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2019年に毎営業日積み立てを選択した人は損しました

毎営業日積み立ての方が毎月初積み立てより無条件に有利だと(いまだに)誤解している人がどれぐらいいるかは分かりませんが、2019年に毎営業日積み立てを選択した人のほとんどは損したはずです。もし毎営業日積み立てが得した商品があったとしたら、それはかなり変わった値動きをしたはずです。

基準価額が右肩上がりで成長する強気相場の年は毎月初積み立てが有利です。逆に、基準価額が右肩下がりで減衰する弱気相場の年は毎営業日積み立てが有利です。

でも次の魅力的に思える言葉を鵜呑みにして「毎営業日積み立て」を優位誤認している人もいるかも知れません。

引用:SBI証券

「究極の時間分散投資」が真実だとしても、それが毎月初積み立てより得すると主張されてはいません。これは単なるセールストークです。

あるいは、どこかのブログ記事を読んで、毎営業日積み立てが無条件で有利だと誤解している人もいるかも知れません。考えもなしに毎営業日積み立てを選択するのは、愚かな行為です。もちろん、考えた上で選択したのであれば、何の問題もありません。

2019年は強気相場でした

代表的な資産クラスの2019年の基準価額の推移を見ます。対応する商品がスリムシリーズにあればそれを、なければeMAXISシリーズを選択しています。

米国株式(S&P500)

米国株式(S&P500)

右肩上がりの期間の方が長いです。

先進国株式

先進国株式

右肩上がりの期間の方が長いです。

新興国株式

新興国株式

微妙ですが、右肩上がりの期間の方が長いと思われます。

国内株式(TOPIX)

国内株式(TOPIX)

右肩上がりの期間の方が長いです。

先進国債券

先進国債券

右肩上がりの期間の方が長いです。

新興国株式債券

新興国株式債券

右肩上がりの期間の方が長いです。

先進国リート

先進国リート

これだと月初が谷か山かで変わるかも知れません。

国内リート

国内リート

右肩上がりの期間の方が長いです。

毎営業日積み立て vs 毎月初積み立て

営業日の数は月によって変化します。投資元本を同じにするため、次の方法で比較します。

  • 毎営業日に1,000円を積み立てます。
  • 月初営業日にその月の営業日日数×1,000円を積み立てます(月末時点で投資元本は同じになります。)
  • 2019年1月4日から2019年12月30日を対象期間とします。
  • 2019年12月30日約定時点における利益率が高い方が、有利だったと判定します。

結果発表

数字は毎営業日積み立ての利益率、毎月初積み立ての利益率、利益率の差(毎月初ー毎営業日、単位は%ポイント)です。利益率の差がプラスなら、毎月初積み立ての方が有利です。

利益率の差が大きい順に並べています。

結果一覧

主要資産クラスの基準価額の推移からも想像できる通り、上記商品はすべてプラスです。つまり、毎営業日積み立ては損だったということです。

商品の組成によりますが、差が大きいものは信託報酬1年分を超えています。もしリターンの向上を期待して毎営業日積み立てを選択していたのなら、残念でした。

そして、2019年の投資結果について言えば、毎営業日積み立て vs 毎月初積み立ての優劣は、今後基準価額がどうなろうと不変です。

結論:強気相場での毎営業日積み立ては損

  • 強気相場で基準価額が右肩上がりで増えることが期待できる時に、毎営業日積み立てを選択すると損するという理屈通りの結果でした。
  • 利益率の差は無視できないほど大きいです。もしそれだけの手数料を(1回限りであっても)取られることを思えば身に染みるでしょう。

投資対象の資産クラスの基準価額が右肩下がりで推移するとの確信があるなら、毎営業日積み立てを選択してもいいと思います。でもそれって、相場を読み切る能力か、予知能力でもない限り無理です。そして、毎年、いつも、基準価額が右肩下がりで推移する資産にはそもそも投資しないでしょうから、毎月初積み立ての方が無難なことは明らかです。

極論を言えば、毎月初積み立てより一括投資の方が(統計的には)有利です。でも、一括投資するまとまった資金がないなら積み立て投資するほかありません。まとまった資金があり、かつ、一括投資直後に暴落しても後悔しない自信があるなら一括投資すれば良いのです。

有利だと思って毎営業日積み立てをしている人は、何かに踊らされているだけでしょう。有利になるのは弱気相場の年だけです。強気相場が見込める時に毎営業日積み立てしていますと言うのは、損してでもそうしたいからとしか思えません。

ちなみに、我が家は毎月初積み立て+株価下落時のスポット購入です。(iDeCoは積み立て日を選べませんが、毎月積み立てです。)

おまけ1

たとえば2019年に、楽天証券のつみたてNISAでスリム先進国株式に投資した二人がいたとします。

  • Aさんは毎月33,333円を積み立てました。
  • Bさんは毎日1,619円を積み立てました。(1,619円=40万円÷営業日247日)

Aさんは399,996円投資できました。非課税枠40万円のうち4円投資できませんでした。まあしょうがないですね。

2019年にスリム先進国株式が買えたのは241日しかなかったので、Bさんは390,179円しか投資できず、9,821円投資できませんでした。ちょっともったいない気がしませんか。

もし間違っていたら指摘してください。

おまけ2

上のケースでは、Aさんの方がリターンが高い結果となりました。その2019年分の投資については、もうふたりの平均取得価格が確定しているので、その後スリム先進国株式の基準価額がどう変化しても、Aさんのリターンの方が高いのは変わりません。

が、この差が時間の経過と共に開くこともありません。それは、利益率は次の計算式で求められるからです。

利益率=(現在の基準価額ー平均取得価格)÷平均取得価格

一方、Bさんが「つみたて先進国株式」を買っていた場合は事情が変わります。「つみたて先進国株式」はスリム先進国株式の兄弟ファンドですが、信託報酬が税抜0.20%と少し高いです。この信託報酬差はファンドを保有している限り毎営業日作用するので、時間の経過と共に差が開いてしまいます。

おまけ3

投資可能な月額予算が5万円ある場合、楽天証券で楽天カード決済で1%の楽天スーパーポイントをもらい、それを再投資するのがおすすめです。

ところが、楽天証券の毎営業日積み立てでは楽天カード決済が選択できません。

また、楽天証券で毎営業日積み立てできるのは、つみたてNISAだけなので、楽天証券で毎営業日積み立てやってますと言うのは、もしかすると、いろいろと失っているものがあるのかも知れません。

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