バランスファンド

リスクコントロール世界資産分散ファンドの運用コストと評価

リスクコントロール世界資産分散ファンドは、たわらノーロードシリーズで有名なアセットマネジメントOneが運用している、普通ではないバランスファンドです。8資産への投資と現金の配分比率を動的に変更することで、リスク(変動率)を低く抑えることを目標にしています。でもこの手の戦略の多くが、コロナショックによる株価暴落時に失敗しています。

更新情報

参照しているデータを最新版に更新しています。

リスクコントロール世界資産分散ファンド

2018年5月25日に税抜き信託報酬0.99%で設定されました。高いですね。リスクコントロール世界資産分散ファンドは変動率(リスク)を抑える運用を行うアクティブファンドです。

金融機関を選ばないと購入時に税抜き1%の手数料を徴収されます。また、残念ながら信託期間が10年しかなく、2028年5月に償還されます。それを聞いただけで、どんな商品か察しが付いてしまいますよね。

ポートフォリオの変動リスクが2%程度となるよう最終的に基本配分比率を決定します。基本配分比率は原則月次で見直しますが、経済環境、運用環境の大きな変化などにより委託会社が必要と判断した場合には、適宜、基本配分比率の見直しを行うことがあります。

引用:目論見書

8資産均等型と同じ資産に投資しますが、先進国債券は為替ヘッジありです。国内債券と先進国債券を安定資産、それら以外をリスク性資産として扱います。

投資対象資産

引用:目論見書

この8資産の比率は均等ではなく、安定資産を多めにしています。また、もともと現金の保有比率が高いのですが、これを大きく変更することでリスクコントロールを行います。

リスクコントロール方法

引用:目論見書

図の円グラフの黄色い部分が現金で、基準価額の下落に合わせて現金比率を高めます。

現在の配分比率はこんな感じです。

資産配分

引用:月次レポート

8資産の基本配分比率の変更は月次、8資産全体と現金の比率の変更は毎営業日とあります。債券比率が65%もあるので、明らかな債券重視型と言えます。

運用コスト

次は運用報告書から計算した運用コスト(トータルコスト)です。

運用報告書から計算したトータルコスト表

隠れコストは安いです。でも信託報酬が高いので、税込みトータルコストは1.11%もします。リスクを低く抑えるバランスファンドに、それだけの高いコストを支払う価値があるかどうか、ですね。

リターン比較

リスクコントロール世界資産分散ファンドと比較するのに相応しい商品を選びました。

スリムバランス(8資産均等型)とのリターン比較

次はスリムバランス(8資産均等型)とのリターン比較です。リスクコントロール世界資産分散ファンドの設定日直後を避けて2018年6月10日から2021年10月8日までです。

スリムバランス(8資産均等型)とのリターン比較、2018年6月10日から2021年10月8日まで

赤のラインがスリムバランス(8資産均等型)、緑のラインがリスクコントロール世界資産分散ファンドです。リスクコントロール世界資産分散ファンドは変動率が極端に小さいです。

コロナショックによる株価暴落後、緑のラインはフラットになっている(成長が止まっている)ように見えます。

次は2020年年初からの比較です。

スリムバランス(8資産均等型)とのリターン比較、2020年年初から

リスクコントロール世界資産分散ファンドは株価暴落後、回復が止まっています。ちょっと気になりますね。

次はリスク比較です。

リスク比較グラフ

目論見書にはリスクを年率2%以下に抑えるとあります。その計算方法は僕のグラフと同じではないと思いますが、十分低く抑えられています。これは確かにメリットです。でもリターンが得られないとなると、話は別です。

楽天バランス(債券重視型)とのリターン比較

次は債券比率が70%もある、楽天バランス(債券重視型)との比較です。楽天バランス(債券重視型)の設定日直後を避けて2018年8月1日からの比較です。

楽天バランス(債券重視型)とのリターン比較、2018年8月1日から

赤のラインの楽天バランス(債券重視型)は、債券比率が高いとは言え、リスクコントロール世界資産分散ファンドより変動率(リスク)が高いです。コロナショックによる株価暴落時にも大きく下落しました。でも見事に回復できています。ところがリスクコントロール世界資産分散ファンドは株価暴落で下落したままでほとんど回復できていません。

株価暴落前は悪くないと思います。楽天バランス(債券重視型)でさえ変動率が高いと感じる人には良い選択肢に見えるでしょう。でも株価暴落後はダメダメです。

ダイワ・ライフ・バランス30とのリターン比較

次は債券比率が70%もある、4資産バランスファンドのダイワ・ライフ・バランス30との比較です。2018年6月10日から2021年10月8日までです。

ダイワ・ライフ・バランス30とのリターン比較グラフ

赤のラインがダイワ・ライフ・バランス30です。株価暴落前はリスクコントロール世界資産分散ファンドの良さが出ていましたが、株価暴落後は逆転されています。

株価暴落時に実施した配分変更

リスクコントロール世界資産分散ファンドは、株価暴落開始後、底を打つ前に次の配分変更を実施しました。

基本配分比率の変更

引用:ファンド通信

現金比率を11%から27%に増やし、リスク性資産と安定資産を減らしました。これが裏目に出たのですね。プロのファンドマネージャーでさえ、3月24日に底値を打った後、あのように急速に回復すると予想できなかったわけです。

また、コロナショックによる株価暴落から1年半になるのに満足に回復できておらず、債券比率の高い他のバランスファンドと比較して散々な結果なのは重く受け止めるべきでしょう。

びっくりするほど売れていました

次は設定来の資金流出入額の累計の推移です。スリムバランス(8資産均等型)もプロットしています。リスクコントロール世界資産分散ファンドの純資産総額は845億円です。スリムバランス(8資産均等型)は1,146億円です。

設定来の資金流出入額の累計の推移グラフ

赤のラインがリスクコントロール世界資産分散ファンド、緑のラインがスリムバランス(8資産均等型)です。赤のラインが途中から始まっているのは、おそらく設定日前から募集をしていたためだと思います。設定日に51億円程度ありましたが、そのうちいくらかは運営側のよる初期投資かも知れません。

バランスファンドの中では売れているスリムバランス(8資産均等型)もびっくりな売れ行きでした。が、黄色に塗ったコロナショックによる株価暴落開始後は資金流出が止まりません。現在の情けないパフォーマンスを考えれば無理もないですね。

評価:おすすめしません

コロナショックによる株価暴落がなければ、高いコストを払う価値があると思うのなら選択肢にできると考えていました。が、株価暴落時の配分変更が裏目に出た結果、基準価額を回復できないでいます。普通のインデックスファンドは順調に回復しています。また、株価暴落から1年半経過してもまだ回復から程遠い現状は、運用が下手くそと言われてもしょうがない気がしています。

株価の未来を正確に予測できない以上、配分変更に失敗した時のダメージは大きいです。リスクコントロール世界資産分散ファンドの場合、早く回復させるには株式比率を上げるのが良いですが、そうするとリスクが高くなってしまいます。リスクを抑えるという命題が、失敗した配分変更からのリカバリーの足かせになっているのです。

また、信託期間が10年しかないので、そもそも資産形成に向きません。当初、みずほ銀行専売商品だったように思うのですが、ありがちな設定です。

僕は選択肢が豊富にある普通のバランスファンドから、自分のリスク許容度にあったものを選ぶのが無難だと思います。その場合は期待リターンが予想できるからです。また、リスク資産に投資してそこからリターンを得るのがインデックス投資なので、変動率の高さには慣れるのが一番だとも思います。

おすすめの関連記事

-バランスファンド

© 2021 河童のインデックス投資 Powered by STINGER