僕は主な投資信託の基準価額と総口数の推移を、定期的に確認している変態です。そのため、みなさんが良く知っている投資信託なら、大きな変動を見逃すことはありません。
実は9月末あたりに、次の2商品の総口数に大きな変化があったことに気付いていました。すぐに全額売却されるだろうか、などと思いながら、様子見していました。
- 三井住友DC外国株式インデックスファンドS
- 三井住友DC外国債券インデックスファンドS
でも売却されていません。最初、とんでもなく裕福な人が、銀行員に勧められて一括投資したのだろうと思ったのですが、良く考えるとそれでは説明できないことに思い当たりました。
以下、「インデックスファンドS」は省略しますが、これがあるのとないのとでは商品が違いますのでご注意ください。
三井住友DC外国株式
MSCIコクサイをベンチマークにしている、確定拠出年金専用のインデックスファンドです。扱っているのは三井生命と三井住友銀行だけです。次は設定来の総口数の推移です。
グラフを見やすくするために右端に空白を追加しています。垂直に上昇しているところ、明らかにおかしいですよね。その変化点の純資産総額を確認すると、確かに1営業日で大きく変化しています。
- 2019年9月27日の純資産総額:572.36億円
- 翌営業日である9月30日の純資産総額:865.42億円
- 純資産総額の差:293.06億円
よって、290億円程度一括投資されたはずです。が、三井住友DC外国株式は確定拠出年金専用とあります。DC兼用ではないのです。どうやら企業型確定拠出年金でのみ販売されているようですが、普通に考えると、290億円一括投資するのは不可能です。ではこの資金は一体どこから流入したのでしょうか。
三井住友DC外国債券
FTSE世界国債インデックスをベンチマークにしている、確定拠出年金専用のインデックスファンドです。扱っているのは三井生命とみずほ銀行だけです。次は設定来の総口数の推移です。
三井住友DC外国株式の総口数の推移に、気味が悪いくらい似ています。垂直に上昇しているところの純資産総額を確認すると、確かに1営業日で大きく変化しています。
- 2019年9月27日の純資産総額:211.61億円
- 翌営業日である9月30日の純資産総額:382.13億円
- 純資産総額の差:170.52億円
よって、170億円程度一括投資されたはずです。が、三井住友DC外国債券は確定拠出年金専用とあります。DC兼用ではないのです。どうやら企業型確定拠出年金でのみ販売されているようですが、普通に考えると、170億円一括投資するのは不可能です。ではこの資金は一体どこから流入したのでしょうか。
スリム先進国株式と三井住友DC外国株式のリターン比較
次は2018年年初からの、スリム先進国株式と三井住友DC外国株式のリターン比較です。
青のラインはスリム先進国株式ー三井住友DC外国株式です。赤の丸を付けたところで、青のラインに段差ができています。そうです。段差は純資産総額が増えた日を境にできているのです。
これは、残念ながら、純資産総額が1営業日で増えた結果、三井住友DC外国株式のリターンが劣化したためです。良く「下方乖離」と言われます。
ファンドの純資産総額に急激な変化があると、こういう乖離が起きやすいという記述をどこかで読んだことがあります。その実例を見ているのだと思われます。影響は、わずか0.05%ポイント程度ですが、そうやって失われたリターンが取り返されることはないので、受益者にとってうれしくないことなのは、間違いないです。
スリム先進国債券と三井住友DC外国債券のリターン比較
次は2018年年初からの、スリム先進国債券と三井住友DC外国債券のリターン比較です。
これのリターン差は、MSCIコクサイのようにきれいにはなりません。青のラインはスリム先進国債券ー三井住友DC外国債券です。
赤の丸を付けたところで、青のラインに段差ができています。純資産総額が増えた日を境にして、前と後で明らかな違いがあります。
これも、残念ながら、純資産総額が1営業日で増えた結果、三井住友DC外国債券のリターンが劣化したためと考えられます。以下同文です。
一体どこから来たのか
次の記事にあるような、ファンドの併合によるものではないです。
この記事にあるのが国内初なので、それより前に併合してたというのは無理な話です。
以下は僕の想像です。
ある企業型確定拠出年金の商品が繰上償還されることになり、代替商品として三井住友DC外国株式と三井住友DC外国債券が選択されました。繰上償還に伴い一旦現金化され、その資金で対象商品が買われたのではないでしょうか。
結論:迷宮入りかな
資金の由来は謎のままです。公式に説明されることは多分ないと思われます。下方乖離を起こしているのですから、説明してくれてもいいと思うのですけどね。
下方乖離の原因について説明が行われたケースもありますが、めったにないですね。
来年も
ではよいお年をお迎えください。このブログは2020年も、みなさんに毎日楽しんで頂ける記事の提供を目指して頑張ります。