが良く知られているので、この数値は真に受けないで参考程度にした方がいいです。が、この隠れコストが正しいとすると、トータルコストは次のようになります。

  • 野村スリーゼロ先進国株式投信:0.034%
  • スリム先進国株式:0.178%

よって、計算上0.144%ポイントのコスト差が期待できます。

次は野村スリーゼロ先進国株式投信とスリム先進国株式のリターン比較です。

野村スリーゼロ先進国株式投信とスリム先進国株式のリターン比較グラフ

ベンチマークは同じでも、運用会社(マザーファンド)が違うので、この比較期間、スケールではリターン差はきれいな直線にはなりません。

次は野村スリーゼロ先進国株式投信のトータルコストを年率0.15%ポイント増量したものとの比較です。

野村スリーゼロ先進国株式投信のトータルコストを年率0.15%ポイント増量したものとの比較グラフ

計算上はこの程度なんですが、すこし増量不足でしょうか。次は年率0.20%ポイント増量したものとの比較です。

野村スリーゼロ先進国株式投信のトータルコストを年率0.20%ポイント増量したものとの比較グラフ

これで青のラインはほぼフラットになりました。よって現在、野村スリーゼロ先進国株式投信はスリム先進国株式より0.20%ポイント安いと推測します。

まだ売れていません

純資産総額は200万円です。単位が100万円、設定時が100万円だったので、実際に買われたのは100万円以上199万円以下のはずです。野村証券のつみたてNISA専用商品なので、手続きの関係で立ち上がるのに時間がかかってもおかしくありません。

それに、2019年からつみたてNISAを利用していた人は、別の証券会社の口座で拠出済みだった可能性が高く、そうであるならどんなに野村スリーゼロ先進国株式投信が魅力的であっても、買えるのは来年度以降になります。よって、少し長い目で見てあげるべきですね。

それでも僕は、野村スリーゼロ先進国株式投信が売れない方が安心します。売れるとしたら、それはどうにも健全なことだと思えないからです。もちろん、これはスリム先進国株式に集中投資している僕の、強いバイアスのかかった見解です。

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