米国株式

MAXISナスダック100【2631】の運用コストと評価

MAXISナスダック100は、形式上はeMAXIS NASDAQ100のETF版です。が、マザーファンドは同じで、明らかに一般的なETFではありません。その関係は、MAXIS米国株式(S&P500)とスリム米国株式(S&P500)と同じです。

信託報酬はeMAXIS NASDAQ100の半分、トータルコストもeMAXIS NASDAQ100より安いです。NASDAQ100指数に国内ETFで投資したい人にとってはうれしい選択肢です。

MAXISナスダック100【2631】

eMAXIS NASDAQ100の設定から約1ヶ月後の2021年2月24日に、税抜き信託報酬0.20%で設定されました。eMAXIS NASDAQ100の0.40%の半分です。でも信託報酬以外にもコストがかかります。

まず、マザーファンドはeMAXIS NASDAQ100と同じです。

MAXISナスダック100の仕組み

引用:目論見書

そして次の、ETF固有のコストが信託報酬以外にかかります。

信託報酬以外にかかるETF固有のコスト

引用:目論見書

マザーファンドはeMAXIS NASDAQ100と同じなので、信託報酬以外のいわゆる隠れコストはほぼ同じと見ていいはずです。(売買金額に比例するコストは各ベビーファンドごとに変わります。)MAXISナスダック100はETF特有のコストが付加されるものの、信託報酬差が0.20%ポイントもあるのでMAXISナスダック100の方が低コストになるのが期待値です。現実のデータ比較でもそうなっています。

なお、MAXISナスダック100はETFなので、証券会社を選ばないと売買手数料がかかります。楽天証券なら無料です。

問題は配当金の扱いです。ETFは配当金を出さねばならないルールになっており、MAXISナスダック100は年に2回出します。VTの配当金のようなものをイメージしているかも知れませんが、違います。

MAXISナスダック100のトータルコスト

法令により、投資信託は運用報告書の公開が義務付けられているそうです。そして、運用報告書には信託報酬以外のコストについて記述されるため、正確さはともかく、いわゆる隠れコストを算出することが可能です。ところが、ETFにはその義務がないため、MAXISナスダック100の運用報告書は存在しないとのことです。

運用報告書の代わりになるのは決算短信ですが、知りたい隠れコストが明確な形で表現されていません。三菱UFJ国際投信に伺った内容から推測した方法で計算すると、隠れコストはこうなりました。

  • 2021年6月期:0.0558%

そのうちの0.044%程度は、目論見書に書かれている次のコストだと考えています。

  • 受益権の上場に係る費用
  • 年間上場料
  • 対象指数についての商標の使用料

僕はこの計算より、ごまかしの効かないeMAXIS NASDAQ100の基準価額データとMAXISナスダック100の取引価格データ+配当金実績から推測する方が好きです。

配当金の扱い

eMAXIS NASDAQ100のマザーファンドは約100銘柄を売買します。それらから得られる配当金は米国で課税後に、マザーファンド内で再投資されます。国内課税20.315%が適用されるのは、eMAXIS NASDAQ100を課税口座で売却した時です。それまで課税の繰り延べをしてくれるわけです。

MAXISナスダック100はETFなんですが、eMAXIS NASDAQ100と同じマザーファンドを利用する点が、普通のETFと異なっています。僕には、年2回分配を行うファンドがETFとして売買できる商品、に思えます。

ETFなので配当金と呼びますが、その原資はeMAXIS NASDAQ100のベビーファンドの資産です。保有している株式から得られた配当金はマザーファンドにて再投資されてしまっているからです。

ここからがめんどくさいです。2020年から税制が改正されて、国内籍のETFは配当金への海外と国内の二重課税を回避できるようになりました。保有している株式から得られた配当金を1とすると、マザーファンドには米国での10%課税後の0.9が入ります。そして年2回の決算時に、0.9を配当金として分配します。課税口座の場合、譲渡税20.315%が課税されますが、配当金への二重課税が行われないように調整がなされます。米国での10%課税が取りすぎになるので、それを相殺してくれるのです。

たとえばVTを課税口座で買うと、年4回もらえる配当金は、外国での課税後に、国内で20.315%課税されてから、ドルで口座に入ります。この場合、二重課税された分を取り戻すには外国税額控除を申請するしかないのですが、これは所得税からの還付であり制度的に不利です。(適切に取り戻すのが難しいです。)

次は税制改正前と改正後の、配当金への課税の違いを説明している楽天証券の図です。

配当金への課税の違いを説明している楽天証券の図

引用:楽天証券

(考え方としては)MAXISナスダック100の場合、年2回もらえる配当金への国内課税は10.315%で済みます。一方、eMAXIS NASDAQ100は分配金を出さずに、配当金を再投資していますが、課税口座で売却すると利益に対して20.315%課税されます。

MAXISナスダック100の配当金を再投資する場合

MAXISナスダック100の保有で年2回もらえる配当金を全額再投資できるとしましょう。ETFは取引価格の倍数でないと買えないから、という話はここでは無視します。

  • MAXISナスダック100は、保有する株式から得られた配当金(二重課税を避ける調整済み)を再投資します。再投資によって元本が増えます。
  • eMAXIS NASDAQ100は、保有する株式から得られた配当金(国内課税前)を再投資します。再投資で元本は増えず、売却時に利益に対して20.315%課税されます。

この2つは大きく違います。スリム米国株式とMAXIS米国株式の場合のシミュレーションでは、長期投資ではスリム米国株式の方が有利になることが分かっています。が、NASDAQ100の配当金はS&P500の半分程度しかないので、結論としては「気にしなくて良い」と思っています。

次はQQQ(NASDAQ100指数に連動するETF)とVOO(S&P500指数に連動するETF)の配当金利率の推移です。

QQQとVOOの配当金利率比較グラフ

この期間の配当金利率の平均値はこうでした。

この期間の配当金利率の平均値

そもそも国内ETF特有のメリットを活かしたい人を除くと、利便性の高い投資信託を選択すると思いますが、配当金利率が低いことは(皮肉に聞こえるかも知れませんが)国内ETFに有利に働くことは知っておいていいでしょう。

マザーファンドが同じであるメリット・デメリット

MAXISナスダック100の純資産総額は114億円程度ですが、マザーファンドはeMAXIS NASDAQ100(純資産総額274億円)と同じです。今後、MAXISナスダック100が多く売れるようになると、マザーファンドの規模拡大に寄与することになります。これはメリットです。

でもETFゆえ短期売買の対象にされる懸念もあります。MAXISナスダック100で発生する売買コストを、eMAXIS NASDAQ100の受益者に(できるだけ)負担させないような仕組み・運用であって欲しいものです。それは、三菱UFJ国際投信も良く分かっているはずです。

配当金実績

目論見書には分配方針についてこうあります。

MAXISナスダック100の分配方針

引用:目論見書

配当金はMAXISナスダック100のベビーファンドから分配されますので、それだけMAXISナスダック100の基準価額が下がります。eMAXIS NASDAQ100とリターン比較することで、はっきりと認識できます。

MAXISナスダック100はこれまで1回決算を行い、配当金を出しています。配当金の利率を計算したものが多いか少ないかは、何と比較するかで変わるでしょう。でも三菱UFJ国際投信は、計算期間における配当金全額を分配するとあります。そして、それはファンド内で再投資されてキャピタルゲインの恩恵を受けている純資産から分配されているので、たとえ少ないと感じても損しているわけではありません。

また、基準価額の変化から推測した配当金と実際の配当金は一致しています。

もしこの分配の仕組みが気に入らないなら、MAXISナスダック100はあなた向きの商品ではないとうことです。

1回目

2021年6月8日にMAXISナスダック100の配当金(収益分配金と記載)の額が決定しました。(その案内がこちら。)一口あたり8円です。これはMAXISナスダック100のベビーファンドから分配されますので、それだけMAXISナスダック100の基準価額が下がります。

次はMAXISナスダック100の設定来のeMAXIS NASDAQ100とのリターン比較です。右端は2020年11月5日です。

MAXISナスダック100とeMAXIS NASDAQ100のリターン比較グラフ

青のラインはリターン差で、MAXISナスダック100ーeMAXIS NASDAQ100です。MAXISナスダック100の方が低コストなので青のラインは右肩上がりで推移し、赤の矢印の位置で落ち込んでいます。落ち込んだのは6月8日、分配金が出たその日です。分配金が出たのでリターンが劣化した証拠です。

eMAXIS NASDAQ100とMAXISナスダック100の基準価額の変化から考えると、6月8日のMAXISナスダック100の基準価額は7.7円少ないです。これは毎営業日天引きされる運用コスト+配当金なので、一口あたり8円の配当金と一致すると言っていいでしょう。

MAXISナスダック100は低コスト

ここではMAXISナスダック100の配当金を端株対応で無駄なく再投資できた場合の「理論値」であるトータルリターンを扱います。現実にはETFにそこまでの効率は期待できない点に注意して下さい。

eMAXIS NASDAQ100との比較

次はMAXISナスダック100トータルリターンとeMAXIS NASDAQ100の比較です。MAXISナスダック100の設定直後を避けた、2021年3月10日から10月29日までです。

MAXISナスダック100トータルリターンとeMAXIS NASDAQ100の比較グラフ

青のラインはMAXISナスダック100トータルリターンーeMAXIS NASDAQ100です。見事にきれいな右肩上がりの直線です。これはMAXISナスダック100の方が低コストだからです。

次はMAXISナスダック100トータルリターンの運用コストを年率0.11%ポイント増量したものとの比較です。

MAXISナスダック100トータルリターンの運用コストを年率0.11%ポイント増量したものとの比較グラフ

青のラインはほぼフラットになりました。よって、MAXISナスダック100のトータルコストはeMAXIS NASDAQ100より0.11%ポイント安いと推測できます。

iFree NEXT NASDAQ100との比較

次はMAXISナスダック100トータルリターンとiFree NEXT NASDAQ100の比較です。

MAXISナスダック100トータルリターンとiFree NEXT NASDAQ100のリターン比較グラフ

青のラインはMAXISナスダック100トータルリターンーiFree NEXT NASDAQ100です。比較期間の前半は互角でしたが、後半はMAXISナスダック100の方が低コストです。

次は同じ期間における、iFree NEXT NASDAQ100とeMAXIS NASDAQ100の比較です。

eMAXIS NASDAQ100の税抜信託報酬はiFree NEXT NASDAQ100より0.05%ポイント安いのですが、設定当初、トータルコストでは負けていました。2021年8月以降は負けなくなってきているようです。これは、eMAXIS NASDAQ100のマザーファンドの運用コストが改善されてきたからで、その恩恵をMAXISナスダック100も受けていると思われます。

NEXT FUNDS NASDAQ-100トータルリターンとの比較

NEXT FUNDS NASDAQ-100(1545)はNASDAQ100指数に連動する国内籍ETFです。税抜き信託報酬は0.45%でしたが、2021年10月28日に0.20%に引き下げられました。2010年から運用されていて、MAXISナスダック100の大先輩ですね。

次はMAXISナスダック100トータルリターンとNEXT FUNDS NASDAQ-100トータルリターンの比較です。

MAXISナスダック100トータルリターンとNEXT FUNDS NASDAQ-100トータルリターンの比較グラフ

青のラインはMAXISナスダック100ーNEXT FUNDS NASDAQ-100です。比較期間の前半はNEXT FUNDS NASDAQ-100に負けていましたが、後半はMAXISナスダック100の方が有利です。

この比較結果から、直近はMAXISナスダック100の方が低コストだと言えましたが、このグラフの先となる11月以降はNEXT FUNDS NASDAQ-100の信託報酬が下がるので、MAXISナスダック100といい勝負か、NEXT FUNDS NASDAQ-100の方が有利になると思われます。半年ぐらい経過すると、本当のところが分かると思います。

ETFは保有してもポイントもらえません

eMAXIS NASDAQ100かiFree NEXT NASDAQ100を楽天証券で保有すると、年率0.036%のポイントが付与されます。SBI証券なら年率0.1%のポイントです。(話をめっちゃ簡略化しています。)

ETFは保有してもポイントは付与されません。ちゃんとポイントを再投資できる人にとっては、その分だけ運用コストが安くなるようなものです。

売れ行きは

次は設定来の資金流出入額の累計の推移です。純資産価額は114億円です。

MAXISナスダック100の設定来の資金流出入額の累計の推移グラフ

短期売買目的での利用も相応にあるようですが、人気の獲得状況としては悪くないと思います。

次はeMAXIS NASDAQ100もプロットしたものです。

eMAXIS NASDAQ100もプロットしたグラフ

緑のラインがeMAXIS NASDAQ100です。資金流出の少なさを実感できますね。

次はNEXT FUNDS NASDAQ-100との比較です。純資産総額は437億円です。

NEXT FUNDS NASDAQ-100との比較グラフ

資金流出入が激しいです。売られすぎてマイナスになっている時期もありましたが、純資産総額がマイナスになったわけではありません。

この比較結果から、MAXISナスダック100は後発としては健闘していると言っていいでしょう。

評価:NASDAQ100指数に国内ETFで投資したい人には良い選択肢

NASDAQ100指数に国内ETFで投資したい人には、MAXISナスダック100は低コストで良い選択肢と言えます。

ETFは取引価格の整数倍でしか買えません。そのため積立投資や配当金の再投資に制約があり、投資信託の方が便利で実用的です。ETFへのこだわりがないなら、iFree NEXT NASDAQ100かeMAXIS NASDAQ100をおすすめします。

おすすめの関連記事

-米国株式

© 2021 河童のインデックス投資 Powered by STINGER