インデックス投資

米国株式より全世界株式が推奨されるのはなぜですか?

直近10年のパフォーマンスを見ると、S&P500またはVTIに代表される米国株式は、先進国株式、全世界株式に大差を付ける圧勝でした。人は、現在起きていることがそのまま継続すると考える傾向があるため、米国株式が最強だと思っても不思議ではありません。最強だと思わないとしても、米国株式の人気は圧倒的です。それはスリム米国株式(S&P500)とスリム全世界株式(オール・カントリー)の資金流入額にも表れています。

でも2000年代に米国株式が低調だったことを示して、米国株式は最強ではないし、全世界の株式に分散投資した方が良いという意見もあります。そう聞くと迷ってしまいますよね。

2010年代は米国株式の圧勝

次は米国株式(S&P500)、先進国株式、全世界株式の2009年11月16日から2021年3月31日までの比較です。

米国株式/先進国株式/全世界株式をまとめてプロットしたグラフ

このグラフは次の記事からの引用です。

赤のラインが米国株式、緑のラインが先進国株式、青のラインが全世界株式です。直近10年程度の米国株式は絶好調で、他の地域にも投資した場合よりも高パフォーマンスでした。

参照するデータ

2000年代の米国株式、新興国株式、国内株式のリターン比較をするのに、次のデータを参照しました。

  • 米国株式はIVVトータルリターンの運用コストを増量して生成した、仮想スリム米国株式(S&P500)を使います。
  • 新興国株式はMSCIエマージング・マーケットに連動するETFであるEEMのトータルリターンを使います。
  • 国内株式はニッセイTOPIXオープンの基準価額データを使います。

楽天全世界株式、オール・カントリーに代表される全世界株式のデータは、現実感があってこの目的にあうものがありません。

  • 楽天全世界株式の原資産であるVTが設定されたのは2008年6月です。
  • オール・カントリーとベンチマークが同じETFであるACWIが設定されたのは2008年3月です。

そこで、三井住友DC外国株式インデックスL、EEMトータルリターン、ニッセイTOPIXオープンのデータを、80:12:8の比率で合成し、毎月リバランスしたものを全世界株式として使います。少々無理がありますが、雰囲気はつかめるはずです。

説得力を担保するため、参照するデータと現実の商品を比較しておきますが、その話はいいやって方はここまで飛ばして下さい。

米国株式(S&P500)

次は仮想スリム米国株式(S&P500)とiFree S&P500の比較です。

仮想スリム米国株式(S&P500)とiFree S&P500のリターン比較グラフ

IVVトータルリターンの運用コストを増量したものなので当然ですね。(右肩上がりなのはコスト増量分をスリム米国株式に合わせているからです。)

新興国株式

次はEEMトータルリターンと日興インデックスファンド海外新興国株式の比較です。

EEMトータルリターンと日興インデックスファンド海外新興国株式のリターン比較グラフ

激しく暴れていますが、暴れを無視すればそれらしいデータだと思います。

全世界株式

次は合成した全世界株式とスリム全世界株式(オール・カントリー)の比較です。

合成した全世界株式とスリム全世界株式(オール・カントリー)のリターン比較グラフ

楽天全世界株式とも比較しました。

合成した全世界株式と楽天全世界株式のリターン比較グラフ

まあそれらしいデータだと言っていいでしょう。

2000年代の米国株式は低調だった

次は米国株式、新興国株式、国内株式の2013年4月15日から2021年3月31日までの比較です。

米国株式、新興国株式、国内株式の2013年4月15日から2021年3月31日までのリターン比較グラフ

赤のラインが米国株式、緑のラインが新興国株式、青のラインが国内株式です。「なんじゃこりゃー、新興国株式の圧勝じゃないかい」と叫びたくなりますね。そうです。2000年代はリーマンショックからの回復も含めて、新興国株式の圧勝でした。米国株式、国内株式は低調だったのです。

このグラフからは、最強なのは米国株式じゃなくて新興国株式に見えますが、そんな話は聞きません。次は比較開始を2010年1月4日に変更したものです。

米国株式、新興国株式、国内株式の2010年1月4日から2021年3月31日までのリターン比較グラフ

緑のラインの新興国株式は悲しい状態です。は?どういうこと?そう思うのも無理はありません。リターン比較のグラフには人間の脳が適切に把握しにくい特性があるからです。

2010年以降にインデックス投資を始めた人にとっては、米国株式が最も高パフォーマンスで、大きな差をもって国内株式、さらに低調なのが新興国株式でした。

でもこの2010年代の結果だけを切り取って、米国株式が最強だとするのが不適切なのは、2000年代に新興国株式が圧勝であったことを考えれば、まあそうかなと思うでしょう。いや、未来は過去の繰り返しとは限らないし、2000年代に起きたことが再度起こるかも知れないと考えることに抵抗を感じる人もいることでしょう。

過去に起きた事実の解釈、それを未来にどう反映させるかについては、いろんな考え方があって当然です。

米国株式 vs 全世界株式

次は米国株式と全世界株式の、2003年4月15日からの比較です。

米国株式と全世界株式の、2003年4月15日からのリターン比較グラフ

赤のラインが米国株式、緑のラインが全世界株式です。青のラインは米国株式ー全世界株式です。青のラインが右肩上がりの期間は、米国株式の方が高パフォーマンスです。

次は分かりやすく3つの期間に色分けしたものです。

分かりやすく3つの期間に色分けしたグラフ

黄色の期間は全世界株式の方が有利でした。赤の期間はまあ互角でした。緑の期間は良く知られている通り米国株式の方が有利でした。

米国株式と全世界株式のどちらが良いのか

S&P500やVTIに代表される米国株式が最強だとするのは、過去のある期間においては正しくても、それが未来にも適用できる保証はありません。そのため、自分でそう思って投資行動に反映させるのはいいですが、それをブログやツイッターなどで発信すると、批判の対象になってもおかしくありません。

米国株式に集中投資するより、全世界の株式に分散投資した方が良い、そして時価総額比でウェイトを決めるオール・カントリーが最適解のひとつだとする意見の根拠は、名著とされる教科書のような書籍に由来するようです。それは良く理解できます。

僕は、スリム米国株式(S&P500)とオール・カントリーの二択のうちどちらが良いですか?と聞かれたら、オール・カントリーと答えます。理由は、その質問をしてくる人にとっては、オール・カントリーの方が無難な選択肢だからです。

どの国、地域が将来最も成長するか(高いリターンをもたらしてくれるか)は分かりません。そのため、時価総額比でウェイトが決まるオール・カントリーや楽天全世界株式は、ある期間を切り取ったパフォーマンスの多くが米国株式に負けるとしても、より安全な(資産形成上好ましい)投資対象とするのは、極めて合理的な判断でしょう。

が、相応のリスクを負うからこそ、それに見合ったリターンが得られるのも事実です。自分が負うリスク、投資可能期間における期待リターンを良く考えた上で、全世界株式より米国株式が良いと判断したのであれば、その判断を信じて買い持ちを続けることです。たとえ将来のある時期に米国株式が低迷することがあっても、我慢してホールドし、積立投資をやめないことです。

正解は未来にならないと分かりません

何が正解か、も人によって同じではありませんが、投資可能期間に期待したリターンが得られるかという観点では、未来にならないと分かりません。

我が家はスリム先進国株式に集中投資していますが、出口戦略を発動する時まで米国と日本を除く先進国に頑張って欲しいと毎日祈っています。そして、その時に米国株式を選択していた方が大儲けできたと分かっても後悔しないつもりです。

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