スリムシリーズで有名な三菱UFJ国際投信は、MAXIS上場投信シリーズも運用しています。分類としては国内籍ETFなんですが、ETFのメリットを活かせる人には良い選択肢になります。そうでもない人には、スリムシリーズの方がおすすめです。
MAXIS上場投信シリーズ
このブログでは為替ヘッジの有無を含めて5商品を評価しています。みな、インデックスファンドと同じマザーファンドを利用することで、「一粒で何度もおいしい」運用となっています。
表面上の信託報酬は、インデックスファンドのそれよりも安価ですが、ETF固有のコストが別途必要で、トータルコストはインデックスファンドより高いです。が、国内籍ETFなので、配当金の二重課税が自動的に回避されており、これに魅力を感じる人も多いことでしょう。それでも、多くの人にとっては、インデックスファンドの方が利便性が高く、資産形成に向いていると思います。
比べるなら、ベンチマークが同じ海外ETFがいいでしょう。ブランド信仰がなく、冷静な判断ができる人には、MAXIS上場投信シリーズは魅力的に見えることでしょう。
配当金の扱い
このブログに登場するMAXIS上場投信シリーズは、年2回決算を行い、その都度配当金を出します。このETFの配当金への課税は、2020年から税制が改正されて、海外と国内の二重課税を回避できるようになりました。海外ETFの場合二重課税され、それを取り戻すのは不可能ではありませんが、面倒ですし、制度上の限度もあります。
たとえばVTを課税口座で買うと、年4回もらえる配当金は、外国での課税後に、国内で20.315%課税されてから、ドルで口座に入ります。この場合、二重課税された分を取り戻すには外国税額控除を申請するしかないのですが、これは所得税からの還付であり制度的に不利です。(適切に取り戻すのが難しいです。)
次は税制改正前と改正後の、配当金への課税の違いを説明している楽天証券の図です。
引用:楽天証券
MAXIS上場投信シリーズの場合、年2回もらえる配当金への課税は、外国税+国内税全体の税率が20.315%になります。一方、同じマザーファンドを利用するインデックスファンドは分配金を出さずに、(外国で課税後の)配当金を再投資していますが、課税口座で売却すると利益に対して20.315%課税されます。配当金への課税だけ見ると、MAXIS上場投信シリーズの方が圧倒的に有利です。
二重課税は見事に解消されています
MAXIS全世界株式(オール・カントリー)【2559】の配当金への二重課税は、解消されていることが確認できています。
2559について、配当金への二重課税の回避が本当のところどうなのかについて、ぱやんさん@papayan123_ETFが実際にもらった配当金の明細書から計算したところ、二重課税は見事に解消されていることが分かりました。
あ、2559の外国税額控除分かった。
2559の配当に対して20.315%の国内税だったのを、外国税引き前の本来の配当に対して20.315%にしてるから、この計算になるんだ。偶然計算間違いしたけど、やっぱり分母はC+Kで計算するのが正解だったんだ。 https://t.co/WBs9MSLwaI pic.twitter.com/wei4QZ5lVM
— ぱやん@ダウトリプル5000兆円 (@papayan123_ETF) January 18, 2022
僕もぱやんさんのエクセルを再現してみました。赤枠のセルが入力箇所(明細書から転記するところ)です。
ここで議論の的になっているのは右下の紫色のセルです。現実の外国税と国内税を合算したものの税率が、20.315%です。これは二重課税が完全に解消されていることを示しています。
MAXIS全世界株式(オール・カントリー)【2559】
運用コスト、配当金への課税、課税の繰り延べと、複数の要素が関係しますが、長期投資を前提とするならオール・カントリーの方が有利と言えます。
MAXIS米国株式(S&P500)【2558】
運用コスト、配当金への課税、課税の繰り延べと、複数の要素が関係しますが、長期投資を前提とするならスリム米国株式の方が有利と言えます。
MAXIS米国株式(S&P500)ヘッジあり【2630】
為替ヘッジはありませんが、長期投資を前提とするならスリム米国株式の方が良いと思います。
ETFのメリット・デメリットを分かった上で国内ETFが好き、そしてS&P500種指数に為替ヘッジをかけて投資したい人には、2630はとても魅力な選択肢に見えるのではないでしょうか。
MAXISナスダック100【2631】
NASDAQ100指数に国内ETFで投資したい人には、MAXISナスダック100は低コストで良い選択肢と言えます。信託報酬を引き下げたNEXT FUNDS NASDAQ-100もそうですね。
ETFは取引価格の整数倍でしか買えません。そのため積立投資や配当金の再投資に制約があり、投資信託の方が便利で実用的です。ETFへのこだわりがないなら、iFree NEXT NASDAQ100かeMAXIS NASDAQ100をおすすめします。
MAXISナスダック100ヘッジあり【2632】
NASDAQ100指数に長期投資するなら、iFree NEXT NASDAQ100かeMAXIS NASDAQ100が(利便性が高くて)いいと思います。
ETFのメリット・デメリットを分かった上で国内ETFが好き、そしてNASDAQ100指数に為替ヘッジをかけて投資したい人には、2632はとても魅力な選択肢に見えるのではないでしょうか。
売れ行きは微妙
このブログで評価しているMAXIS上場投信シリーズ全体の純資産総額は1,135億円です。増えないですね。スリム米国株式(S&P500)とオール・カントリーの合計3.7兆円と比べるのは無理がありますが、運用会社の期待値ほどには売れていない気がします。
それでもマザーファンドが同じなので、運用会社にとって低リスク、低コスト(人件費など)で運用でき、売上向上に寄与してくれる、大切にしたいシリーズのはずです。