このブログではVTIやVOOのトータルリターンと、それらを買うだけのインデックスファンドである楽天全米株式、SBIバンガードS&P500のリターンを比較することで、それらインデックスファンド固有の運用コストを推測して来ました。ところが、株価暴落でその手法が通用しなくなっています。
どういうことでしょうか。
おさらい
ベンチマークが同じインデックスファンドが2商品あり、どちらも運用がベンチマークに忠実な場合、それらのリターン差を示すラインの傾きは、トータルコスト差を示します。
次はeMAXIS先進国株式と、同じマザーファンドを利用している、つみたて先進国株式のリターン比較です。2019年年初から2020年3月27日までです。
この2商品は、設定来、信託報酬が変わっていないので、ざっくり言うと、隠れコストの違いを除くとトータルコスト差が一定です。リターン差を示す青のラインは、やや弓なりに曲がったきれいな直線でしたが、株価暴落が始まってからはダラリとしています。
でも、この青のラインの形状を見て、トータルコスト差が少なくなったと性急な判断をしてはいけません。そうではないのです。
次は、つみたて先進国株式のトータルコストを年率0.45%増量したものとの比較です。
青のラインはフラットになりました。
このように、リターン差が直線にならない理由については次の記事で解説しています。
楽天全世界株式とVTトータルリターンの比較
次は楽天全世界株式とVTトータルリターンの比較です。2019年10月16日から2020年3月31日までです。
株価暴落が始まって以降、青のラインは不規則な動きをしています。
次はVTトータルリターンの運用コストを年率0.23%、増量したものとの比較です。
青のラインは、株価暴落が始まる前まではほぼフラットになりましたが、株価暴落開始後は曲がったままです。
楽天全米株式とVTIトータルリターンの比較
次は楽天全米株式とVTIトータルリターンの比較です。比較期間は同じです。
真ん中あたりにある大きなトゲは配当金を再投資するタイミングの違いによるものです。無視して下さい。
これも、楽天全世界株式とVTトータルリターンの比較結果同様の、おかしな動きになっています。
次はVTIトータルリターンの運用コストを年率0.25%、増量したものとの比較です。
やはり、株価暴落開始後はフラットになりません。
SBIバンガードS&P500とVOOトータルリターンの比較
次はSBIバンガードS&P500とVOOトータルリターンの比較です。比較期間、グラフのスケールは同じです。
これも、株価暴落開始後は青のラインが不規則な動きをしています。
次はVOOトータルリターンの運用コストを年率0.6%、増量したものとの比較です。
やはり、株価暴落開始後はフラットになりません。
eMAXIS NYダウとiFree NYダウのリターン比較
確証はないのですが、どうもETFのトータルリターンと、そのETFを買うだけのインデックスファンドの比較で見られる、株価暴落開始後のリターン差の動きには、僕が知らない何かが作用している気がします。
次はeMAXIS NYダウとiFree NYダウのリターン比較ですが、青のラインはそれほどおかしな動きをしていません。
次はiFree NYダウのトータルコストを年率0.45%増量したものとの比較です。
青のラインは、株価暴落開始後も(少々暴れていますが)フラットです。明らかに違いますよね。そして、話はこれで終わりません。
One NYダウとiFree NYダウのリターン比較
次はOne NYダウとiFree NYダウのリターン比較です。
青のラインを見て、イヤな予感がしますよね。
次はiFree NYダウのトータルコストを年率0.5%増量したものとの比較です。
思ったとおりの結果です。
気になったのは、One NYダウはETF比率が少し高いことですが、それが要因かどうかは分かりません。(疑ってはいます。)
株価暴落後に何が起きているのか?
ETFを買うだけのインデックスファンドは3商品、どれも株価暴落後のリターンがおかしいです。現物株比率が高いインデックスファンド同士の比較では、その説明できない現象は観測されませんでした。
結果的に、毎月楽しみにしてきた、ETFを買うだけインデックスファンドのトータルコストの推測は、しばらくできなくなりました。残念です。