米国株式

SBIバンガードS&P500がスリム米国株式と楽天全米株式に与えた影響

SBIバンガードS&P500が、税込み信託報酬0.0938%という衝撃的な安さで設定されると発表されたのは、2019年8月27日でした。直接のライバルは楽天全米株式とスリム米国株式でした。信託報酬+ETFの経費率で見ると、SBIバンガードS&P500の安さが目立ちました。(スリム米国株式は現物株運用でETFは買っていません。)

 

スリム米国株式、楽天全米株式、SBIバンガードS&P500の設定日と信託報酬一覧表

三菱UFJ国際投信は、スリム米国株式(S&P500)の対抗値下げを発表するのに、なんと、45日もかかりました。対抗値下げの結果、このようになりました。

対抗値下げ後の、スリム米国株式、楽天全米株式、SBIバンガードS&P500の設定日と信託報酬一覧表

これで、ベンチマークは異なりますが、人気の米国株式インデックスファンドは、SBIバンガードS&P500とスリム米国株式(S&P500)がほぼ同じで最安、信託報酬を引き下げない楽天全米株式が少し見劣りする水準、となりました。

このSBIバンガードS&P500の登場が、楽天全米株式とスリム米国株式(S&P500)の人気に与えた影響を振り返ります。

グラフの見方

グラフは2つ一組です。最初のは設定来の総口数の推移です。2つめは2019年7月からの総口数の推移で、左端の総口数をゼロにしたものです。SBIバンガードS&P500が発表された2019年8月27日以降を黄色で、スリム米国株式(S&P500)の対抗値下げが発表された2019年10月15日以降を緑色で塗っています。データの右端は2019年12月30日ですが、グラフには余白を追加しています。

なお、総口数の推移には説明を思い付かないパターンも散見されるので、解釈は単純にはできない点に注意してください。

スリム米国株式(S&P500)

スリム米国株式(S&P500)の総口数の推移グラフ

設定来、順調に総口数を増やしてきました。青の丸で囲ったところで増加が止まっているように見えますが、これはGWに株式市場が10連休だったためです。気になるのは黄色の丸で囲ったところです。一旦勢いを失いますが、その後盛り返しています。

気になるところを切り出したグラフ

明らかに増加ペースが衰えた時期がありました。それがSBIバンガードS&P500の登場+スリム米国株式(S&P500)の対抗値下げに日数がかかった影響、である確証はありませんが、そのように思えます。偶然にしては出来すぎです。

楽天全米株式

楽天全米株式の総口数の推移グラフ

楽天全米株式は青の丸で囲った時期に勢いに衰えが見られましたが、その後盛り返しています。僕にはその理由が思い当たりません。気になるのは黄色の丸で囲ったところです。

楽天全米株式の気になるところを切り出したグラフ

SBIバンガードS&P500が発表されてから、変動はあるものの、一定のペースを維持しているように見えます。これを見る限り、積立設定を解除する受益者が続出してはいません。

補助線を引いてみました。

補助線を引いたグラフ

総口数の推移からは、SBIバンガードS&P500の登場、スリム米国株式(S&P500)の対抗値下げの影響は感じられません。

楽天全米株式は設定されてから2年3ヶ月が過ぎましたが、ETFの経費率が下がった場合を除いて信託報酬を引き下げていません。楽天投信投資顧問が決めている信託報酬は、税抜き0.12%固定のままです。それでも総口数(=人気)に陰りが見られないため、直近で信託報酬が引き下げられる見込みはまずないと言っていいでしょう。これは楽天全米株式の受益者にとっては、うれしくないですね。

SBIバンガードS&P500

次はSBIバンガードS&P500の設定来の総口数の推移です。

SBIバンガードS&P500の設定来の総口数の推移グラフ

設定日は2019年9月26日ですが、その前の14日間(8営業日)に事前募集を実施しました。グラフの左端が浮いているのはそのためです。いくらか運用会社の初期投資が入っているかも知れません。

総口数の推移を示すラインは反り返っており、いい感じで人気を獲得できています。

次はライバルを含めた、設定日直後の総口数の推移(設定日直後の人気の様子)の比較です。

設定日直後の総口数の推移グラフ

ざっくり言うと設定日が1年ずつ違うので、投資環境や受益者の意識も違うのに、同じ土俵で比較するのは乱暴すぎると叱られそうです。でもこの比較から次のことが分かります。

  • 赤の楽天全米株式と緑のスリム米国株式の増加率は同程度だった。
  • 青のSBIバンガードS&P500の増加率は先輩達より高い。

変化のない楽天全米株式

SBIバンガードS&P500が登場し、スリム米国株式(S&P500)が対抗値下げしたことを受けて、「楽天全米株式はもう終わり」みたいな批評がありました。確かに、ベンチマークにこだわらない、VTIというブランドに価値を見いださない受益者なら、信託報酬が明らかに安い商品に乗り換えたくなるのは自然です。楽天全米株式はガチホしたまま、新規投資先を変えるのは、特段苦痛を伴うものではありません。

でも現実には、楽天全米株式の総口数の推移を見る限り、大きな流れは起きていないと思われます。本来なら米国株式人気に後押しされて、ラインが反り返る形状になるところを、ライバルに人気を奪われた結果を見ているのかも知れませんが。

これはインデックスファンドにおける、ビジネスの難しさを表した良いサンプルだと思います。信託報酬を下げなくても勝てる、または、高い人気を維持できるのであれば、対抗値下げしないのも戦略です。信託報酬を引き下げても、スリムシリーズが対抗値下げして終わっただけの商品はいくつもあります。

でも、楽天全米株式の現在の人気が継続する保証はないので、状況が変われば、対抗値下げに踏み切るかも知れません。それに最も影響を与えるのは、受益者の行動に他ならないわけです。

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